新興国市場は大きく出遅れ
底入れ後の反発力が弱い
■新型コロナウイルスの感染拡大の影響で世界の株式市場は2月から3月にかけて急落しましたが、各国の大規模な財政政策や過去に例のない積極的な金融緩和を好感し、底入れしました。ただ、底入れ後の反発力は、先進国と新興国の株式市場で大きな差が生じています。新型コロナ対策で実施された行動制限により、先進国では新規感染者数がピークアウトし、景気回復への期待が高まった一方、多くの新興国では感染拡大に歯止めがかからないことが影響していると考えられます。
新興国の中でも格差拡大
感染抑制の成否が影響
■新興国市場の中でも、新型コロナの感染抑制の成否によりパフォーマンス格差が生じています。主な新興国市場の株価の年初来騰落率(5月末時点)をみると、ブラジルが▲43.6%、インドが▲18.1%となるなど、感染拡大が深刻な国の下落率が新興国全体(▲16.5%)よりも大きくなっています。
■一方で、中国が▲5.9%、韓国が▲8.3%など感染封じ込めに成功した国は、先進国全体(▲8.9%)と比べても下落率が小さくなっています。
引き続き感染者数の動向がカギ
■米ジョンズ・ホプキンス大学の日本時間5月31日の集計によると、新型コロナの世界の感染者は累計で600万人を超えました。特にブラジルやロシア、インドなどの新興国で感染拡大が続いており、世界保健機関(WHO)は警鐘を鳴らしています。
■今後の新興国株式市場は、引き続き感染者数の動向がカギとなりそうです。感染拡大に歯止めがかからなければ経済を再開しても停滞が長引く可能性が高く、新興国市場の中でも選別が続くとみられます。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『新型コロナの影響がより深刻な新興国株式市場』を参照)。
(2020年6月2日)
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