2020年1~3月期確報値・法人企業統計・設備投資などについて

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

設備投資(除くソフトウェア)前年同期比、速報値の+3.5%から▲1.4%に

 

1~3月期GDP第2次速報・改定値で設備投資は下方修正か

 

 

●20年1~3月期の法人企業統計調査の全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の前年同期比は確報値で▲1.4%の減少と、速報値の+3.5%の増加から4.9ポイント伸び率が鈍化した。

 

●新型コロナウイルス感染拡大の影響で回答率は速報値(5月10日回答期限)で61.4%(うち中小企業55.8%)と低かったため、確報値(7月7日に回答期限延長)が発表された。確報値の回答率は70.6%(うち中小企業64.3%)に改善した。

 

●1~3月期・全産業(金融業・保険業を除くベース)設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の季節調整済み前期比は速報値の+7.2%から確報値では+3.6%に鈍化したものの2四半期ぶりに増加に転じた。また、法人企業統計(ソフトウェア投資額を含むベース)の季節調整済み前期比は1~3月期は速報値の+6.7%から確報値は+3.6%に鈍化したものの、3四半期ぶりの増加になった。

 

●資本金別に設備投資の内訳をみると、資本金10億円以上の大企業では確報値の前年同期比は+0.3%と速報値の+7.3%から7.0ポイント鈍化した。10~12月期の前年同期比▲8.0%からは8.3ポイント改善した。また、資本金1億円以上10億円未満の確報値の前年同期比は+11.8%と速報値の+7.2%から4.6ポイント改善した。10~12月期の前年同期比+1.5%からは10.3ポイントの改善になる。資本金1,000万円以上1億円未満の中小企業の確報値の前年同期比は▲9.2%で速報値の▲7.2%から2.0ポイント悪化した。10~12月期の前年同期比+3.9%からは13.1ポイントの悪化である。

 

●供給サイドのデータに基づいて算出した1~3月期GDP第2次速報値では、名目設備投資の前年同期比は▲1.6%で10~12月期の▲4.4%から2.8ポイント改善していた。法人企業統計では全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の速報値段階では前年同期比は10~12月期から1~3月期へ8.5ポイントと大きく改善していたが、確報値段階では3.6ポイントの改善にとどまった。このため、1~3月期GDP第2次速報・改定値での名目設備投資の前年同期比は下方修正される可能性が大きいと思われる。

 

●1~3月期GDP第2次速報値で、供給サイドのデータに基づいて算出した、1~3月期の名目設備投資の供給側推計値の名目原系列前期比は+7.2%で、需要側推計値の名目原系列前期比は+33.4%であると公表されているが、1~3月期法人企業統計調査・全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の原数値ベースの前期比は確報値で+35.0%と速報値の+41.7%から鈍化した。

 

(民間在庫変動)

 

●法人企業統計の仕掛品在庫をみると20年1~3月期速報値では▲4兆6,688億円で19年1~3月期の▲4兆3,429億円から▲3,260億円の減少であった。20年1~3月期確報値では▲4兆7,322億円で19年1~3月期の▲4兆3,429億円から▲3,894億円の減少になった。

 

●一方、原材料・貯蔵品在庫は20年1~3月期速報値は▲1兆8,763億円で19年1~3月期の▲5,269億円から▲1兆3,494億円の減少であった。20年1~3月期確報値は▲1兆3,377億円で19年1~3月期の▲5,269億円から▲8,108億円の減少になった。

 

●仕掛品在庫と原材料・貯蔵品在庫合わせた前年同期比・減少額は速報値の▲1兆6,754億円から確報値は▲1兆2,002億円になった。

 

●20年1~3月期のGDP第2次速報値の名目民間在庫変動・原数値は▲2兆3,232億円で19年1~3月期の▲1兆9,406億円からは▲3,826億円の減少であった。20年1~3月期GDP第2次速報値では名目民間在庫変動・原数値・前年同期比寄与度は▲0.3%であった。この内訳に関しては雰囲気しか教えてもらえないが、4項目でプラス寄与は仕掛品在庫だけで、残りはマイナス寄与ということだ。マイナス寄与が小さい順に、製品在庫、原材料在庫、流通品在庫となったようだ。

 

●今回の法人企業統計ではGDP第2次速報・改定値での名目民間在庫変動・原数値・前年同期比寄与度に対し仕掛品在庫が僅かな下方修正要因、原材料・貯蔵品在庫の上方修正要因になりそうだ。

 

(20年1~3月期GDP・第2次速報・改定値予測)

 

●8月3日に発表される20年1~3月期GDP第2次速報・改定値では、本日の法人企業統計の発表を受けて、設備投資、民間在庫変動が改定されよう。

 

●20年1~3月期GDP第2次速報・改定値では、実質設備投資は前期比▲0.2%程度と第2次速報値の同+1.9%の増加から減少に転じると予測した。また、実質民間在庫変動の前期比寄与度は0.0%程度と、第2次速報値の▲0.1%から上方修正されるとみた。

 

●20年1~3月期GDP第2次速報・改定値で、実質GDPは前期比▲0.8%程度、前期比年率▲3.2%程度と予測する。第2次速報値の前期比▲0.6%、前期比年率▲2.2%から下方修正されると予測する。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2020年1~3月期確報値・法人企業統計・設備投資などについて』を参照)。

 

(2020年7月27日)

 

宅森 昭吉

株式会社三井住友DSアセットマネジメント 理事・チーフエコノミスト 

 

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 理事・チーフエコノミスト

旧三井銀行(現三井住友銀行)で都市銀行初のマーケットエコノミストを務める。さくら証券チーフエコノミストなどを経て現職。
パイオニアである日本の月次経済指標予測に定評がある。身近な社会データを予告信号とする、経済・金融のナウキャスト的予測手法を開発。その他、「景気ウォッチャー調査」などの開発・改善に取り組んできている。「より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会」など政府の経済統計改革にも参画。「景気循環学会」常務理事。
著書に『ジンクスで読む日本経済』(東洋経済新報社)など。

著者紹介

連載【宅森昭吉・理事・チーフ エコノミスト】エコノミックレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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