海外旅行から帰ってきた父…お土産と一緒に衝撃の報告
長年付き添った母の死で、すっかり意気消沈してしまった父。抜け殻のような姿に、危機感を募らせていったA子さん。
「私も家庭があって、子育ても忙しい時期で……でもここままだと、父までどうにかなってしまうのではと思いました。無理やりでも外に連れ出して、色々なところに行きましたよ」
孫(A子さんの子供)の面倒を見てもらったり、ちょっとした買い物に付き合ってもらったり、A子さんの習い事に付き合ってもらったり、親子で旅行に行ったり……。A子さんの努力もあって、次第に元気を取り戻していったA子さんの父。徐々にではありますが、笑顔も戻っていきました。
そして母の死から5年ほど経つころには、もとのひょうきんな姿を見せてくれるようになったといいます。
「それまで父とは週に3、4度くらい会ったり、連絡をしていたのですが、私も息子の大学受験でバタバタし出して。元気も取り戻していたので、連絡をする回数も自然と減っていったんですよね」
そんなある日のこと。A子さんのうちに行くと、父から連絡がありました。「父が遊びに来るなんて、珍しい」とA子さん。そうこうしているうちに、A子さんの家のチャイムが鳴りました。
父「お土産だ」
A子さん「旅行!? どこに行っていたの?」
父「ちょっと東南アジアに」
A子さん「えっ、海外!? どうしたの、珍しい!」
父「ハネムーンを兼ねて、ちょっとな」
A子さん「えっ、今何て?」
父「事後報告になるんだが、実は……」
突然の父からの衝撃発言に、A子さんの「えー!!」という声が街中に響き渡りました。何でも父は、先日、再婚。向こうの両親に結婚の挨拶も兼ねて、新婚旅行に行ってきたというのです。
A子さん「えっ、えっ、えっ、えっと、その人とは、どこで知り合ったの?」
父「ちょっとしたパブでな」
A子さん「パブって……向こうは何歳の人?」
父「えっと、27歳だったかな」
A子さん「だったかなって。私よりもずっと若い人と再婚するなんて」
父「でもしっかりした子なんだ、子供が5人もいるのに」
A子さん「ご、ご、ごにん! ちょっとお父さん、その人とは、どれくらいお付き合いしていたの?」
父「えっと、3ヵ月くらいかな」
A子さん「さん、さん、3ヵ月て、短くない? 怒らないで聞いてね。騙されてない、お父さん」
父「失礼な、騙されてないよ。それでな、今度、養子縁組しようかと思って」
A子さん「なんで?」
父「連れ子だと、そのままでは相続の権利がないというから。かわいそうだろ」
A子さん「ねぇ、養子縁組の話って、誰から聞いたの?」
父「奥さんからだけど」
A子さん「ねぇ、本当に騙されてない、お父さん?」