2020年5月分「機械受注」データの分析

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

5月分機械受注(除船電民需)は前月比+1.7%と3ヵ月ぶりの増加に

 

5月分機械受注(除船電民需)は大型案件0件(前月も0件)

 

製造業は前月比マイナスだが、非製造業(除船電民需)は前月比プラス

 

4~6月期見通しの前期比▲0.9%達成には、6月前月比+32.2%必要

 

 

 

●5月分機械受注(除く船舶電力の民需ベース、以下、除船電民需と表記)の前月比は+1.7%と3ヵ月ぶりの増加になった。3ヵ月移動平均は前月比▲3.8%で2ヵ月連続の減少になった。また、機械受注(除船電民需)の前年同月比は▲16.3%で6ヵ月連続の減少になった。

 

●機械受注(除船電民需)の大型案件をみると、前回4月分の大型案件は、造船業1件(内燃機関1件)であった。今回5月分は0件であった。

 

●5月分製造業の前月比は▲15.5%と4ヵ月連続の減少だった。5月分の製造業では17業種中、6業種で増加し、減少は11業種だった。

 

●5月分非製造業(除船電民需)の前月比は+17.7%と2ヵ月ぶりの増加になった。前回4月分の電力業の大型案件は火水力原動機の2件あり、前月比は+115.4%の大幅増加だった。今回5月分ではその反動もあり、電力業は前月比▲68.8%の減少になった。そのため5月分の船舶・電力を含む非製造業全体では前月比▲13.7%と3ヵ月ぶりの減少になった。非製造業では、運輸業・郵便業が前月比+63.5%、通信業が同+33.0%、金融業・保険業が同+24.3%としっかりした伸び率になった。これらの業種では中長期的な計画に基づいた設備投資が実施されている感がある。非製造業12業種中、7業種が増加で5業種が減少となった。

 

●大型案件は、前回4月分では合計4件だった。内訳をみると、前述した機械受注(除船電民需)1件と電力業2件の民需合計3件の他に、外需1件(電子計算機等1件)であった。今回5月分は1件のみ。官公需・地方公務の、その他産業機械であった。

 

●中小企業の動きを反映している部分がある代理店受注は5月分前月比▲10.0%と4ヵ月連続の減少となった。前年同月比は▲27.1%と13ヵ月連続の減少になった。

 

●外需は5月分前月比▲18.5%で3ヵ月連続の減少になった。前年同月比は▲35.1%と4ヵ月連続の減少になった。

 

●内閣府の基調判断の推移をみると、19年9月分では「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」という判断に下方修正された。その後10月分ではさらに下方修正され、18年12月分~19年3月分以来の「機械受注は、足踏みがみられる」という判断になった。11月分・12月分・20年1月分、2月分、3月分と、「機械受注は、足踏みがみられる」という判断であったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響が大きく出た4月分では「機械受注は、足元は弱含んでいる」という判断に下方修正され、5月分では判断据え置きになった。

 

 

●4~6月期の前期比実績は、見通しに使う達成率の計算方法を変えた09年(平成21年)からの11年間でみると、見通しと比較して上振れ4回、下振れ7回であり、下振れることが多い四半期である。

 

●機械受注(除船電民需)4~6月期の見通しは前期比▲0.9%は、6月の前月比が+32.2%でないと達成できない。4~6月期の実績は見通しより下振れしやすい傾向があるが、今年もそうなりそうだ。

 

 

●景気ウォッチャー調査の設備投資関連・DIの最近の動きをみよう。20年1月の現状判断DIが52.8(同9人)と18年12月分の55.0以来の50超となった。グラフからは設備投資関連・現状判断DIの底堅さが感じ取れるようになってきていた。しかし、新型コロナウイルスの影響で現状判断DIは2月34.6(同13人)、3月11.4(同11人)、4月10.0(同5人)へと急落した。その後、緊急事態宣言解除もあり、5月は16.7(同9人)、6月は20.5(同11人)と底打ちした。ただし、6月のコメントはおおむね「新型コロナウイルス対策による客先業界の休業は明けてきたが、設備投資をするほどのホールがなく、なかなか売上につながらないのが現状である。」(東海、電気機械器具製造業〔経営者〕)のような厳しいものがほとんどだった。

 

●一方、設備投資関連・先行き判断DIは19年11月には51.6(同16人)と1月以来の50超に戻ったが、12月は40.3(同18人)、20年1月は35.4(同12人)、2月は36.1(同9人)、3月は21.4(同14人)、4月は18.8(同8人)と弱含んだ。新型コロナウイルスの影響によるところが大きそうだ。5月は26.4(同18人)に、6月は33.3(同15人)に持ち直した。6月では「業界としては、リモート、オンライン関係の設備投資を中心に需要が回復傾向にあり、今後も変化のないまま推移する。」(北海道、通信業〔営業担当〕)というリモート、オンライン関係の設備投資に関するコメントがあった。

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2020年5月分「機械受注」データの分析』を参照)。

 

(2020年7月9日)

 

宅森 昭吉

株式会社三井住友DSアセットマネジメント 理事・チーフエコノミスト 

 

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 理事・チーフエコノミスト

旧三井銀行(現三井住友銀行)で都市銀行初のマーケットエコノミストを務める。さくら証券チーフエコノミストなどを経て現職。
パイオニアである日本の月次経済指標予測に定評がある。身近な社会データを予告信号とする、経済・金融のナウキャスト的予測手法を開発。その他、「景気ウォッチャー調査」などの開発・改善に取り組んできている。「より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会」など政府の経済統計改革にも参画。「景気循環学会」常務理事。
著書に『ジンクスで読む日本経済』(東洋経済新報社)など。

著者紹介

連載【宅森昭吉・理事・チーフ エコノミスト】エコノミックレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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