なぜ株価は上がったり下がったりするのか
実際に、株を購入しようとするときに、やはり気になるのは値動きです。選択した会社の株価を時系列チャートで見ると、かなりの幅で上がったり下がったり、あるいは上がり続けたり、下がり続けたりしていることが分かるでしょう。
いってみれば、株価の値動きは人気投票のようなものです。自らも株式投資に熱心であった経済学者のジョン・メイナード・ケインズ氏は、株式市場を「美人投票」にたとえました。
しかし、この「美人投票」は、単に自分が美人だと感じた人に投票する、シンプルな「美人投票」ではありません。投票の結果、優勝した美人に投票した人たちに賞金が出るような「美人投票」なのです。経済学的に言えば、このとき投票者は、自分が美人だと思う人に投票するのではなく、皆が美人だと思うだろう人に投票するようになります。
しかし、はたして「皆が美人だと思うだろう人」を確実に当てることができるのでしょうか。だいたいはできるかもしれませんが、時に外れることがあります。そのため、株式市場は参加者の思惑によってあっちへ動いたり、こっちへ動いたりするのです。それを面白いと感じる人が株式投資には向いているのかもしれません。
ちなみに、競馬や競輪のようなギャンブルは、周囲の人の思惑は賭け率にこそ影響するものの、レースの勝ち負けには関係ありません。その意味では、ギャンブルは個人的な戦いであり、株式投資は社会的な戦いであるともいえるでしょう。
もし、株式市場に参加している投資家が、企業業績を見て成長しそうな企業にばかり中長期的な投資を行うファンダメンタルズ投資家ばかりであれば、市場はもっと穏やかなものになるかもしれません。しかし、投資家のなかにはデイトレーダーもいれば、空売りをしかけるヘッジファンドもいます。そのため、株式市場の動きは予測がつかないことも多くなります。長期投資をお勧めしていることに変わりはありませんが、それもまた市場の面白さかもしれません。
勉強のためには、まず自腹で購入を
これから株式投資を始めようという人は、いきなり株を大量に購入するのではなく、まずは1万円くらいの「ミニ株」や「るいとう(株式累積投資)」から始めて、しばらくはチャートを観察するのもよいかもしれません。
このとき大切なのは、少額でもよいので、必ず自腹を切って株を購入することです。よく、買ったつもりで観察しろなどといわれますが、「つもり」では真剣に観察する気が起きず、そのうちに面倒くさくなって見るのをやめてしまいます。
何かを身につけたいと思えば、少額でもよいので自腹を切るのが基本です。親のお金で行く大学ではろくに勉強しなかった人でも、社会人になってから自分のお金で大学や大学院に再入学すると、驚くほど熱心に勉強するものです。