2020年3月分「機械受注」データの分析

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

3月分機械受注(除船電民需)は大型案件6件、前月比▲0.4%の微減

 

3ヵ月移動平均前月比は2ヵ月ぶり増加、「足踏みがみられる」の判断継続

 

4~6月期見通しは前期比▲0.9%と、各月前月比▲0.6%ずつで達成

 

実績が見通し比で下振れ多い4~6月期、設備投資関連・DIも下振れ示唆

 

 

 

●3月分機械受注(除く船舶電力の民需ベース、以下、除船電民需と表記)の前月比は▲0.4%と3ヵ月ぶりの減少になったが、事前の市場予想よりも小幅のマイナスだった。3ヵ月移動平均は前月比+1.6%で2ヵ月ぶりの増加になった。また、機械受注(除船電民需)の前年同月比は▲0.7%で4ヵ月連続の減少になった。

 

●機械受注(除船電民需)の大型案件は、前回2月分では運輸業・郵便業の電子計算機等の1件だった。前回3月分の大型案件は、造船業2件(内燃機関2件)、運輸業・郵便業3件(鉄道車両2件、運搬機械1件)、通信業1件(通信機1件)の合計6件と多かった。

 

●3月分製造業の前月比は▲8.2%と2ヵ月連続の減少だった。2月分の製造業では17業種中、7業種で増加し、減少は10業種だった。

 

●一方、3月分非製造業(除船電民需)の前月比は+5.3%と2ヵ月連続の増加になった。2月分の電力業の大型案件は火水力原動機の1件だったが、3月分電力業の大型案件は原子力原動機の4件、運搬機械1件、その他産業機械1件の合計6件と多かった。電力業の前月比は+18.9%の大幅増加になった。そのため3月分の船舶・電力を含む非製造業全体では前月比+11.8%と2ケタの伸び率になった。4ヵ月ぶりの増加である。非製造業12業種中、7業種が増加で5業種が減少となった。

 

●大型案件は、前回2月分では合計5件。内訳をみると、民需が、運輸業・郵便業の電子計算機等、同・船舶1件と電力業の火水力原動機の計3件、外需2件(火水力原動機1件、航空機1件)であった。今回3月分では合計27件と多かった。内訳をみると、前述した機械受注(除船電民需)6件と電力業6件の民需合計12件の他に、官公需10件(運輸業1件〔鉄道車両1件〕、防衛省2件〔航空機1件、船舶1件〕、国家公務3件〔航空機3件〕、地方公務2件〔その他産業機械2件〕、その他官公需2件〔航空機1件、通信機1件〕)と、外需5件(航空機3件、電子計算機等1件、化学機械1件)である。

 

●中小企業の動きを反映している部分がある代理店受注は3月分前月比▲3.3%と2ヵ月連続の減少となった。前年同月比は▲5.8%と11ヵ月連続の減少になった。

 

●外需は3月分前月比▲1.3%で4ヵ月ぶりの減少になった。前年同月比は▲14.4%と2ヵ月連続の減少になった。

 

●内閣府の基調判断の推移をみると、19年9月分では「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」という判断に下方修正された。その後10月分ではさらに下方修正され、18年12月分~19年3月分以来の「機械受注は、足踏みがみられる」という判断になった。11月分・12月分・20年1月分、2月分と、「機械受注は、足踏みがみられる」という判断であったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響がかなり出てきた3月分でも統計数値に底堅さがみられたことから下方修正されることはなく、2月分までと同じ判断で据え置きとなった。

 

 

●4~6月期の前期比実績は、見通しに使う達成率の計算方法を変えた09年(平成21年)からの11年間でみると、見通しと比較して上振れ4回、下振れ7回であり、下振れることが多い四半期である。

 

●機械受注(除船電民需)4~6月期の見通しは前期比▲0.9%は、各月の前月比が▲0.6%なら達成できる。また、各月の前月比が0.0%なら、4~6月期は前期比+0.5%になる。つまり、1~3月期から4~6月期に対しプラスのゲタを履いている。ただし、4~6月期は、テレワーク関連などの受注増などは期待されるものの、新型コロナウイルスの感染拡大での景気悪化による下振れが懸念される状況だ。

 

 

●景気ウォッチャー調査の設備投資関連・DIの最近の動きをみよう。20年1月の現状判断DIが52.8(同9人)と18年12月分の55.0以来の50超となった。グラフからは設備投資関連・現状判断DIの底堅さが感じ取れるようになってきていた。しかし、新型コロナウイルスの影響で現状判断DIは2月34.6(同13人)、3月11.4(同11人)、4月10.0(同5人)へと急落した。4月には「新型コロナウイルスの影響で客の設備更改、新規の設備投資や購入などが控えられ、受注件数や受注量も例年例月の3割程度にとどまっている。また、営業も感染への影響から訪問営業活動を社会機能維持の客に限定するなど控えるよう指示しており、来月以降の受注実績が例月の1割程度と伸びていない」(中国、通信業〔営業担当〕)といった厳しいコメントがみられた。

 

●一方、設備投資関連・先行き判断DIは19年11月には51.6(同16人)と1月以来の50超に戻ったが、12月は40.3(同18人)、20年1月は35.4(同12人)、2月は36.1(同9人)、3月は21.4(同14人)、4月は18.8(同8人)と弱含んでいる。新型コロナウイルスの影響によるところが大きそうだ。4月には「新型コロナウイルスが2~3ヵ月先も終息せず、終息したとしてもその後の設備投資には時間が掛かるため、状態としては悪いまま変わらない。」(東海、電気機械器具製造業〔経営者〕)という先行きを懸念するコメントがあった。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2020年3月分「機械受注」データの分析』を参照)。

 

2020年5月20日

 

宅森 昭吉

株式会社三井住友DSアセットマネジメント 理事・チーフエコノミスト 

 

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 理事・チーフエコノミスト

旧三井銀行(現三井住友銀行)で都市銀行初のマーケットエコノミストを務める。さくら証券チーフエコノミストなどを経て現職。
パイオニアである日本の月次経済指標予測に定評がある。身近な社会データを予告信号とする、経済・金融のナウキャスト的予測手法を開発。その他、「景気ウォッチャー調査」などの開発・改善に取り組んできている。「より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会」など政府の経済統計改革にも参画。「景気循環学会」常務理事。
著書に『ジンクスで読む日本経済』(東洋経済新報社)など。

著者紹介

連載【宅森昭吉・理事・チーフ エコノミスト】エコノミックレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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