2014年に本格稼働した中国資本によるコロンボ国際コンテナ・ターミナル(CICT)。世界有数の巨大コンテナ船を受け入れることが出来るCICTの誕生によって、公営のコンテナ・ターミナルに影響が出ています。インド洋の物流ハブを目指すスリランカですが、その拠点となるコロンボ港の現状を3回にわたってお伝えします。

業績が低迷するスリランカ最大のコンテナ・ターミナル

コロンボにある「ジャヤ・コンテナ・ターミナル(JCT)」は、スリランカ港湾局が運営し、年間400万TEU(20フィートコンテナ)の取扱量を誇るスリランカ最大のコンテナ・ターミナルだ。そのJCTにおける2015年の稼働率が、ここ5年間で最も低いことが問題となっている。

 

JCTの稼働率が下がった原因は、新たに稼動した中国資本のコロンボ国際コンテナ・ターミナル(CICT)に積荷を奪われたことと、水深が足りず超大型のコンテナ船が入ってこられないという二つが挙げられる。CICTはJCTがあるコロンボ港のすぐ隣に新たに作られ、深い水深を誇るコロンボ南港にある。

 

ターミナルのキャパシティだけでみれば、中国資本のCICTの取扱量は240万TEUと、JCTの約半分にしか過ぎない。またJCTの向かいにある「東南アジア・ゲートウェイ・ターミナル(SAGT)」の取扱量も110万TEUとJCTの約4分の1だ。しかし公営のCICTは、量では勝っても効率では近接する両ターミナルに水をあけられているのだ。

中国資本による新たなターミナルの稼動が影響

CICTは2013年後半から開港し、本格稼動を始めた2014年の取扱量は70万TEUを下回ったものの、2015年には160万TEUを取り扱って、稼働率は67%に到達した。これは国が管理するJCTが一度も到達したことがない高い稼働率だった。

 

一方のJCTの稼働率は、250万TEUを取り扱った2014年は62%だったのが、2015年には55%に減少した。これは、明らかに2014年のCICTの本格稼働に影響を受けている。SAGTの稼働率も、ピークだった2010年と2011年時の172%から徐々に下降し、2015年には127%にまで下がった。しかし、SAGTでは依然としてキャパシティを上回る取引が行われおり、業績は順調だ。

 

スリランカ政府は国の機関であるスリランカ港湾局を通じて、スリランカの港を管理している。CICTは香港で上場しているChina Merchant ホールディングスによって運営され、SAGTはスリランカの上場企業であるJohn Keellsホールディングスによって運営されている。しかし、港湾施設を利用するにあたって、両社はスリランカ政府と協定を結んでおり、スリランカ港湾局はCICTとSAGTのそれぞれの株を15%保有している。

 

次回は、CICTが成功を収めた要因およびJCTの課題をご紹介します。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2016年3月に掲載した記事「COLOMBO’S NEW DEEP- WATER CONTAINER TERMINAL WORSENS PRODUCTIVITY AT GOVERNMENT-OWNED JCT」を、翻訳・編集したものです。

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