3月の全国百貨店売上高は33.4%減
日本百貨店協会が4月24日に発表した3月の全国百貨店売上高概況によると、全国の百貨店(調査対象74社・205店)の売上高総額は約3,403億円となり、前年同月比33.4%減で、6カ月連続のマイナスとなりました。過去最大のマイナス幅です。
3月は新型コロナウイルス感染拡大の影響から、商圏顧客の外出自粛に加え、感染防止策として各社が実施した営業時間短縮や臨時休業、さらには物産展や文化催事など大型イベントの中止や縮小から入店客数は大幅に減少し、売上高も大きく落ち込みました。
また、インバウンドは中国をはじめとした海外からの渡航者の入国制限により、購買客数が同93.4%減(2カ月連続)と激減したことで、売上高は85.7%減(47.5億円/2カ月連続/シェア1.4%)となりました。
国内市場については、一部外商売上やインターネット販売などに動きが見られたものの、前月より22ポイントダウンの29.8%減(6カ月連続/シェア98.6%)となりました。
地区別では全地区で2ケタ減となり、インバウンド減の影響を大きく受けた大都市(10都市/36.2%減)の減少幅は、地方(10都市以外の地区/26.3%減)よりも9.9ポイント下回りました。
商品別では主要5品目すべてでマイナスとなり、特に、国内外顧客の減少やタッチアップ(直接顧客の肌に施すメイクやスキンケアなど)中止から前年より4割以上減少した化粧品や、卒入学式などセレモニー中止による衣料品や身のまわり品などオケージョンニーズのアイテムが苦戦しました。食料品についても、人気の食品催事の中止が響きました。
一方、巣ごもり消費からWEB受注や、生鮮食品などを含む食料品の宅配は比較的好調で、感染防止意識から婦人手袋なども動いたとのことです。
3月の東京地区百貨店売上高も6カ月連続のマイナス
同じく、日本百貨店協会が4月24日に発表した3月の東京地区百貨店売上高概況によると、調査対象12社・25店の売上高総額は約929億円となり、前年同月比34.6%減(店舗数調整後)で、6カ月連続のマイナスとなりました。
3月の東京地区は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、都内各店で時短営業・臨時休業の実施や大型イベントを中止したほか、地域行政から外出自粛要請が行われたことなどから、入店客数(39.7%減/6カ月連続)が大幅に減少しました。
また、入国制限によるインバウンド需要の消失も大きく影響した結果、売上高は34.6%減(6カ月連続)と、全国(33.4%減)同様に、過去に例のない厳しい商況となりました。
商品別では、食料品(22.5%減)は集客の核となる物産催事が中止になったことや、花見自粛で弁当・パーティ惣菜が苦戦した半面、宅配需要やオンラインショッピングが伸長したほか、家飲みの増加で和洋酒が好調となりました。
衣料品(40.3%減)は卒業・入学のオケージョン需要の低下、さらには外出自粛やテレワーク推進による都内通勤者の減少で、スーツ、コート、ジャケットなどのアウターが苦戦しました。身のまわり品(42.4%減)もパンプスやハンドバッグなど春物全般の動きが鈍かったとのことです。
このように、全国、東京都内ともに、百貨店の売り上げは歴史的な落ち込みとなっています。インバウンド関連は相当厳しいです。
なお、日本百貨店協会によると、4月7日の「緊急事態宣言」を受け、首都圏の多くの店が8日以降、臨時休業や食品フロアのみ営業をしている影響がでています。4月中間段階の商況は前年同月比77.9%減(4/16)と、一段と厳しい状況で推移しているようです。
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