日本では年間約130万人の方が亡くなっています。つまり相続税の課税対象になろうが、なかろうが、130万通りの相続が発生しているのです。お金が絡むと、人はとんでもない行動にでるもの。トラブルに巻き込まれないためにも、実際のトラブル事例から対策を学ぶことが大切です。今回は、編集部に届いた事例のなかから、再婚に絡む相続の事例をご紹介。円満相続税理士法人の橘慶太税理士に解説いただきました。

海外旅行から帰ってきた父…お土産と一緒に衝撃の報告

長年付き添った母の死で、すっかり意気消沈してしまった父。抜け殻のような姿に、危機感を募らせていったA子さん。

 

「私も家庭があって、子育ても忙しい時期で……でもここままだと、父までどうにかなってしまうのではと思いました。無理やりでも外に連れ出して、色々なところに行きましたよ」

 

孫(A子さんの子供)の面倒を見てもらったり、ちょっとした買い物に付き合ってもらったり、A子さんの習い事に付き合ってもらったり、親子で旅行に行ったり……。A子さんの努力もあって、次第に元気を取り戻していったA子さんの父。徐々にではありますが、笑顔も戻っていきました。

 

そして母の死から5年ほど経つころには、もとのひょうきんな姿を見せてくれるようになったといいます。

 

「それまで父とは週に3、4度くらい会ったり、連絡をしていたのですが、私も息子の大学受験でバタバタし出して。元気も取り戻していたので、連絡をする回数も自然と減っていったんですよね」

 

そんなある日のこと。A子さんのうちに行くと、父から連絡がありました。「父が遊びに来るなんて、珍しい」とA子さん。そうこうしているうちに、A子さんの家のチャイムが鳴りました。

 

父「お土産だ」

 

A子さん「旅行!? どこに行っていたの?」

 

父「ちょっと東南アジアに」

 

A子さん「えっ、海外!? どうしたの、珍しい!」

 

父「ハネムーンを兼ねて、ちょっとな」

 

A子さん「えっ、今何て?」

 

父「事後報告になるんだが、実は……」

 

突然の父からの衝撃発言に、A子さんの「えー!!」という声が街中に響き渡りました。何でも父は、先日、再婚。向こうの両親に結婚の挨拶も兼ねて、新婚旅行に行ってきたというのです。

 

A子さん「えっ、えっ、えっ、えっと、その人とは、どこで知り合ったの?」

 

父「ちょっとしたパブでな」

 

A子さん「パブって……向こうは何歳の人?」

 

父「えっと、27歳だったかな」

 

A子さん「だったかなって。私よりもずっと若い人と再婚するなんて」

 

父「でもしっかりした子なんだ、子供が5人もいるのに」

 

A子さん「ご、ご、ごにん! ちょっとお父さん、その人とは、どれくらいお付き合いしていたの?」

 

父「えっと、3ヵ月くらいかな」

 

A子さん「さん、さん、3ヵ月て、短くない? 怒らないで聞いてね。騙されてない、お父さん」

 

父「失礼な、騙されてないよ。それでな、今度、養子縁組しようかと思って」

 

A子さん「なんで?」

 

父「連れ子だと、そのままでは相続の権利がないというから。かわいそうだろ」

 

A子さん「ねぇ、養子縁組の話って、誰から聞いたの?」

 

父「奥さんからだけど」

 

A子さん「ねぇ、本当に騙されてない、お父さん?」

 

こんなこと、ないよね、お父さん……
こんなこと、ないよね、お父さん……

 

 

次ページ解説:再婚・養子に絡む相続トラブルは多い

※本記事は、編集部に届いた相続に関する経験談をもとに構成しています。個人情報保護の観点で、家族構成や居住地などを変えています。

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