海の物流拠点として期待されるコロンボ港の課題

中国資本によって新しくできたコンテナ・ターミナルCICTと、既存の公営ターミナルJCTに民営SAGTの3つが競いあうスリランカのコロンボ港。「インド洋のハブ」を目指すスリランカにおいて、海上物流の拠点となることが期待されているコロンボ港の課題についてお伝えします。

好景気に発注した船舶の受入れが負担に

国際的な金融危機以後、コンテナ取扱量が未だ回復途上にある中で、景気が良い時に発注した新しい大型船の受け入れが増えており、船会社は悪戦苦闘している。2015年のコンテナ量自体の増加率は僅か1.1%であったのに対し、国際運航するコンテナ船の数は8.5%も増えているのだ。

 

船会社同士や地域の港の間では、コンテナを巡って激しい奪い合いが起こっており、2016年の状況は、2015年よりも更に悪化すると見られている。激しい競争の中で生き延びるためには、各ターミナルは新たな取引を誘致できるよう、それぞれ効率性を高めなければいけない。

 

船会社にとって、船が港に長く滞在すればするほど、費用が嵩んでいく。そのため、ターミナルのコンテナ処理速度は重要な指標となる。コロンボ港にある民営のターミナルSAGTと中国資本による新しいターミナルCICTは、岸壁クレーン1台で1時間につき30~35個のコンテナを運べる。一方、同港にある公営ターミナルのJCTは、処理能力が25コンテナ以下と効率が悪い。船会社にとって、ターミナルに付属するクレーンの性能は、どのターミナルを使用するかの判断材料となる。

求められるコロンボ港の「大深度化」

JCTの管理体制も生産性の低さの要因だ。JCTは公営ターミナルであるため、設備を修理するにも、政府による厄介な調達規則に従わないといけない。そのため、JCTのクレーンは最初に導入された1985年以来同じものを使い続けている。また、JCTはいくつかの労働組合にも悩まされている。それぞれの組合は別々の政党と連帯しているため、抜本的な社内改善を行うのが難しいのだ。

 

JCTの業績不調は、その所有者であるスリランカ港湾局にとってこれ以上にないほどに最悪なタイミングでやってきた。スリランカ港湾局は、2014年には4年前の倍にあたる890億スリランカ・ルピーの収益をあげたが、現在は財政難に直面している。スリランカ南部ハンバントタに150億ドルを借りて港湾を整備したのだが、収益を生みほどには船が立ち寄ってくれないことが重荷になっている。

 

スリランカ港湾局の負債のうち、2016年に返済期限を迎えるのは90億スリランカ・ルピーであり、2018年にはその額が倍になると見込まれている。不調のJCTはもちろん、業績が好調のSAGTですらも、さらに効率性を高めれば、まだまだ事業を拡大できる余地はあり、スリランカ港湾局は期待を寄せている。ただ最終的には巨大コンテナ船を受け入れることができるように、コロンボ港の水深を深める全面改修が、JCTとSAGTのためには必要となるだろう。

『ECHELON(エシュロン)』は、スリランカの三大ビジネス誌のひとつ。著名な経営者・ビジネスパーソンのインタビュー記事から、同国の金融・経済・投資・不動産などの最新事情、ラグジュアリーなアイテムやライフスタイル等の記事を幅広く掲載。経営者層やハイクラスなビジネスパーソンなど、同国の物的・知的富裕層を多数読者に抱える。(写真はチェアマンのChanna De Silva氏)

著者紹介

連載「インド洋のハブ」を目指し、港湾整備が進むスリランカと中国資本の思惑

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2016年3月に掲載した記事「COLOMBO’S NEW DEEP- WATER CONTAINER TERMINAL WORSENS PRODUCTIVITY AT GOVERNMENT-OWNED JCT」を、翻訳・編集したものです。

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