遺産分割に相続人でない長男の嫁が口出し
そんな義父が息を引き取ったのは、それか3ヵ月後のことでした。ひと通りの法事が終わったあと、兄弟三人だけが実家に集まり、遺産分割の話し合いの場がもたれました。遺産は、実家と有価証券、預貯金が1,000万円ほどあったそうです。
「それで、どうするの?」とB子さんが夫に聞くと「兄貴がさ、争いにならないように、実家と株は売ってしまって、そのうえで、三等分しないかって。確かに、それが一番いいかなと思ったから。あとは兄貴にまかせることにした」と、話し合いはスムーズにいったことを報告してくれました。
それから数日後、長男の妻から連絡があり、次の週末に、親戚一同が集合することになりました。
「なんだろう、お義姉さん……なにか聞いてる?」と、夫に不安そうに聞くB子さん。「俺も何も聞かされていないんだ」と夫。不安に感じているなか、当日を迎えました。
その日集まったのは、兄弟とそれぞれの妻。テーブルを挟み、それぞれの夫婦が向かい合います。よくわからない緊張感が漂っています。
長男嫁「今日は悪いわね、休日に集まってもらって」
次男「いえ。今日は、何の話ですか?」
長男嫁「お義父さんの遺産のことよ」
三男「それなら、この前話しをして、すべて現金にして三人で等分しようと決まりましたよ」
長男嫁「その話。もう一度、きちんと話さないとと思ったの」
次男・三男「えっ?」
長男嫁「よく考えて。この人、長男よ。なんであなたたちと、一緒なの」
次男・三男「えっ?」
長男嫁「それに、不動産やら株を売却する手続き、全部、この人がやるのよね。結構、手間がかかることよ。それを全部、この人に押し付けて。その分も多くもらわないと、私たち、損じゃない」
次男「それは、兄が自分でやるといったんです。仕事柄、慣れているからって」
長男嫁「そんなことに甘えているんじゃないわよ。なんでタダでしなきゃいけないのよ。あなたもあなたよ。弟のこと、甘やかして。だからなめられんのよ!」
三男「別に、僕たちは兄貴のことをなめているわけじゃ……」
長男嫁「いえ、甘えきっているわ、あなたたちは!」
長男「おい、ちょっとやめないか」
長男嫁「何いっているのよ、役立たず! だいたいあんたが『みんな均等に』なんていうから、わたしがちゃんといってやってるんじゃない!」
響きわ渡る、長男の妻の怒号。ここまで来ると誰も止められないと、誰もが、ただただ時間が過ぎるのを待っていたといいます。