不便になったら、手術は早いほうがいい!
白内障は時間とともに濁りが強くなっていく進行性の病気ですが、そのために命を落とすような病気ではありません。そのため、白内障と診断されても、すぐに手術を受けなければいけない、ということはありません。
とはいえ、放っておいても濁りが元に戻らない以上、「手術を受けるなら早いほうがいい」といえます。「怖いから」と手術を先延ばしにする人もいますが、それでは見えにくいことによる不便さも長引かせることになってしまいます。
車の運転をよくする人であれば、50代でも手術を受ける人は大勢います。それ以降ずっと、よく見えるようになり運転が安全にできるのと、先延ばしにして見えにくいまま運転し、事故を起こすかもしれない不安を抱え続けるのとでは、どちらが良いかといえば、答えは明らかでしょう。これは運転に限らず、生活のすべてにおいて当てはまります。
また、白内障の手術は、どんなに方法が確立され、安全性が高いといっても、先延ばしにすればするほど、手術時の負担や万一の合併症のリスクが高くなることは、お伝えしておかなくてはなりません。
白内障の種類のうち、進んでしまった状態である過熟白内障になると、水晶体がカチカチになったり、水晶体囊が破れやすくなってしまったりしていることが多く、手術でスムーズに取り出すことが難しくなってきます。場合によっては、とりきれなかった水晶体のかけらが眼の奥に落ちてしまい、硝子体手術といってより大がかりな手術を別途、受けなければならなくなるケースもあります。
また、進行した白内障では、前に述べたとおり、ぶどう膜炎や緑内障といった合併症を引き起こす可能性が高くなります。これらの病気は失明につながりかねませんので、あまり不便を感じていないとしても、早い手術を勧めます。
ここまで進行していれば見え方も当然、相当悪くなっているはずです。いずれ手術を受けるのであれば、こうしたリスクができるだけ少ないうちに受けるほうが良いのは明らかです。