「塩漬け=負けではない」根拠なしの自信が悲劇を生む
しかしながら、多くの投資家が、このような思考を携えて日々取引に励んでいると感じます。父もまさしくその一人でした。
誰もが負けること、損することを嫌います。損切りをすることは、負けを認めたも同然です。頑なに拒否反応を起こしてしまうのです。そして、損した状態で保有を続ける「塩漬け」状態なら、負けではない、損はしていないという錯覚を抱いています。
なぜ「上がったものはいつか下がるだろう」とか「下がったものはいつか上がるだろう」という、根拠のない思考を持ってしまうのか。その理由はまさに「根拠がない」からです。
根拠さえ持っていれば、上がっている銘柄は「まだまだ上がるだろう」という積極的思考で保有し続けることができますし、下がっているものは早々に見切りを付け手放すことができます。
ではその根拠はどこに転がっているのか。株価の動きをただ眺めているだけでは、決してつかむことはできないと私は思います。日々の情報収集はもちろんのこと、各企業の商品やサービスに触れることや、説明会や財務状況を知らせる資料に目を通したり、展示会などのイベントに参加したりすることで、根拠のピースをつかむことができるのです。これら一つひとつの行動が必ず結果に結びつきます。
上がっている投資先が今後もさらに上がり続ける可能性を見いだせるでしょう。下がっているものがまだまだ下がっていく悪材料を掘り当てることもできるでしょう。下がっていても今後は上がっていくだろうという道筋を探し出すこともできるはずです。これこそが、株式投資をしていくうえで絶対に欠かすことのできないメンタルと実践方法なのです。
父という投資の反面教師がいてくれたからこそ、私は現在正しい手法でもって投資に取り組み、結果を着実に出すことができています。そしてその具体的な手順を、余すことなく解説していくことが本連載の目的です。
次回は明日配信(7/16)。
※本記事は書籍『株オタクの現役IFAが指南!本当に儲かる「株」講座』を抜粋したものです。
原田 茂行
IFA/自由が丘財産コンサルタンツ合同事務所代表/一般社団法人シニアウェルスライフ協会代表理事