築古物件の「建物トラブル」は事前精査で回避可能
利回りの高さをベースに投資適格性に優れている中古物件ですが、管理運用の段階で生じる各種のトラブルには注意が必要です。あらかじめトラブルを想定していなければ、思わぬ費用と労力がかかることになりかねません。
中古物件のなかでも特に築古物件は、建物が古いということもあり特定のトラブルが想定されます。具体的には物件にまつわる不備や故障、経年劣化などが挙げられます。築年数が古くなればなるほど建物のトラブルは起こり得ます。
では、そのような建物にまつわるトラブルをどのように回避すればいいのでしょうか。ポイントとしては物件購入時にきちんと精査しておくことが挙げられます。購入してから対応するのではなく、購入前によくチェックしておくことが大切です。
たとえば中古物件を購入する際に見ておきたいポイントとして、次のようなものがあります。
●現入居者の状況
物件管理のリスクでも触れていますが、トラブルの中心も入居者に関連するものが多いです。たとえば入居者の家賃滞納や騒音、共用部分の使い方、その他物件ごとに定められたルールに基づくトラブルなどが挙げられます。
入居者のトラブルが生じやすいかどうかは、物件があるエリアや立地、家賃水準、さらには周辺環境や前オーナーおよび不動産業者へのヒアリングによって、ある程度はイメージできるはずです。やはり事前の調査が大事でしょう。
特に中古アパートを購入する場合、いわゆる「オーナーチェンジ」になることが多く、旧オーナーおよび管理会社の対応に目を配っておく必要があります。各入居者をつぶさに確認することは難しいですが、調べられる範囲で見極めておくことが大切です。
●建物と設備の経年劣化
中古物件の場合、建物と設備の経年劣化が懸念されます。購入時に細部までチェックしておかないと、大きな瑕疵(かし)はともかく、想定外の問題に悩まされる可能性もあります。特に内装や外装、水回りなどは入念に見ておきましょう。
管理状況がきちんとしていれば、建物本来の寿命にかかわらず、経年劣化は防げるものです。自ら細部までチェックできそうになければ、第三者機関に調査を依頼するなど、より確実な方法を選択するようにしてください。
このような物件の状況調査を「インスペクション」といいます。物件が高額であればあるほど、購入前のインスペクションは重要となります。購入後にリフォームやリノベーションを検討している場合も、専門機関の調査が入っていれば安心です。
●中長期的な修繕の可能性
リフォームやリノベーションに加えて、中長期的な修繕の可能性についても見ておきたいところです。こちらもこれまでの管理状況によって左右される事項であり、管理会社の対応次第で状況は異なります。
住まいとしての質を担保する水回りや電気設備、内外装の修繕はもちろん、構造や耐震性なども押さえておくといいでしょう。
ちなみに1981年6月より前に建てられた建物は「旧耐震基準」で建てられています。耐震性の観点から必要な補強が行われているかどうか、あらかじめ確認するようにしてください。