2020年1~3月期実質GDP(第1次速報値)について

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

実質GDP成長率は前期比年率▲3.4%と、2四半期連続のマイナス成長

 

新型コロナウイルス感染拡大による経済活動停滞で内需・外需とも落ち込む

 

4~6月期実質GDP成長率は09年1~3月期以来の2ケタマイナス見込み

 

19年度の実質GDP成長率は▲0.1%で14年度以来5年ぶりマイナス成長

 

 

●20年1~3月期実質GDP成長率・第1次速報値は前期比▲0.9%、前期比年率▲3.4%となった。前期比年率▲3.5%とみていた筆者の予測とおおむね一致した。新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動の停滞で2四半期連続のマイナス成長である。消費税率引上げの影響や大型台風で前期比年率▲7.3%と大きく落ち込んだ後、経済活動が20年年初に一旦は戻りかけたが、新型コロナウイルス・ショックに襲われ大きく落ち込んだかたちだ。なお、20年1~3月期の雇用者報酬は名目で前期比+0.5%、実質で同+0.7%だった。内需の前期比寄与度は▲0.7%、外需の前期比寄与度は▲0.2%だった。

 

●1~3月期の実質個人消費・前期比は▲0.7%と2四半期連続の減少になった。実質家計最終消費支出の前期比は▲0.8%の減少、実質国内家計最終消費支出の前期比は▲1.3%の減少である。その内訳をみると、耐久財の前期比は+1.6%と2四半期ぶりの増加になった。半耐久財の前期比は▲5.7%で、こちらは2四半期連続の減少となった。STAY HOMEに伴う日用品の購入増がみられ、非耐久財の前期比は+1.1%と3四半期ぶりの増加になった。自粛によるレジャー関連消費の落ち込みでサービスの前期比は▲2.3%と2四半期連続の減少になった。

 

●1~3月期実質住宅投資は前期比▲4.5%と2四半期連続の減少になった。

 

●1~3月期の実質設備投資・前期比は▲0.5%と2四半期連続の減少になった。なお、名目の前期比(季節調整済み)は▲1.0%と2四半期連続の減少である。名目の前期同期比は▲4.2%と2四半期連続の減少になった。

 

●供給サイドのデータに基づいて算出した、1~3月期の名目設備投資の供給側推計値の名目原系列前期比は+6.9%で、需要側推計値(仮置き値)の名目原系列前期比は+24.7%であると公表された。法人企業統計が出た時に前年同期比が▲9.0%程度より高いかどうか比較することで、1~3月期実質GDP成長率・第2次速報値での設備投資予測の参考となる数字だ。

 

●1~3月期民間在庫変動の実質・前期比寄与度は▲0.0%だった。民間在庫投資の内訳をみると、製品在庫は前期比寄与度▲0.1%、流通品在庫は前期比寄与度▲0.1%と、ともにマイナス寄与となった。また、仮置き値の原材料在庫前期比寄与度は+0.1%、同じく仮置き値の仕掛品在庫は同+0.1%だった。

 

●1~3月期実質政府最終消費支出は前期比+0.1%だった。また、実質公共投資は前期比▲0.4%の減少になった。公的在庫変動の実質・前期比寄与度は0.0%であった。公的需要の前期比寄与度は▲0.0%になった。

 

●1~3月期外需(純輸出)の前期比寄与度は▲0.2%と3四半期ぶりのプラス寄与になった。実質輸出は前期比▲6.0%と2四半期ぶりの減少になった。財は前期比▲2.3%と5四半期連続の減少、サービスは前期比▲19.1%と2四半期ぶりの減少だった。インバウンド需要が大きく落ち込んだことが影響している。実質輸入の前期比は▲4.9%と2四半期連続の減少になった。財に関しては前期比▲4.8%と2四半期連続の減少となった。サービスは前期比▲5.4%とこちらも2四半期連続の減少になった。

 

●1~3月期のGDPデフレーターの前年同期比は+0.9%のプラスの伸び率になった。国内需要デフレーターの前年同期比も+0.7%とプラスの伸び率になった。一方、1~3月期の季節調整済み前期比をみると、GDPデフレーターは+0.1%、国内需要デフレーターは+0.1%になった。

 

●19年度の実質GDP成長率は前年比▲0.1%と5年ぶりの減少になった。

 

●20年度実質GDP成長率・政府経済見通し・前年度比+1.4%を達成するには、20年度各四半期前期比年率+4.8%(前期比+1.17%)が必要である。見通し達成は厳しい状況になった。19年度から20年度へのゲタは▲1.6%である。20年度各四半期前期比▲1.0%だと20年度実質GDP成長率・前年度比は▲4.0%のマイナス成長になる。

 

 

●先行き、緊急事態宣言発出の影響が出る4~6月期に成長率が注目される。ESPフォーキャスト調査5月調査の4~6月期実質GDP成長率見通しは33人の平均で前期比年率▲21.33%、高位8人の平均は▲13.44%、低位8人の平均は▲30.14%と2ケタのマイナス成長が予測されている。2ケタのマイナス成長は、リーマンショックの影響が大きかった09年1~3月期の▲17.8%以来のことである。新型コロナウイルスの被害の大きさが、実質GDP統計で確認されることになりそうだ。

 

●6月8日に発表される1~3月期第1次速報値では、6月1日の法人企業統計の発表を受けて、設備投資や在庫投資などを中心に改定される。

 

●法人企業統計では在庫投資の伸び率は名目の前年同期比で発表される。GDPの第1次速報値では在庫投資・名目原数値・前年同期比寄与度は▲0.2%であった。この内訳に関しては、雰囲気しか教えてもらえないが、4項目でプラス寄与は原材料在庫だけで、残りはマイナス寄与。マイナス寄与が小さい順に、仕掛品在庫、製品在庫と流通品在庫が続くということだ。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2020年1~3月期実質GDP(第1次速報値)について』を参照)。

 

2020年5月18日

 

宅森 昭吉

株式会社三井住友DSアセットマネジメント 理事・チーフエコノミスト 

 

株式会社三井住友DSアセットマネジメント 理事・チーフエコノミスト

旧三井銀行(現三井住友銀行)で都市銀行初のマーケットエコノミストを務める。さくら証券チーフエコノミストなどを経て現職。
パイオニアである日本の月次経済指標予測に定評がある。身近な社会データを予告信号とする、経済・金融のナウキャスト的予測手法を開発。その他、「景気ウォッチャー調査」などの開発・改善に取り組んできている。「より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会」など政府の経済統計改革にも参画。「景気循環学会」常務理事。
著書に『ジンクスで読む日本経済』(東洋経済新報社)など。

著者紹介

連載【宅森昭吉・理事・チーフ エコノミスト】エコノミックレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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