神棚にしまった母の預金通帳はどこに消えた!?
ある日、Aさんの母が自身の終活について話しておきたいと、AさんとC子さんを呼びました。当時、Aさんの父はすでに他界。母も75歳を超え、いつ、何が起きてもおかしくないと考えるようになったといいます。母がいうには、
・実家は維持が大変なので売却する。自分は父(夫)が残したマンションに住み替える
・遺産は現金とマンション1戸になる予定。相続予定の現金は預金通帳に。預金通帳は神棚に置いておく
・残るマンションは相続発生時に売却し、預金通帳の現金と合わせて、子ども3人で等分すること
ひととおり、AさんとC子さんに遺志を伝えた母。Bさんにも電話で同じことを伝えるつもりだといいました。
「こんな年になっても、Bのことまできちんと考える……親はいつまで経っても親なんですよね」
実際にAさんの母の相続が発生したのは、それから3年後のこと。自宅で倒れ、病院に搬送されてから1ヵ月後のことでした。
葬儀で、AさんとC子さんは、父の葬儀以来、Bさんと10年ぶりに顔を合わせたといいます。しかし、会話らしい会話はありませんでした。そればかりか、AさんとC子さんにお金の無心をしてきたので、怒鳴りつけたといいます。
葬儀が終わったあと、AさんとC子さんは、母が暮らしていたマンションにやってきました。
Aさん「母さんが言っていたとおり、ここも売却していいかな」
C子さん「いいんじゃない。でもBにも、きちんと言わないといけないじゃない。Bも相続人だし」
Aさん「そうか。あと、預金通帳が神棚にあるって言っていたな」
C子さん「私、取って来るわよ」
そういって、C子さんが神棚のある部屋にいったきり、なかなか帰ってきません。不審に思い、Aさんが行くと、首をかしげるC子さんがいました。
Aさん「どうした?」
C子さん「預金通帳が見当たらないのよ」
Aさん「えっ?」
C子さん「お母さん、何度も『ここに預金通帳があるから』って見せてくれたじゃない。たしか、3ヵ月前のお正月のときも」
Aさん「そうだよな。『ここにあるから、忘れないで』って……」
預金通帳があるという神棚のほか、色々なところを探しましたが、それらしきものは見つかりません。途方にくれる2人。そのときピンときたAさんは、Bさんに電話をしました。
Aさん「預金通帳、どこにやった?」
Bさん「なんだよ、それ」
Aさん「母さんが『子どもたちに』と用意していた預金通帳だよ」
Bさん「知らないよ、そんなの」
Aさん「しらばっくれるなよ! お前、金に困っていたよな。預金通帳の存在を知っているのは家族だけだ。それがないんだよ。消去法で、お前しかいないんだよ!」
Bさん「知らないものは、知らないって、言ってんだろ!」
そういって、電話は切れました。現在、専門家に依頼し、口座の照会を進めているそうです。