どこの街に住むかの選択は、仕事やプライベートに大きな影響を与える。さらに家賃が家計支出の大きなウェイトを占めることを考えると、居住地は資産形成までも左右するといえる。総合的に考えて住みやすい街はどこなのだろうか? 20代後半から30代前半の単身会社員の住み心地を考えていこう。今回取り上げるのは、東武鉄道東上線の「朝霞」。

朝霞の誕生は、ゴルフ好きの皇族が関係していた

「朝霞」は埼玉県朝霞市の南部に位置する、東武鉄道東上本線の駅です。1日の乗降者数は7万人弱。「池袋」寄りの隣駅は東京メトロ有楽町線、副都心線の始発駅「和光市」、その反対の隣駅はJR武蔵野線との接続駅「朝霞台」です。

 

もともと駅周辺の地域は、「膝折村」でした。その由来は、武士が乗る馬がこの辺りで骨折したため、といわれています。江戸時代には川越街道の宿場として繁栄しますが、川越街道は、室町時代、扇谷上杉氏の家臣である太田道灌によってつくられたもの。1478年に道灌が膝折宿に着陣したという記述が、当時の文書に残されています。

 

そんな「膝折」が「朝霞」に変わるきっかけとなったのが、ゴルフです。1932年、東京・世田谷、駒沢公園付近にあった東京ゴルフ倶楽部が土地高騰などを理由に、この地に移転。しかし「膝折」という名前は、特にゴルフでは縁起が悪いとされ、東京ゴルフ倶楽部の名誉総裁でゴルフ好きの皇族・朝香宮鳩彦王にちなみ「朝霞」となりました。当初は「朝香」を使いたいと宮内庁にかけあいましたが、却下されてしまい、現在の「朝霞」になったのだとか。

 

同じタイミングの町制施行で朝霞町となり、駅名も「膝折」から「朝霞」に改称されました。

 

戦時中、ゴルフ場は陸軍予科士官学校となりましたが、戦後は接収されてアメリカ軍基地に。基地はノース・キャンプとサウス・キャンプに分けられ、1960年からは、サウス・キャンプに陸上自衛隊が駐屯するようになりました。ニュースでも「朝霞駐屯地」と聞く機会は多く、また周辺では迷彩服を着た自衛官を見かけるので、「朝霞=自衛隊」というイメージを持っている人も多いでしょう。

 

地元の住民にとっても、自衛隊は身近な存在。毎年恒例の駐屯地の一般開放日は、地域に根付いたイベントです。延期になりましたが、東京五輪の射撃競技は、自衛隊朝霞訓練場内で行なわれます。

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