どこの街に住むかの選択は、仕事やプライベートに大きな影響を与える。さらに家賃が家計支出の大きなウェイトを占めることを考えると、居住地は資産形成までも左右するといえる。総合的に考えて住みやすい街はどこなのだろうか? 20代後半から30代前半の単身会社員の住み心地を考えていこう。今回取り上げるのは、東武鉄道東上線の「坂戸」。

都心から40キロのベッドタウン…気をつけるべきリスク

「坂戸」は埼玉県坂戸市に位置する、東武鉄道東上線の駅であり、東武鉄道越生線の起点となっている駅です。1日の乗降者数は3万人弱。坂戸市の東京都内の通勤率は13%ほどといわれています。

 

坂戸市は埼玉県の中央部。東京都心からは40kmほど離れたベッドタウンです。その地名は、源義家の家臣の坂戸判官教明が居住していたから…や、集落の境の場所という意味だから…など、諸説あります。

 

江戸時代には日光裏街道と呼ばれた日光脇往還沿いは、約180軒が並ぶ宿場として栄えました。しかし明治時代以降は目立った開発がなく、のどかな郊外というポジションが長らく続きます。

 

しかし高度成長期に変化が起こります。東京都心で住宅不足が深刻化した影響を受け、郊外に続々と団地が開発される流れが、坂戸まで到達したのです。1973年、北坂戸団地、1979年、若葉台団地、さらに市郊外でも東坂戸団地、西坂戸団地、鶴舞団地、第一住宅団地などが誕生し、急激に人口は増加。1976年、市制施行に至ります。

 

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郊外型のニュータウンであれば、どこも同じような悩みを抱えているように、ここ坂戸でも、団地入居者の高齢化に伴った街の衰退が問題視されています。幹線道路沿いでは商業施設やロードサイド店が続々と誕生している一方で、中心市街地の過疎化が進行。「坂戸」駅周辺は寂しい装いに。

 

坂戸市は「坂戸」駅周辺の活性化に乗り出しますが、2016年、駅チカで最大の商業施設であった「イトーヨーカドー 坂戸店」が閉店。その後、食品スーパーなどが入る「アクロスプラザ坂戸」としてオープンしましたが、活性化に転じているとはいえない現状です。

 

もうひとつ、坂戸に住むなら考えておきたいのが水害です。坂戸市は高麗川と越辺川、さらにこれらの川に流入する支流がいくつか流れる、いわば川の街。大雨の際の洪水リスクが懸念されています。市内の一部は土砂災害危険箇所にも指定されているので、市で配布している水害ハザードマップは必ずチェックしておきたいところです。

 

東武鉄道東上線
東武鉄道東上線

 

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