「メディア」を使って、見ず知らずの顧客にリーチ
それでは、集客のために何をすればいいのか?というと、個人でも手軽に始められるのが「自分のメディアを持つこと」です。
自分のメディアを持つとは、要は「あなたが発信する場をつくる」ということです。これなら、基本的に元手がかかりませんし、自分にとっての当たり前の世界がフィールドです。なぜ、あなたが発信することで、見込み客が集まってくるのでしょうか?
私の事例をお話ししましょう。
これはまだ、私がサラリーマン経営者として、社内ベンチャーで立ち上げた店を経営していた頃の話です。先に述べたように、私は時計のアウトレットショップを14 店舗オープンし、運営していました。店はアウトレットモールの中に出店していたため、全国に散らばっています。
私は経営者として、定期的に店を巡回していましたが、ある時「なんだか、いつもと同じことを言っているな?」ということに気づきました。店長やスタッフが見えていないところが、だいたい同じだったのです。
そこで、最初は「私の話した内容を部下に筆記させて、それを全店で回覧してはどうか?」と考えました。ところが、部下に書かせてみると、私が言ったこととは違う内容が書かれていたり、他のスタッフに読ませても、理解できなかったり。
「理解していない人に書かせてもダメ」だということに気づいた私は、結局、自分で話をしながら、その内容をメモすることにしました。
当時は、インターネットでブログが出始めの頃で、世間では、堀江貴文さんのライブドアブログが人気を博していました。ちょうど、メルマガ・ブログ講座を受講していた私は、「ブログを書いて、ネット上に掲載しておけば、全国に散らばっている店のスタッフが、いつでも見ることができるだろう」と考えました。
これが、私がブログを書き始めた動機です。ですから、最初はアクセスがなくてもまったく気にしていませんでした。私は、社内に「ブログを書いている」ことを通達し、部下に向けて、店舗運営のコツをせっせと書いてはアップしていました。
ところが、これを続けていると、なぜかスタッフの数を大きく超えるアクセス数が集まるようになりました。「自分の部下」というペルソナに向かって文章を書いているうちに、いつの間にか同じ悩みを抱える会ったこともない読者の心にも届いていたのです。
前の記事で、セールスとは基本的に自分が知っている人を対象にする行為だとお話ししました。しかしそうなると、当然ながら自分の知り合いの数は限られてきます。セールスで一番困るのは、見込み客リストが枯渇することです。もちろん、自分がいいセールスをすれば、お客さんからの口コミも増えてくるとはいえ、それにも限界があります。
俣野 成敏
ビジネス書著者
投資家
ビジネスオーナー