消費者にはメリットを、事業者には公正な事業の機会を
我々はまさに「今ここ」にいます。電力小売の全面自由化に向けて、新規参入を計画する事業者のみなさんはラストスパートを切っているところでしょう。2016年4月から一般家庭をはじめ、コンビニエンスストアや事務所など50kW以下の低圧部門まで、いよいよ自由化の対象領域が広がります。
自由化となる低圧部門の市場規模は約7.5兆円といわれ、多くの企業が参入を表明しているのはご存じの通りです。小売全面自由化の名に違わず、これまでとは比べものにならないほどの数と、さまざまな業種の事業者が電力の小売事業を開始することが想定されています。
そのため、一般消費者を含めた需要家が自由化のメリットを享受できるようにするとともに、小売電気事業者が公平かつ公正に事業を行えるよう、さまざまな制度や運用ルールの整備・見直しが検討されてきました。
小売電気事業者に関わる制度と運用ルールの具体例
低圧の小売事業に参入する事業者は、以下の制度・ルールを踏まえて、提供するサービスや事業を推進するための組織・業務プロセスの検討を進めることになります。
①スイッチング(事業者切替)に関するルールの策定
●電気の使用場所を特定するための「供給地点特定番号」の設定
●ワンストップで切り替えを実現するスイッチング支援システムの導入
●スイッチングに要する標準日数の設定
②需要家保護施策の整備
●スイッチング時の本人確認ルール
●契約時に行う説明や書面交付義務(重要事項説明義務)
●電源構成等の適切な情報開示
●電気料金滞納時の取り扱いルール
●最終保障供給(セーフティーネット)の設定
●離島ユニバーサルサービス
③一般送配電事業者から提供される30分電力量や確定使用量データの標準化
④低圧向け託送供給約款・託送料金の設定
⑤停電調査などにおける小売電気事業者と一般送配電事業者の役割分担の明確化
⑥「1時間前市場」の新設などJEPXでの取引の活性化
⑦新たな同時同量制度となる「計画値同時同量」の導入
⑧市場価格連動型となるインバランス料金制度の改定
⑨再生可能エネルギー固定価格買取制度の交付金算出方法の見直し