住宅ローン破綻急増…50代サラリーマン「恐しいお金の現実」

本記事は、金子征司著『絶対おトク!賃貸併用で実現する0円マイホーム』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。最新の税制・法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

住宅ローンを組んで「マイホーム」を買う

住宅ローンを組もうとするとき、適用金利などの借り入れ条件とともに問題になるのは、いくらぐらいまで借りられるのかという点です。自己資金が500万円の場合、いくら条件が良くても2000万円しか借りられないようでは、その合計である2500万円のマイホームしか手に入れることはできません。

 

借り入れ可能額は一般的には、ご自身の年収と年収倍率によってある程度見定めることができます。この年収倍率は金融機関によっても見方は異なりますが、現在は約8倍と言われます。つまり、年収600万円のサラリーマンなら、最大4800万円までの借り入れを見込むことができるのです。

 

この年収倍率を参考にすれば、自己資金と住宅ローンで合計いくらぐらいを購入資金として用意できるか、計算することができます。

 

マイホームを買うとは、どういうことなのか? (写真はイメージです。/PIXTA)
マイホームを買うとは、どういうことなのか?
(写真はイメージです。/PIXTA)

 

さらに、住宅の購入には「諸費用」と呼ばれるさまざまな費用が掛かります。例えば、不動産の取得や登記などに必要な費用・税金、住宅ローンを組むのに必要な事務手数料や保証金などです。さらに引っ越し代も必要ですし、夢のマイホームともなれば、新しい家具などをそろえるのに費用が必要になることも考えられます。これらは土地・建物代のおよそ5%前後が目安と言われます。それらの額まで勘案することで、土地・建物代として支出できる、新築住宅本体のおおむねの予算額を設定できます。

 

例えば、自己資金と住宅ローンで合計5000万円まで用立てることができる場合、先ほどの諸費用などを土地・建物代の5%と見込めば、土地・建物代に掛けられる予算額は約4750万円程度とはじき出されます。この結果をもとに、具体的な物件探しを進めていくことになります。

 

予算と購入エリアについて考えていくために、仮に予算額を4500万円と想定しましょう。現在は不動産の物件情報がインターネット上に充実していますから、予算額をもとにどの地域でマイホームを構築することができrか、見当を付けることが可能です。

 

試しに大手不動産情報サイトを利用して新築・一戸建てを選択すると、相場から物件を絞り込めるようになっています。次に探している都道府県を選択します。どこに購入するかは、勤務先などとの関係で自ずと絞り込めるはずです。ここでは東京都を例にとってみましょう。するとさらに、地域別または沿線別を問われます。地域を選べば市区町村ごとに、沿線を選べば沿線別に、相場価格や間取りや建物面積との組み合わせで表示される仕組みです。エリアごとのざっくりとした相場観をつかむのに便利なシステムです。

 

例えば、予算額4500万円・間取り3DK以下で購入できそうなエリアはどこでしょうか。地域別の東京23区部でいうと、おおむね墨田区、江東区、荒川区、足立区、葛飾区、江戸川区、練馬区、板橋区の8区です。

 

東京23区部でも東から北側のエリアであれば可能性はありそうです。一方、東京23区部を走る路線別で見たときにその予算内に納まっているのは、JR常磐線、都営新宿線、都電荒川線、日暮里舎人ライナー、東部伊勢崎線・大師線、東武亀戸線、西武線、京成本線、京成押上線、京成金町線、つくばエクスプレス、といった顔ぶれです。

 

予算額とおおまかな地域さえ固まれば、現実に購入可能なエリアをこのように絞り込んでいくことができます。マイホームの夢が一気に、現実のものとなって身近に感じられる瞬間です。

「持ち家リスク」という発想を持っているか?

