自主管理と委託管理…それぞれのメリット・デメリット
不動産投資において、購入した物件の管理は管理会社に委託するのが普通です。管理会社に委託することで費用は発生しますが、その分、不動産投資家は労力と時間を費やすことなく物件を管理運営していくことが可能となります。
一方で、不動産投資家が自ら物件を管理していく「自主管理」という方法もあります。自主管理では、通常であれば管理会社に委託する作業を、すべて自分で行わなければなりません。そのため、多くの不動産投資家にとってハードルが高くなります。
では自主管理と委託管理には、それぞれどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。実際に物件管理を行う場合を想定して利点と欠点に着目しつつ、両者の違いについて比較してみましょう。
まず自主管理のメリットとしては、管理会社に支払う委託料が発生しないことが挙げられます。委託料が節約できる分、利回りを高くできることになります。もともと利回りが低い物件などでは、委託料の節約が大きく影響するでしょう。
また、物件の状況を自分の目で把握するという意味でも、自主管理は優れているでしょう。自分で物件を管理するということは、建物の経年劣化や入居者の状況、共有スペースの使用環境など、さまざまな部分の変化をウォッチすることができます。
もともと空いた土地を所有しており、そこにアパートを建設して不動産投資をスタートしている不動産投資家などは、近隣に住んでいるなどの事情から、積極的に自主管理を選択しているケースもあります。
ただしその多くは、アパート経営やマンション経営で生計を立てている地主や富裕層であり、本業を持ったまま不動産投資をしようと考えている人とは事情が異なります。また不動産投資で目指すべきゴールも異なっているでしょう。
その点、自主管理のデメリットとしては、入居者対応や建物管理など24時間365日対応しなければならないということが挙げられます。本業を持つ人にとってこれはまず不可能だと考えられます。
費やさなければならない労力と時間という観点からも自主管理のデメリットは大きいのですが、さらに入居者との間で生じるトラブル対応のむずかしさも見逃せません。それらは往々にして専門的なスキルが必要となります。
たとえば不動産投資の収益面に直結する家賃管理。集金から滞納者の対応など、人的トラブルはデリケートな要素を多分に含んでいます。場合によっては法的な対応が求められることもあり、専門知識が欠かせません。
さらに、そうした管理体制が整っていないと入居者の不満が募り、退去者が続出する可能性もあります。入居者の安定的な獲得と維持は、不動産投資の収益性と密接に関連しています。退去者が出るということは、また入居者を確保しなければならないということです。
このように自主管理と委託管理には、それぞれメリット・デメリットがあります。不動産投資をほぼ完全に自動化するには委託管理を選択することになりますが、状況に応じて自主管理を選ぶケースもあるかもしれません。それぞれの違いを理解し、自分にとってよりプラスとなる意思決定を行いましょう。