不動産賃貸業はどの程度から「事業的規模」になるのか?

本連載は、不動産の売買・交換、相続税、贈与税などの分野で積極的な問題解決を提案している税理士・鈴木高広氏の最新刊、『税額はこれだけ変わる!平成28年度税制対応 納税対策Q&A 不動産・相続編』(ビジネス教育出版社)の中から一部を抜粋し、不動産にまつわる税金対策の基礎知識をご紹介します。

手伝ってくれる親族への給与なども扱いが異なる

Q.「事業的規模」となる不動産賃貸であれば、賃貸業を手伝ってくれている家族に給与が支払えると聞きましたが、その「事業的規模」とは、どの程度のことをいうのでしょうか?

 

A.不動産賃貸業による所得は、不動産所得として計算することとなります。その際、親族がその賃貸業を手伝ってくれているからといって、給与を支給したとしても、その給与は原則として所得計算上の経費とはなりません。給与をもらった親族のほうも給与所得とはなりません。

 

ただし、その不動産賃貸業が事業的規模であり、その親族がもっぱらその事業に従事する場合には、「事業専従者控除」として一定の金額を経費計上することができます。さらに青色申告をすれば、実際に支払った給与を経費に計上することができることとなります。

 

給与をもらった親族は、「給与所得」として所得税の対象になりますが、給与所得の場合には、「給与所得控除」がありますので、その分については実質的に非課税となります。

 

建物や土地の要件を満たしているか?

不動産の貸付が「事業的規模」であるかどうかの判断基準は、次のような要件を満たしているかどうかによります。

 

<建物の場合>

 

①貸間、アパートなどについては、賃貸することができる独立した部屋数がおおむね10室以上あること。

 

②独立した家屋の賃貸については、おおむね5棟以上であること。

 

<土地の場合>

 

①原則として、社会通念上、事業といえる程度の規模であるかどうかによって判断する。

 

②その判定が困難なときは、貸室1室や貸地1件あたりのそれぞれの平均的賃貸料の比、貸室1室や貸地1件あたりの維持・管理に要する役務提供の程度などを考慮し、地域の実績と個々の実態などに応じ、1室の貸付に相当する土地の貸付件数を「おおむね5」として判定する。

 

[例]

 

<事業専従者の給与控除額の計算法>

 

事業専従者控除額は、次のいずれか低い金額になります。

 

①事業専従者1人につき、年間50万円(配偶者は86万円)

 

②事業専従者1人につき、

{その不動産所得(または事業所得)/ 事業専従者の数+1} の金額

 

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連載<平成28年度税制対応>ケースで見る不動産賃貸の節税対策

株式会社アウェイクコンサルティング 代表取締役
税理士法人アウェイク総合会計事務所 代表社員税理士 

昭和60年青山学院大学経営学部卒業。メーカー系販売会社に入社。主として販売企画業務に携わる。平成9年(株)タクトコンサルティング本郷会計事務所入社。相続、譲渡、交換、事業承継、土地活用、M&A等に関する実務および企画、研究、講演、執筆等を担当する。
平成16年 株式会社アウェイクコンサルティング、アウェイク総合会計事務所を設立、代表取締役に就任。個人、企業が抱える問題に対して、正確な分析に基づいた「生前贈与」「不動産の交換・買換え」「貸地・借地の整理」「各種保険の活用」「合併・清算」などの各種対策の提案を行い、問題解決の早期実現をサポートしている。

著者紹介

税額はこれだけ変わる! 平成28年度税制対応 納税対策Q&A 不動産・相続編

税額はこれだけ変わる! 平成28年度税制対応 納税対策Q&A 不動産・相続編

鈴木 高広

ビジネス教育出版社

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