また戦後の「朝霞」は、爆発的に増える東京人口の受け皿としての役目も担います。1960年、現在のUR都市機構である日本住宅公団が、駅東口に400戸以上の東朝霞団地を建設。朝霞の人口も急増し、東京のベッドタウンとして発展します。2000年代に入ると、団地は建て替えられ、新たな集合住宅「コンフォール東朝霞」へと生まれ変わり、街の新陳代謝が進んでいます。
朝霞市にある駅では、武蔵野線と接続する「朝霞台」のほうが利用者は多いですが、市役所などの行政文化施設があるのは「朝霞」駅。再開発整備事業が完了し、2010年には駅ビル「EQUiA」が誕生。20店舗ほどの商業施設で、飲食店やドラッグストアなど、日常使いに便利な店が並びます。
駅周辺には、飲食店や生活まわりのものが揃うショップが適度に集積。駅南口から徒歩7分で朝霞市役所があるほか、駅東口にも市役所の出張があります。さらにパスポートコーナーも併設されていて、駅周辺だけで、役所まわりのさまざまな手続きが行えるのもポイントです。
20代でも検討可能な家賃水準だが、新築は少なめ
東武東上線「朝霞」は単身会社員の居住地としてはどうでしょうか。駅周辺の家賃相場を見ていきます。駅から徒歩10分圏内の1Kの平均家賃は4.83万円、11分を超えると4.05万円(図表1)。同条件の埼玉県朝霞市の家賃水準は、駅10分圏内4.56万円、11分を超えると4.43万円。「朝霞」駅周辺は、駅チカでは市の平均より高く、駅から離れるにしたがってお得感を覚えるエリアです。
厚生労働省が発表している「賃金構造基本統計調査」によると、都内勤務の男性会社員の平均月給は、25~29歳で27.5万円、30~34歳で34.1万円、埼玉県勤務で25~29歳で24.8万円、30~34歳で28.6万円となっています(図表2)。企業規模によって平均給与は異なりますが、そこから住民税や所得税などを差し引いた手取り額の1/3以内を適正家賃と考えると、都内勤務20代後半は6.9万円、埼玉県勤務は6.2万円、都内勤務30代前半は8.5万円、埼玉県勤務は7.1万円となります。
「朝霞」駅周辺の家賃相場は、20代会社員でも十分に検討できる家賃水準です。大手検索ポータルサイトで、20代会社員の適正家賃内、徒歩10分圏内を条件で検索してみると、多くの単身向け物件がヒットします。築年数20~30年の物件が6割、築30年以上の築古物件が3割で、新築含む築5年以内の物件は少ないエリアです。バス便を利用しないと築年数の新しい物件の数は増えない傾向にあるので、駅チカでは築年数にこだわるのであれば、選択肢は少ないと心得ておきましょう。