こうして希望の物件に巡り合い、マイホームとして申し分のない物件を購入できたからと言っても資金計画の役目は決してそこで終わりではありません。なぜなら、そこからマイホームでの新しい生活が始まるからです。

 

それは二つの意味で新しい生活です。

 

一つは、新しい住居を手に入れ、気持ちを新たにスタートできること。平日も休日も、行ってみたい場所ややってみたいことが次々と頭に浮かぶでしょう。

 

もう一つは、マイホーム購入前と比べ貯蓄が減っているのと同時に、住宅ローンの返済が始まることです。毎月一定の額を支払い続けるという点で言えば家賃と変わりませんが、今の環境下では、家賃値上げはないにしても金利上昇による返済額の上昇という事態が考えられます。仮に家賃と返済額が同程度の額とすると、将来にわたって安定的と見られる家賃の支払いが、将来の変動リスクをはらむ返済額に置き換わるということは、しっかり認識しておくべきです。

 

もちろんそれは、住宅ローンの適用金利に変動型を選んだ場合です。今の金利水準は以前と比べれば、超低金利とさえ言われます。さすがに下がる余地はないと見られていますが、上がる可能性はゼロではありません。

 

こうした新しい生活を支えるであろう経済基盤、つまり給与収入に将来変化はないのか、という点を考えなくてはいけません。

 

国民全体の平均給与で見てみると、この20年間で随分金額は落ち込みました。国税庁「民間給与実態統計調査」によれば、平均給与は1995年で457万円です。それが2015年には420万円まで下がってしまいました(編集部注、最新2018年は441万円)。将来も現在と同じように安定的に給与をもらうことができるという保証は、必ずしもないと言っていいでしょう。

 

マイホームを購入することによって新しい生活が始まると先ほど説明しましたが、それを航海にたとえれば、給与が右肩上りの高度経済成長期には順風満帆の旅だったのでしょう。だから、マイホームを手に入れれば、それで安心できたのです。

 

ところが現在は違います。マイホームを手に入れてから、厳しい経済環境という荒波の中に漕ぎ出すことになります。だからこそなおさら、マイホームを手に入れて終わり、という認識ではいけないのです。マイホームを購入した後も新しい生活を安心して営めるように、資金計画を立てることが欠かせません。

 

そこで意識すべきは、「持ち家リスク」です。今の時代、マイホームを持つことには一定のリスクが伴うという発想です。それはまさに、新しい生活の「新しさ」として説明した点です。現金資金が減った中で、家計には将来の変動リスクをはらむローン返済を抱えている。しかも高度経済成長期のようには収入の伸びに過大な期待は掛けられない。そうした状況が家計の弾力性を奪い、それまでになかった恒常的な支出が生じれば、その負担に耐えられなくなるという状況です。

30〜40歳代にとっての「持ち家リスク」とは?

現役世代の中でもマイホーム志向が強い30〜40歳代でいえば、恒常的な支出の代表として教育費が挙げられます。

 

文部科学省の試算によれば、子どもに掛かる教育費は、幼稚園から高校まで公立で大学は国立というケースで約1000万円、幼稚園から大学まで全て私立というケースで約2300万円と言います。マイホーム1軒分とは言わないまでも、1000万円単位の多額のお金が掛かるわけです。

 

問題は、そのお金の掛かり方です。年間の教育費は一般的には、幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、という順で上がっていきます。したがって30代前半で子どもを持つと、50代前後の時期に教育費支出のピークを迎えます。

 

文科省では子ども二人の世帯を想定し、可処分所得と教育費支出が親の年齢が上がるに従ってどのように推移するか、試算しています。やや古い10年ほど前のデータを用いたものですが、大まかな傾向を理解するのに参考になるのでご紹介します(図表1)。

 

家計の所得と養育費
(図表1)家計の所得と養育費

 

この試算では、親は31歳で第一子を33歳で第二子を持ち、子どもは二人とも、幼稚園は私立、小学校から高校までは公立、大学は私立に通う前提です。

 

試算結果によると、第一子が高校を卒業するまでは、年間の教育費支出は可処分所得の2割程度に抑えられています。ところが第一子が大学に入ると、教育費支出はぐんと跳ね上がります。この時、第二子は高校生です。そして第二子が大学に入ると、教育費支出はさらに跳ね上がり、ピーク時には可処分所得の半分を超えてしまいます。これは、二人の子どもがともに大学在学中の2年間に限られるとはいえ、かなりの負担です。

 

この時、親の年齢は50歳代前半。仕事上、何らかの転機が訪れている可能性も考えられます。自身の親が医療や介護の面で子を頼ることになる可能性の高まる時期とも重なります。子どもの教育だけでなく、仕事のこと、親のこと、課題は山積みという年代です。

