コロナ後を見据えて、今こそ金の時間分散投資を

投資のプロフェッショナルである機関投資家からも評判のピクテ投信投資顧問株式会社、DEEP INSIGHT。日々のマーケット情報や政治動向を専門家が読み解き、深く分析・解説します。

 

金価格と短期的に連動性が高いのは米国の実質金利と米ドル指数だ。今後、新型コロナの感染再拡大や第二波の到来などのリスクイベントがあれば、3月同様マイナス要因となる可能性はある。ただ、コロナ対策で拡大した米財政赤字やベースマネーは金の長期上昇のドライバーになる。コロナ後を見据えると、今こそ金の時間分散投資の好機と考える。

金は長期的には通貨との供給量差異と連動、短期的には実質金利や米ドル指数と逆相関

金価格の長期的な上昇ドライバーは、金とドルとの供給量の差だ(図表1参照)。モノの価値を図る目盛りでもあるドルは長期にわたる通貨供給量の増加によりその価値が低下しつづけ、結果としてドルで計った金の価値は長期にわたり上昇した。ただ、短期的にみると金価格は投資マネーの影響で変動し、その主要なドライバーは実質金利と米ドル指数だ(図表2参照)。

 

年次、期間:1968年~2018年(1968年末=100として指数化) 出所:Global Financial Data、World Gold Council、USGS、FRB、ブルームバー グのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表1]米ドルの通貨供給量と金の総残高および金価格(米ドルベース)の推移 年次、期間:1968年~2018年(1968年末=100として指数化)
出所:Global Financial Data、World Gold Council、USGS、FRB、ブルームバー
グのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

日次、期間:2019年3月29日~2020年4月24日 ※米国通貨供給量は米国マネーサプライ(M1ベース)。金は現物価格 (米ドルベース)。米実質金利はFRB算出の10年CMSベースの金利 出所:Global Financial Data、World Gold Council、USGS、FRB、ブルームバー グのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
図表2:金価格、米実質金利と米ドル指数の推移 日次、期間:2019年3月29日~2020年4月24日
※米国通貨供給量は米国マネーサプライ(M1ベース)。金は現物価格
(米ドルベース)。米実質金利はFRB算出の10年CMSベースの金利
出所:Global Financial Data、World Gold Council、USGS、FRB、ブルームバー
グのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

3月に起きた金価格の急落も、当時、ドル調達の為にあらゆる資産が換金売りの対象となり金もその対象となった訳だが、その結果おきたドル高に加え、原油価格急落に伴うデフレ圧力の高まりによる実質金利上昇も金にはマイナス材料となった。その後、FRBによる潤沢なマネーの供給により再び実質金利がマイナスに戻り、過度なドル高が解消されるに伴い、金価格も上昇していった。

今こそ金の時間分散投資の好機

新型コロナ感染拡大のペースに鈍化の兆しが出てきた。経済活動の再開への期待は広がり、世界の株式も戻り基調となっている。しかし世界にはまだ多くの脆弱性が残されている。たとえば原油安の影響だけをとっても、米エネルギーセクターの信用リスク、産油国のソブリンリスク、ソブリンウェルスファンドによる資産売却リスク、そして産油国の外貨準備減少リスクなどがあげられる。また、IMFも4月の世界経済見通し策定の際のリスクシナリオとして、感染再拡大リスク、すなわち、かつてのスペイン風邪の様な第二波、第三波の感染拡大到来のリスクを想定している。もしそうなると再びドルを求める動きが起きたり、実質金利が上昇することで、金価格が調整する可能性もある。

 

ただ、コロナとの世界大戦に勝者はいない。すべての国はこの戦いの中で程度の差はあれ敗戦国となり、多額の財政赤字と、肥大したマネーが残される。そしてその帰結は通貨価値の下落だ(図表3参照)。このコロナ後の長期上昇要因を見据えれば、今こそ金の時間分散投資の好機と考える。

 

年次、期間:1900年~2018年 ※ 1900年を100として指数化。  ※各通貨の年間平均価格に基づく。 ※世界恐慌の期間は各種資料、研究に基づく。※金本位制の期間は英国の金本位制離脱に基づいて記載、他の国は異なります。 ※通貨価値の計算は金利を考慮していません。 出所:Global Financial Dataのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表3]金を100とした場合の主要通貨の相対価値推移 年次、期間:1900年~2018年 ※ 1900年を100として指数化。
※各通貨の年間平均価格に基づく。
※世界恐慌の期間は各種資料、研究に基づく。
※金本位制の期間は英国の金本位制離脱に基づいて記載、他の国は異なります。
※通貨価値の計算は金利を考慮していません。
出所:Global Financial Dataのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『コロナ後を見据えて、今こそ金の時間分散投資を』を参照)。

 

(2020年4月27日)

 

 

塚本 卓治

ピクテ投信投資顧問株式会社

投資戦略部長

 

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 投資戦略部長

日系証券会社にて債券及びデリバティブ業務に従事した後、外資系運用会社および日系ファンド・リサーチ会社にて投資信託のマーケティングを担う。通算20年以上にわたり運用業界で世界の投資環境を解説。ピクテではプロダクト・マーケティング部長等を経て、現職。経験豊富なストラテジストが揃う投資戦略部を統括する傍ら、自らも全国の金融機関や投資家を対象に講演を行う。

マサチューセッツ工科大学(経営学修士)、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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