外国人に聞かれた「日本と中国は昔同じ国だったんでしょう?」

ビジネスで海外の人々と関わる際、自国の歴史の知識は必須だといえます。しかし、日本人が注意しなくてはならないのが「外国人に関心の高い日本史のテーマは、日本人が好むそれとは大きく異なる」という点です。本連載は、株式会社グローバルダイナミクス代表取締役社長の山中俊之氏の著書『世界96カ国をまわった元外交官が教える 外国人にささる日本史12のツボ』(朝日新聞出版)から一部を抜粋し、著者の外交官時代の経験をもとに、外国人の興味を引くエピソードを解説します。

 

たとえば、宦官(かんがん)の仕組みは日本に合わないとして取り入れませんでしたし、科挙も世襲制の影響が強い日本では根付きませんでした。一方で、仏教や禅、茶道は取り入れ、日本風にアレンジして発展させていったのです。

 

アジア以外の人々は、日中韓3カ国の歴史や文化の違いに詳しくありません。欧米や中東の人たちに日中韓の共通項と相違点について話す機会は非常に多いのですが、いつもその関心の強さを感じます。

日本と中国の交流は、いつから始まったのか

1万2000年くらい前までは日本列島は、大陸と地続きであったといわれます。その頃すでに縄文時代が始まっていました。

 

縄文時代の遺跡として有名なのが、青森県の三内丸山(さんないまるやま)遺跡です。ここから出土した土器や装飾物には地元以外の地域との交流をうかがわせるものが多数あります。

 

大陸からの影響で日本の生活に大きな変化をもたらしたものの一つに、稲作の伝来があります。岡山県の南溝手遺跡からは3000年ほど前には稲作が実施されていたことがわかっています(諸説あります)。大陸のどこからどのように伝来したかについては、諸説あり定まっていません(清水徹朗「〈レポート〉農林水産業稲作の起源と縄文農耕論」『農中総研調査と情報2019・3・第71号』)。

 

中国大陸との関係がより明確な形で検証されるのは、もっと後のことで、中国で編纂された『後漢書』のなかでふれられています。日本の歴史は、日本の書籍よりも中国の書籍において明確な形で現れてくるのです。

 

日本の歴史は「中国の書籍」に明確な形で表れてくる(写真はイメージです/PIXTA)
日本の歴史は「中国の書籍」に明確な形で表れてくる(写真はイメージです/PIXTA)

 

紀元5世紀に編纂された『後漢書』には、1世紀に倭の奴国からの使者が後漢の光武帝(こうぶていから)印綬を与えられたことが記されています。この時の印綬が志賀島(しかのしま)で発見された金印『漢委奴国王印(かんのわのなのこくおういん)』。一般には18世紀の終わりに甚兵衛という農民がたまたま発見したといわれています。1700年にわたり島の土のなかに眠っており、農民にたまたま発見されるとは、歴史は偶然の発見で綴られていくものであることがわかります。

 

当時日本には文字がありませんでした。日本の周辺国で文字があった大国は中国です。中国は歴史書として自国や周辺国について記録を残してきた国。多様な民族を抱える中国では、文字によって社会を束ねる必要がありました。

 

株式会社グローバルダイナミクス 代表取締役社長

神戸情報大学院大学教授。「世界と日本」の歴史や文化に関する企業研修やセミナーを多数実施。1968年兵庫県西宮市生まれ。東京大学法学部卒業後、90年外務省入省。エジプト、英国、サウジアラビアへ赴任。対中東外交、地球環境問題などを担当する。また、首相通訳(アラビア語)や国連総会を経験。外務省を退職し、2000年、株式会社日本総合研究所入社。全国の自治体改革の案件に多数関与。09年、稲盛和夫氏よりイナモリフェローに選出され、アメリカ・CSIS(戦略国際問題研究所)にてグローバルリーダーシップの研鑽を積む。10年、グローバルダイナミクスを設立。SDGsカードゲームファシリテーターとしてSDGsの普及にも務める。ケンブリッジ大学大学院修士(開発学)。高野山大学大学院修士(仏教思想・比較宗教学)。ビジネス・ブレークスルー大学大学院MBA、大阪大学大学院国際公共政策博士

著者紹介

連載世界96ヵ国をまわった元外交官が教える「外国人にささる日本史12のツボ」

世界96カ国をまわった元外交官が教える 外国人にささる日本史12のツボ

世界96カ国をまわった元外交官が教える 外国人にささる日本史12のツボ

山中 俊之

朝日新聞出版

ビジネスで海外の人々と関わるのであれば、自国の歴史の知識は必須だ。しかし外国人に関心の高い日本史のテーマは、日本人が好むそれとは大きく異なる。本書は海外経験豊富な元外交官の著者が外国人の興味を引くエピソードを解…

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!