どこの街に住むかの選択は、仕事やプライベートに大きな影響を与える。さらに家賃が家計支出の大きなウェイトを占めることを考えると、居住地は資産形成までも左右するといえる。総合的に考えて住みやすい街はどこなのだろうか? 20代後半から30代前半の単身会社員の住み心地を考えていこう。今回取り上げるのは、JR線や東急線が利用できる「武蔵小杉」。

再開発でタワマン林立も、浸水被害で人気ダウン

「武蔵小杉」駅は川崎市中原区に位置する、東急電鉄東横線、目黒線、JR南武線、横須賀線、湘南新宿ライン(相鉄線直通含む)の接続駅です。東急駅の1日の乗降客数は22万人ほど、JR駅の1日の乗車人数は13万人ほどです。

 

江戸時代、この一帯は中原街道の小杉宿として栄えたところ。現在でも「小杉陣屋町」「小杉御殿町」など、当時を思わせる町名が並んでいます。また徳川将軍家の宿泊施設があったことから、敵が攻めにくいよう、道がクランク状に曲がっている箇所が今も残っています。

 

 

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タワーマンションが林立するようになったのは、再開発が行えるまでの広大な土地があったからです。1930年代、現在の富士通本店・川崎工場(最寄りは「武蔵中原」駅)NEC玉川事業場(最寄りは「向河原」駅)ができるなど、次々と大企業の工場が進出しました。しかし高度成長期、周辺で急速に宅地化が進行すると、工場は移転し、用地変更が行われます。

 

そして1995年、地域初の高層ビル「武蔵小杉タワープレイス」が誕生。2007年「レジデンス・ザ・武蔵小杉」が竣工すると、わずか10年足らずの間に20階建て以上のタワーマンションが14棟も建てられることになりました。また、2014年に「グランツリー武蔵小杉」「ららテラス武蔵小杉」と、大規模商業施設が次々とオープン。「商・住」が同居する交通至便な街として人気が急上昇しました。

 

しかし急激に街が膨張したことで、公共交通が逼迫。通勤時間帯には改札を通るのに行列ができるなど、弊害が生じました。さらに2019年、台風19号の大雨の影響で一帯が浸水被害を受けると、地域の自然災害に対する脆弱性も注目されるようになりました。

 

急激な発展により、良くも悪くも注目されてきた「武蔵小杉」。今後もいくつかの大規模な開発により街の膨張はまだ続く予定です。街の規模にあったインフラの整備が望まれています。

 

「武蔵小杉」のタワーマンション群
「武蔵小杉」のタワーマンション群

 

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