 

貯蓄という備えが十分にあれば、家計面では余裕を持てますが、若いころの貯蓄はマイホームの購入時に使い果たしているとなると、そうはいきません。マイホームを購入した後も貯蓄を続けることを念頭に置いて資金計画を立てていたならいいのですが、もしそうでないなら、毎月のローン返済に追われて貯蓄どころではないでしょう。

 

そうした状況で50代を迎えたとき、この教育費支出のピークをうまく乗り越えられるのか、非常に心もとない限りです。

 

そこに追い討ちを掛けかねないのが、金利の上昇です。30歳代でマイホームを購入し、子どもを持つようになったと考えると、50歳代を迎えるのは20年後。変動金利の水準はここ10年ほとんど変わっていないものの、さすがに20年後までは分かりません。金利の上昇でローン返済の負担が増えれば、負担増が重なります。

 

50歳代といえば、自身の老後のこともそろそろ考えなくてはなりません。リタイヤ後の生活をどう組み立てていくのか。年金収入ばかりをあてにはできませんから、生活水準を落とさないようにするなら、それなりの老後資金が必要です。

 

別の観点から注意したいのは、共働きのご夫婦です。二人とも収入があり、それを前提に住宅ローンを組めますから、一人分の年収を前提にした場合より大きな額を借り入れることが可能です。一世帯に働く人=稼ぐ人が二人いる「二馬力」と言われる状態です。問題は、その「二馬力」の状態をいつまで続けられるのかという点です。

 

マイホーム購入後も、ご夫婦ともにそれまでと同じように働き続けていれば、何も問題はありません。しかし、奥様が出産を機に会社を辞めるような事態になってしまったら、一大事です。「二馬力」が「一馬力」になってしまう恐れがあるわけです。単純に考えて収入は半減。それでも、住宅ローンの返済負担は半分にはなりません。

知らないでは済まされない「住宅ローン破綻」のリスク

世帯収入減の可能性がある中で、教育費支出の負担増、親の医療・介護の負担増、住宅ローン返済の負担増、自身の老後資金づくり......。資金計画を立てる段階では、かなり先々までにらんでおくことが必要です。万が一、家計が行き詰ってしまったら、さすがにご自身を含めた家族を犠牲にするわけにはいかないでしょうから、せめて住宅ローンの返済負担から逃れるために、せっかくのマイホームを手放すほかありません。

 

しかし、希望通りの価格で売却できる保証は、どこにもありません。たとえ売却できたとしても、希望を下回る価格であれば、その時点でまだ残っている住宅ローンを返済し切れるでしょうか。

 

この場面で「借り入れ期間年の住宅ローンを、もう年近くも返済し続けてきたのだから、結構返済し終わっているに違いない」と思われる方もいるでしょうが、それは大きな誤りです。住宅ローンは一般的に、当初は返済額ほど返せていないものと考えるのが正解です。この点はしっかりご認識いただきたい点です。

 

マイホームを持つということは、一つの「達成感」につながるでしょう。その一方で、「維持管理」という意味では、マイホーム購入は住む人にとって新たなチャレンジにもなるものです。社会・経済環境が変わる中で、高度経済成長期のようなマイホーム像はすでに過去のものになっています。

株式会社フューチャー・クリエーションズ 代表取締役

マンションリフォーム関連の会社で経営に携わり、共同経営者とともに4年で従業員260名の企業へ育て上げる。その後、不動産投資の株式会社フューチャー・クリエーションズを立ち上げ、代表取締役に就任。住宅と投資用、双方の不動産を知り尽くすエキスパート。
豊かな未来を創造することを理念に掲げ、収益不動産の売買を通して投資家をはじめとする全てのステークホルダーの豊かな未来創造に奔走している。

著者紹介

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金子 征司

幻冬舎メディアコンサルティング

賃貸併用住宅は、マイホームの一部を賃貸用の部屋にして、家主が自宅として住みながらも家賃収入を得られる「働くマイホーム」です。しっかりと賃貸管理を行って家賃を確保できれば、住宅ローンの返済を毎月ゼロ円に抑えること…

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