「老後どこに住むか?」は重要な問題です。有料老人ホーム、グループホーム、サ高住…名前は聞くけど違いがわからない人は多いのではないでしょうか。そこで本記事では、株式会社アートジャパンナガヤ設計代表取締役・長屋榮一氏の書籍『入居者が集まる!職員がイキイキ働く! 介護施設設計』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、それぞれの特徴を解説します。
最近話題の「サ高住」実際どのような住宅なのか?
(4)サービス付き高齢者向け住宅
サービス付き高齢者向け住宅は、高齢者単身・夫婦世帯が居住できる賃貸等の住まいであり、2011年の「高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)」の改正によって創設されました。一般には「サ高住」の略称で呼ばれています。1.規模・設備、2.サービス、3.契約関係に関して、以下のような要件を満たすことが求められています[図表5]。
1.規模・設備
■床面積は原則25㎡以上(ただし、居間、食堂、台所そのほかの住宅の部分が高齢者が共同して利用するための十分な面積を有する場合は18㎡以上)
■各専用部分に、台所、水洗トイレ、収納設備、洗面設備、浴室を備えたものであること(ただし、共用部分に共同して利用するため適切な台所、収納設備または浴室を備えることにより、各戸に備える場合と同等以上の居住環境が確保される場合は、各戸に台所、収納設備または浴室を備えずとも可)
■バリアフリー構造であること(廊下幅の確保、段差解消、手すり設置)
2.サービス
■安否確認サービスと生活相談サービスは必須(その他のサービスの例:食事の提供、清掃・洗濯等の家事援助など)
3.契約関係
■専用部分が明示された契約であること
■長期入院を理由に事業者から一方的に解約できないこととしているなど、居住の安定が図られた契約であること
■敷金、家賃、サービス対価以外の金銭を徴収しないことなど
長屋 榮一
株式会社アートジャパンナガヤ設計代表取締役/一級建築士/工学博士
株式会社アートジャパンナガヤ設計代表取締役
一級建築士
工学博士
昭和33年、岐阜県生まれ。名城大学大学院理工学研究科卒。中国における国際的な介護施設の研究において、名城大学理工学部建築学科鈴木博志教授に師事し、同大学大学院にて平成30年3月工学博士を授与した。
東海工業専門学校建築工学科を卒業後、 地元の設計事務所勤務を経て昭和61年に独立、長屋栄一建築設計事務所を設立する。平成2年に法人化、平成10年に現社名に改称。これまで医療・福祉の専門設計事務所として数多くの実績を積み重ね、平成15年には特定非営利活動法人うららを設立。
自らも、岐阜県、愛知県で、グループホームや小規模多機能ホーム、住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅など複数の介護施設を運営している。またそれらの経験を活かし、中国で数多くの講演活動をするなかで、都市計画における国家プロジェクトにも参画し、介護施設の設計・経営・運営に対するコンサルティングも行っている。住み慣れた地域で生活できる社会の実現を目指し、『豊かな創造は豊かな環境をつくり出す』をモットーに日夜奔走中。
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連載介護施設設計~入居者が集まる、職員がイキイキ働く