京急線駅は「葉山」を名乗る資格はあるのか?
「逗子・葉山」は神奈川県逗子市に位置する、京浜急行電鉄逗子線の駅です。JR横須賀線、湘南新宿ラインの「逗子」駅は、当駅から徒歩5分ほど。「逗子・葉山」駅の1日の乗降客数は2.5万人ほどです。
逗子という地名は、当駅から徒歩5分にある延命寺が地蔵尊を安置している厨子(ずし・・・二枚とびらの開き戸がついた物入れ)から命名されたとか、荘園に属する豆師(図師)が住んでいたからとか、由来には諸説ありますが、はっきりしたことはわかっていません。
一方の葉山も、東北地方を中心に広まった「葉山信仰」(里と山の狭間=山の端っこに神社を祭るという信仰)に由来するなど、こちらも諸説あります。
京急線駅は逗子線の終着駅。「大船」~「鎌倉」を経由して「逗子」に辿り着くJR線は、そのまま横須賀方面へと抜け、三浦半島を進みます。三浦半島西岸にある葉山は、鉄道のない街です。
そもそも「逗子・葉山」駅は、幾度となく、駅名が変更となりました。1930年、湘南電気鉄道(1941年に京浜電気鉄道、現・京浜急行電鉄と合併)が「湘南逗子」駅を開業。1931年、既存駅の約400m先に「湘南逗子葉山口」駅を新設し、既存駅は「湘南逗子沼間口」駅と名称を変更。1942年には「湘南逗子葉山口」駅を廃止し、「湘南逗子沼間口」駅を「湘南逗子」駅に戻します。
1948年に「湘南逗子葉山口」駅が「逗子海岸」駅として復活すると、1963年、「湘南逗子」駅が「京浜逗子」駅に。1985年、「京浜逗子」駅と「逗子海岸」駅を統合され、中間地点に「新逗子」駅を設置。そして2020年、「新逗子」から現駅名へと改称されました。
今回の駅名変更は、京浜急行電鉄の創立120周年記念事業として、沿線地域の活性化に繋げることを目的に行われたもの。ほかにも「産業道路」から「大師橋」、「花月園前」から「花月総持寺」、「仲木戸」から「京急東神奈川」と3つの駅が改称となりました。
ところが、この駅名変更、快く思っていない住民が多いようです。葉山町の住民からすると、「御用邸の町・葉山」の名を利用されたという疑念が強いのだとか。逗子市は戦中戦後の一時期、横須賀市に編入されていた歴史があるのに対し、葉山町は1889年に葉山村が誕生してから1世紀以上も独立した存在でした。今回の駅名は地域活性化というお題目のもと、ビジネスに利用されただけ、という思いがあるのです。
逗子市民にしても、京急線駅から葉山方面に行くにはバスで10~20分ほどで、そのバスの起点となるのはJR駅のほう。京急線駅は途中の停留場でしかなく、葉山の玄関として名乗るのは、違和感しかないというのです。
駅名は住民のアイデンティティにも関わるもの。たかが駅名、されど駅名。地域住民に定着するには、まだ時間がかかりそうです。
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