投資のプロフェッショナルである機関投資家からも評判のピクテ投信投資顧問株式会社、DEEP INSIGHT。日々のマーケット情報や政治動向を専門家が読み解き、深く分析・解説します。

調査官は重加算税をかけたがる
相続税の「税務調査」の実態と対処方法
5/19(日)>>>WEBセミナー

 

1818年にニューヨークで創業した米老舗紳士服の「ブルックス・ブラザーズ」は7月8日、日本の民事再生法に相当するチャプター11(米連邦破産法第11条)の適用を裁判所に申請し経営破綻した。V字回復の様相を呈する米国株式市場とは裏腹に、米国では大手企業の倒産が相次いでいる。

コロナ禍で押し寄せた「企業淘汰」の波

米国ではコロナショックをきっかけに企業の倒産が相次いでいる。衣料品の「J.クルー」、レンタカーの「ハーツ」、百貨店の「ニーマン・マーカス」、シェールの「チェサピーク・エナジー」などは、今年3月以降に経営破たんした代表的企業だ。無論、これらの企業はコロナショック前から経営に行き詰っていた。小売はアマゾンの台頭、シェールは再生可能エネルギーへのシフトなどによる逆風が業績を圧迫していた。しかし、コロナ禍の影響はこれらの業種にとどまらない。

 

米国の倒産件数(負債5千万ドル以上)は7月8日時点で年初来134件、すでに2019年通年の139件に迫る勢いだ(図表1)。倒産件数を業種別で見ると、小売が含まれる一般消費財・サービスが全体の40%、エネルギーが17%であり、2業種を合わせると過半を占める(図表2)。この2業種が多大なる影響を受けていることは自明の理だが、逆に言えばそれ以外の業種が全体の43%を占めていることを意味し、決して「企業淘汰」の波が特定業種にのみ押し寄せているわけではないことが分かる。

 

年次、Chapter7とChapter11(負債5千万ドル以上)の申請件数 2020年は年初来、期間:1995年1月1日~2020年7月8日 ※Chapter7(米連邦破産法第7条)、Chapter11(米連邦破産法第11条) 出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成
[図表1]米国倒産件数 年次、Chapter7とChapter11(負債5千万ドル以上)の申請件数
2020年は年初来、期間:1995年1月1日~2020年7月8日
※Chapter7(米連邦破産法第7条)、Chapter11(米連邦破産法第11条)
出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成

 

期間:2020年1月1日~2020年7月8日 出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成
[図表2]米国倒産件数業種別割合(年初来) 期間:2020年1月1日~2020年7月8日
出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成

「二極化」による功罪

一方で、コロナ禍はGAFAといった「勝ち組」を鮮明にした。2020年6月末時点で時価総額上位5社のアップル、マイクロソフト、アマゾン、アルファベット、フェイスブックのうち、株価がコロナ前の高値を更新していないのはアルファベットのみで、それ以外は軒並み高値を更新した。

 

さらに、これら5社の一極集中も際立っており、米国市場全体の時価総額に占める割合は2020年6月末時点で全体の18.6%まで上昇(図表3)、米国株式市場がV字回復の様相を呈しているのも、これら大型成長株が株価上昇をけん引しているからに他ならない。

 

しかし、裏を返せばそれ以外の銘柄は劣後しているということになる(上位5社以外の時価総額が同様に上昇していれば、上位5社の時価総額割合は一定になる)。株式市場だけを見ていては実体経済の悪化は見えてこない。景気回復によって米国企業全体の業績が戻らなければ、「倒産連鎖」のリスクはこれまで以上に高まる可能性がある。

 

月次、期間:2005年1月末~2020年6月末(Facebookは2012年5月末~) ※米国市場時価総額はADR、ETF除く ※主要5社はApple、Microsoft、Amazon、Alphabet、Facebook 出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成
[図表3]米国市場時価総額と主要5社時価総額割合(全体比) 月次、期間:2005年1月末~2020年6月末(Facebookは2012年5月末~)
※米国市場時価総額はADR、ETF除く
※主要5社はApple、Microsoft、Amazon、Alphabet、Facebook
出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『米国に漂う「倒産連鎖」の暗雲』を参照)。

 

(2020年7月10日)

 

田中 純平

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト

 

 

カメハメハ倶楽部セミナー・イベント

【5/7開催】ABBA案件の成功体験から投資戦略も解説
世界の有名アーティスト「音楽著作権」へのパッション投資とは

 

【5/8開催】使わない理由はない!?
金融資産1億円以上の方だからできる「新NISA」活用術

 

【5/8開催】「相続登記」を放置するとどんなトラブルに?!
2024年4月施行「相続登記の義務化」を専門弁護士がイチから解説

 

【5/9開催】認知症対策だけじゃない!
数世代先の相続まで見据えた資産管理・承継ができる
「家族信託」活用術

 

【5/9開催】「海外法人のつくり方・つかい方」
日本に居ながら自分の「分身」を海外に作るメリットは何か?

 

【5/11開催】相続人の頭を悩ませ続ける
「共有名義不動産」の出口は“売却”だけじゃない!
問題点と最新の解決策を藤宮浩氏が特別解説

 

【5/12開催】良い案件を見つける3つの方策とは?
「日本型オペレーティングリース」投資の基礎講座

【ご注意】
●当レポートはピクテ投信投資顧問株式会社が作成したものであり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。当レポートに基づいて取られた投資行動の結果については、ピクテ投信投資顧問株式会社、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当レポートに記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当レポートは信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当レポート中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資家保護基金の対象とはなりません。
●当レポートに掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録