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他の主要新興国通貨同様、南アランドは足元までおおむね回復傾向です(図表2参照)。南ア自身はもとより、世界各地で実施された金融並びに財政政策の下支えの効果と見られます。ただし水準としてはコロナ感染拡大前を下回っています。また、20日には世界保健機関(WHO)が、南アなどアフリカでの新型コロナウイルス感染拡大に懸念を示すなど、課題も山積みと思われます。

南アフリカ:新型コロナウイルスの感染拡大で再び経済活動を制限

南アフリカ(南ア)は2020年7月12日、新型コロナウイルスの感染急増を受けて夜間の外出制限や、アルコール飲料の販売禁止を再開しました(図表1参照)。南アは6月から制限緩和を進めてきましたが、感染拡大を前にして、再び経済活動の制限に追い込まれました。

 

なお、南ア準備銀行(中央銀行)は7月23日に金融政策決定会合を開催する予定ですが、市場では0.25%の利下げが予想の中央値と見られます。

どこに注目すべきか:投資非適格、インフレ率、IMF、財政改革

他の主要新興国通貨同様、南アランドは足元までおおむね回復傾向です(図表2参照)。南ア自身はもとより、世界各地で実施された金融並びに財政政策の下支えの効果と見られます。ただし水準としてはコロナ感染拡大前を下回っています。また、20日には世界保健機関(WHO)が、南アなどアフリカでの新型コロナウイルス感染拡大に懸念を示すなど、課題も山積みと思われます。

 

南アは今年の3月にムーディーズ・インベスターズ・サービスの格下げで、3大格付け会社全てから投資適格級の格付けを失ったこと、また同時期にコロナの感染が拡大したことから南アの通貨ランドは急落しました。

 

しかし、通貨ランドは底打ちから回復に転じています。この主な背景としては、経済的には南アのインフレ率は5月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比で2.1%にまで低下したことから、政策金利の引き下げによる景気下支えが打ち出せたことがあげられます。

 

コロナ感染対策として3月末に導入された夜間外出禁止など厳格な経済制限は、6月には緩和されました。

 

なお、プラス、マイナスありますが南アは恐らく1980年代以来となる国際通貨基金(IMF)の資金を利用する模様です。報道では、比較的融資条件が緩やかとされるラピッド・ファイナンシング・インストルメントによる調達が計画されており、南アの市場からの資金調達圧力を減らす可能性があります。ただ、ランドは今後課題に直面する可能性もあります。

次ページ今後、直面する課題(図表1,2)

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