日本では年間約130万人の方が亡くなっています。つまり相続税の課税対象になろうが、なかろうが、130万通りの相続が発生しているのです。お金が絡むと、人はとんでもない行動にでるもの。トラブルに巻き込まれないためにも、実際のトラブル事例から対策を学ぶことが大切です。今回は、編集部に届いた事例のなかから、遺言書にまつわる、あるきょうだいの間で起きたトラブル事例をご紹介。円満相続税理士法人の橘慶太税理士に解説いただきました。

遺言書の内容に驚愕!無効を訴え、右往左往

子どものいないE子の葬儀は、A子さんの母であるB子さんが喪主を務めました。そのとき、式に参列してくれた施設のスタッフから、遺言書の存在を聞きました。その遺言書が、トラブルの火種になりました。

 

そこに書かれていたのは、「遺産のすべてを寄付する」という内容で、どこにいくら寄付するのか、細かく指定されていたといいます。その総額は1億円を超えていました。そしてその内容に驚愕したのが、C子さんとDさん。

 

「なんで! あんなに良くしてあげたのに、なんという仕打ち!」

 

「全額寄付なんて嘘だろ! 1円も遺さないなんて薄情者!」

 

遺言書を開封した際には、きょうだい以外にも人はいましたが、C子さんとDさんはそんなこと構うことなく、大きな声でわめき散らしました。そして寄付先のひとつである、E子さんが入居していた介護施設に乗り込みました。

 

「『お前らが妹にけしかけたんだろ!』などと因縁をつけたみたいですよ。施設の方も寝耳に水だったようで、驚いたでしょうね……」

 

実は、そのような遺言書を書くことを勧めたのは、A子さんの母でした。

 

「2人の様子をみていて、もしE子さんの相続が発生したら、多かれ少なかれ揉めるだろうから、きょうだいにお金を遺してくれるな、自分が納得する遺し方をしなさいと」

 

そんな事情を知らず、2人はAさんの母に遺言書は無効だと同意するようにと迫りましたが、Aさんの母は首を縦にふることはありませんでした。

 

うちの妹に何かいったんでしょ!
うちの妹に何かいったんでしょ!

 

 

次ページ解説:遺言書の内容を変えることはできるのか?

※本記事は、編集部に届いた相続に関する経験談をもとに構成しています。個人情報保護の観点で、家族構成や居住地などを変えています。

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