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新型コロナウイルスの感染拡大懸念から、新興国通貨は3月の大幅下落後、6月頃まではおおむね改善傾向でした。しかし、足元では、依然改善傾向を維持する南アフリカランドやアジアの通貨などがある一方で、ロシアルーブルやトルコリラのように、回復が鈍い通貨もあります。新興国通貨が同様の動きをしていた局面から、国ごとの動向も反映する局面に変わりつつあるようです。
ロシア中央銀行:3会合連続の利下げ。経済成長見通しの下方修正で緩和姿勢を維持
ロシア中央銀行は2020年7月24日、過半の市場予想通り政策金利である1週間物レポ金利を4.25%と、0.25ポイント引き下げました(図表1参照)。これで政策金利の引き下げは3会合連続となります。
ロシア中銀は20年の経済成長率見通しを下方修正したほか、インフレ率見通しを3.7-4.2%に引き下げました。ロシア中銀は声明で、状況が基本的な予想に沿って展開すれば、今後数回の政策決定会合で追加利下げの必要性を検討すると表明しています。
どこに注目すべきか:外貨準備高、成長率、感染者数、原油価格
新型コロナウイルスの感染拡大懸念から、新興国通貨は3月の大幅下落後、6月頃まではおおむね改善傾向でした(図表1参照)。しかし、足元では、依然改善傾向を維持する南アフリカランドやアジアの通貨などがある一方で、ロシアルーブルやトルコリラのように、回復が鈍い通貨もあります。新興国通貨が同様の動きをしていた局面から、国ごとの動向も反映する局面に変わりつつあるようです。
ロシアルーブルの変動要因をプラス面から振り返ります。
ロシアの外貨準備高は足元約5740億ドルで、過去最高水準近辺で推移しています。クリミア危機後にロシアの外貨準備高は3500億ドル近辺まで急落しましたが、ロシアは着実に外貨準備を積み上げています。
財政は比較的健全です。財政赤字対GDP(国内総生産)比率も20年の見通しは5%を下回ると見込まれている一方、多くの新興国では10%前後の赤字が見込まれています。
貿易収支や経常収支は一応黒字を確保しています。しかしながら、黒字幅は減少傾向で、ルーブルの下支え要因とは言い難く、不透明要因という面もありそうです。