株はその企業の「所有権の一部」
日本人の価値観には合わないからなのか、あまり言われませんが会社とは株主のものです。
社長やその関係者などで100%株式を保有している株式会社が、その人たちのものであることは疑いようがないでしょう。そして、100%自分たちのものだった会社の一部を投資家たちに切り売りする代わりに、より大きな資金を集めてより大きなビジネスをしようとするのが、株式の上場という行為なのです。ですからどちらの形態をとっても、会社が株主のものであることにかわりはありません。
一方、その株を買う投資家の側は、一度買った株が手放せなければ困ります。そこで証券取引所が自由に株を売買できるようにして、流動性を確保しています。このようにして、投資家間での株の売買がおこなわれているのです。
このように考えると、株式とはその企業の所有権の一部だといえます。そしてそれが、証券取引所で売買されているのです。事実、株主には株主総会での議決権が与えられ、配当金も支払われます。また、株主が持ち株比率を高めるほど、経営への様々な関与が可能になります。
そして株式市場は、その企業の「値段」をいつも示しています。それが「株式時価総額」であり、それは「株価×発行済み株式数」で計算可能です。
あくまで理論上ですが、多額の資金を持つ個人投資家がいて、一方で売ってくれる人がいれば、その投資家は株式をすべて買い取り、その企業を自分のものにできるわけなのです。
株はその企業の業績と投資家からの期待で上がる
さて、そんな企業の所有権の一部である株ですが、その価格は、なぜ上がるのでしょうか。
上場企業は一般的に、利益の一部を配当金として株主に還元します。そして、利益が増えるほど、配当金も増やすことができます。ですから、業績が伸びて配当金が増えた会社の株は、みんなが手放したくなくなります。そこで、株価が上がるのです。
また、配当金が実際に支払われなくても、会社の業績が伸びれば「配当金を出す能力」が高まります。そして業績の伸びとともに会社の資産も蓄えられるので、「会社を清算した場合の1株当たりの分け前」も高まります。さらに、株式には流動性がありますから、「他の投資家に高く売れそうだ」という期待も高まります。
このようにして、結局、株価はその企業の業績とともに上がる仕組みになっています。実際、業績の良い企業の株式時価総額は高いです。
加えて、将来への期待も株価には反映されます。株価の割安度を示す値であるPERなどが、常に高い値を示す会社があるはご存じでしょう。
株価は将来を見込んで形成されるので、将来もっと業績が伸びそうだと期待されている会社は、その分また株価が上がるのです。
なお、マスメディアへの露出が多かったり消費者向けの商品を製造していたりする会社は、注目を浴び期待されるため、株の売買量が多くなります。そしてそのような会社の株価が上がるときは、急上昇することもあります。