(※写真はイメージです/PIXTA)

本記事は株式会社財産ドック著『税理士が教えてくれない不動産オーナーの相続対策』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再構成したものです。最新の法令・税制等には対応していない場合がございますので、予めご了承ください。

業者が「驚きの金額を提示」も、Hさんが拒否したワケ

ただ、業者の希望としては、自宅とアパートが立っているほうの土地に出店したいとのこと。そうなると自宅とアパートを壊して、自宅を今の月極駐車場かもしくは全く別のどこかへ移転しなければならなくなります。

 

業者側は月100万円の地代を提示しており、普通なら万々歳のような話かもしれませんが、Hさんは自宅の移動は大変だということで気乗りせず、結局は却下してしまいました。Hさんは、あくまで空いている土地だけを活用したいという意向なのです。

 

問題点1 入居者の少ないアパートは不良資産

 

賃貸物件の場合、常に満室や満室に近い状態が維持できていて、きちんと収益が上がっている物件なら「優良な財産」と見なします。逆に、入居者が慢性的に欠けていて収益が中途半端にしか上がらない物件や、借り手がつかない割に修繕費ばかりかかって赤字が続く物件などは、「マイナスの財産」と考えます。

 

お荷物物件になっているものについては、まずは空室リスクを回避する手段を講じますが、それでもダメな場合は思いきって潰して別の活用の道を考えた方が無難ということになります。

 

Hさんの場合もお荷物になっているアパート部分について空室を埋める策をいろいろと検討してみましたが、なかなか難しいというのが結論でした。

 

ちなみに、空き地に賃貸物件を建てて貸家建付地にし、評価を下げるという相続税対策をよくやりますが、賃貸物件に空室が出ている場合、その空室部分については貸家建付地の評価減が適用できないことがあります。10戸のうち半分以上の6戸が空室だと、入居者のいる4戸分、つまり敷地全体の40%しか評価減が受けられないということです。こういったところでも、無闇やたらに賃貸物件を建ててしまうことの弊害があるのです。

 

賃貸物件を建てる際は、長い期間にわたって収益が見込めるかどうかを慎重に見極めなくてはならないでしょう。

 

問題点2 収益性を重視した土地活用が、最も良い活用とは限らない

 

土地活用の目的を「高い収益を生み出す土地」とした場合、Hさんの土地ではドラッグストアを誘致することが、最も経済的価値の高くなる対策でした。

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税理士が教えてくれない不動産オーナーの相続対策

税理士が教えてくれない不動産オーナーの相続対策

株式会社財産ドック

幻冬舎メディアコンサルティング

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