日本株の注目業種と銘柄のパフォーマンス検証

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「市川レポート」を転載したものです。

 

●ANA、JR東海、三越伊勢丹など接触や対面の機会が多い企業の株価は低調な動きがみられる。

●テレワークの普及やネット通販増加との見方で、ブイキューブやZホールディングスなどの株価が堅調。

●5G関連や、ワクチン開発関連銘柄も好調、新時代で改めて企業情報の丁寧な読み込みが必要。

ANA、JR東海、三越伊勢丹など接触や対面の機会が多い企業の株価は低調な動きがみられる

5月14日付レポート「ウィズコロナ時代の日本株投資戦略」では、新型コロナウイルスと数年にわたって共存する「ウィズコロナ」時代を想定し、その場合に予想される社会変化とその影響について、主な業種別に考えました。今回は、それらの業種に属する主要銘柄に関し、直近のパフォーマンスを検証し、社会変化の影響を先取りする兆しがみられるか、確認します。

 

対象銘柄は日経平均株価の構成銘柄を中心に、日経平均株価が年初来安値をつけた3月19日から5月15日までの期間における騰落率を下記図表にまとめました。ウィズコロナ時代では、行動制限が一定程度残る可能性があり、非接触や非対面という概念が一般的になることが予想されます。足元では、ANAホールディングス、JR東海、三越伊勢丹ホールディングスなど、接触や対面の機会が多い企業の株価は低迷しているように見受けられます。

テレワークの普及やネット通販増加との見方で、ブイキューブやZホールディングスなどの株価が堅調

仮に、ウィズコロナ時代の経済環境が、一段の低成長、低インフレ、低金利となれば、景気敏感な業種や銘柄には強い向かい風となります。そのため、トヨタ自動車や本田技研工業、3メガバンクの株価は現時点で、上値の重い印象です。また、素材・エネルギー関連では、日本製鉄(鉄鋼)、住友電気工業(非鉄金属)、出光興産(石油元売り)などの株価は、相対的に出遅れが目立ちます。

 

一方、社会のデジタル化が進めば、テレワーク、遠隔診療、遠隔授業が普及することが考えられます。すでにウェブ会議システムを手掛けるブイキューブや、テレワーク向けクラウドサービスを提供するTISの株価は大きく上昇しています。また、すでにインターネット通販での食品・日用品などの購入は広がっており、ヤフーを傘下に持つZホールディングスや、楽天の株価も堅調です。

5G関連や、ワクチン開発関連銘柄も好調、新時代で改めて企業情報の丁寧な読み込みが必要

非接触や非対面が主流となるデジタル化社会では、次世代移動通信技術「5G」の活用が欠かせません。実際、5G用無線機の生産をになうNECや、半導体製造装置メーカーでは東京エレクトロンやアドバンテストなど、また、電子部品メーカーでは、村田製作所や日本電産などの株価は、すでに大きく上昇しています。なお、新型コロナウイルスのワクチンや治療薬の開発に取り組む、武田薬品工業なども選好されているように思われます。

 

このように、一部銘柄には、ウィズコロナ時代の社会変化を先取りする動きが確認できます。ただ、今、出遅れている銘柄でも、非接触や非対面に対応した新しいビジネスモデルを構築できれば、巻き返しの機会は十分にあると考えられます。また、ウィズコロナ時代では、競争激化により、業界再編の加速も予想されます。そのため、銘柄選定にあたっては、これまで以上に、個々の企業から発信される情報を丁寧に読み込んで行く必要があります。

 

(注)2020年3月19日から5月15日までの騰落率。単位は%。日経平均株価のこの期間の騰落率は21.1%。日本航空、オリエンタルランド、ブイキューブ、TIS、ディスコ、村田製作所、日本電産、ロームは、東証1部上場企業ですが、日経平均株価の構成銘柄ではありません。  (出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表]現時点で注目しておきたい主な銘柄の騰落率 (注)2020年3月19日から5月15日までの騰落率。単位は%。日経平均株価のこの期間の騰落率は21.1%。日本航空、オリエンタルランド、ブイキューブ、TIS、ディスコ、村田製作所、日本電産、ロームは、東証1部上場企業ですが、日経平均株価の構成銘柄ではありません。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『日本株の注目業種と銘柄のパフォーマンス検証』を参照)。

 

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

 

(2020年5月18日)

 

 

市川 雅浩

三井住友DSアセットマネジメント シニアストラテジスト

 

株式会社三井住友DSアセットマネジメント シニアストラテジスト

旧東京銀行(現、三菱UFJ銀行)で為替トレーディング業務、市場調査業務に従事した後、米系銀行で個人投資家向けに株式・債券・為替などの市場動向とグローバル経済の調査・情報発信を担当。
現在は、日米欧や新興国などの経済および金融市場の分析に携わり情報発信を行う。
著書に「為替相場の分析手法」(東洋経済新報社、2012/09)など。
CFA協会認定証券アナリスト、国際公認投資アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員。

著者紹介


調査部は、総勢25名のプロフェッショナルを擁し、経済や金融市場について運用会社ならではの高度な分析を行い、それぞれの見通しを策定、社内外に情報発信しています。三井住友DSアセットマネジメントの経済・金融市場分析面での中枢を担っている他、幅広い投資家に良質な情報を伝えるべく、活動する機会や媒体は多岐にわたります。年間で約1,000本の市場レポートを作成し、会社のホームページで公開中(2018年度実績)。

著者紹介

連載【市川雅浩・シニア ストラテジスト】マーケットレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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