コロナの影響を受けつつも、2020年4QにU字回復か?
フィリピンでは3月15日からロックダウンがスタートし、2020年5月14日現在、感染者数11,876人、死亡者数は790人、死亡率は6.7%となっています。ASEAN各国の感染状況を見ていくと、シンガポールとインドネシアが多くて、その次にフィリピンが続きます。
シンガポールはずっと感染者の封じ込めができていましたが、4月14日あたりから、ぐっと増えて、1日1,500人近くまで感染者が増えるという状況になりました。このような事態も受けて、フィリピンでは、当初、4月30日までとしていたロックダウンの期間を延長しました*。
*5月12日、首都マニラとセブ島で6月まで延長する方針を示した
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ロックダウン解除の具体的な動きはすでにアナウンスされていて、今は「防疫強化措置(=ECQ)」、つまり外出禁止の段階です。ロックダウンが解除されると「一般防疫措置(=GCQ)」という段階に移行します。この段階に移行すると、完全ではありませんが、基本的な経済活動に戻ってもよいとされています。
そのようななか、アジア開発銀行は、フィリピンの2020年のGDP成長率は2%、2021年には6.5%に戻るだろうと予想しました。フィリピンの人口の50%は首都マニラに集中し、GDPも70%を占めています。マニラのロックダウンが解除され、次の段階に入ることができるのか――首都のロックダウン解除は、フィリピンの経済にとっても、大きな意味をもっています。
消費者物価指数、つまりインフレ率は、コロナ禍のなかでも比較的安定しています。ただ原油安や物価統制があるうえでの数値なので、不透明感はあるのではと考えています。
株式市場を見ていきましょう。コロナ禍の前はフィリピン総合指数は8,000ペソくらいでしたが、5,000ペソくらいに下がりました。そして下がりきって上昇に転じてきているところなので、今が仕込みのチャンスです。
為替の動きです。2019年末に1ドル50.66ペソでしたが、5月14日には1ドル50.50ペソと安定しています。
またフィリピン労働省は、コロナ禍によって140万人が失業し、60万人が収入が減少したと発表しました(4月26日現在)。2019年4Qは失業率4.5%だったのが、2020年1Qは失業率5.3%と上がっています。フィリピンの失業率は徐々に下がっていたのですが、2020年末には失業率6%くらいになるのでは、と予測されています。
産業への影響ですが、まず大きいのが観光業。フィリピンGDPの10%を占めていますが、2020年1Qのインバウンド数は40%ダウンと予想され、大きな影響が見込まれています。そして1,000万人いるといわれている、OFW(=Overseas Filipino Workersの略で、海外に出て働くフィリピン人労働者を指す)は、航空関係と建設・観光業を中心に40万人の雇用が喪失し、海外送金4,500億円がダウンすると予想されています。
もうひとつ注目されているのが、オンラインギャンブル業界です。中国のオンラインギャンブルのオペレーションセンターはフィリピンにあり、20万人くらいの中国人が働いていますが、外出自粛処置の影響で営業が許可されていません。それにより、オフィスと従業員が住んでいるコンドミニアム(賃貸)に影響を与えるのでは、と考えられています。
今後の経済の見通しですが、元々フィリピンのファンダメンタルズ(国や企業などの経済状態などを表す指標)とインフレは安定していました。また政策金利引き下げ、預金準備高引き下げ、国債買い上げなど、大規模な金融緩和政策実施しています。
コロナ禍のなかで、はっきりとしたデータが出ておらず、不透明な部分はありますが、2020年2Q~3Qは景気後退局面、4QからU字回復基調となり、2021年には元の水準に戻るのではないかと予測されています。
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