週明けの日経平均株価は大きく上昇しています。業績関連で好感できるニュースが多く、マーケットに安心感が広がっています。一方、注目の日銀金融政策決定会合では金融緩和の拡大が決まりましたが、相場への影響は限られているようです。その背景はどのようなことでしょうか。

週明けの日経平均株価は大きく上昇している

週明け4月27日(月)の東京株式市場では、日経平均株価は大きく上昇しています。土日の間に特にネガティブなニュースがなかったことや、むしろ新型コロナウイルスの関連では良いニュースが相次いだことが投資家心理の安心感につながっているようです。

 

米国で最も状況が芳しくないニューヨーク州では、感染拡大に歯止めがかかっているとの見方が広がっており、同州のクオモ知事は一部の製造業などで「経済再開」の意向を示しました。国内でも、東京都内の感染拡大がピークを打ったとの指摘も出始めていて、好感されているようです。

 

24日(金)取引終了後に発表となった決算は、市場から好感されるものが多かった。
24日(金)取引終了後に発表となった決算は、市場から好感されるものが多かった。

 

最も大きいのは、24日(金)の取引終了後に発表された企業決算に関して「良好なもの」、「懸念されていたほど悪くはないもの」が多く、警戒感が和らいだことが挙げられそうです。業績予想の上方修正を公表した企業も少なくなく、午前中の取引でストップ高の銘柄も見受けられます。

 

ただ、日経平均株価という「指数」の急騰に関しては、注意しなければならないことがあります。それは、ファナック、アドバンテストという指数寄与度の高い銘柄が大幅高となっていることが背景にあり、この2銘柄で日経平均株価を100円以上押し上げています。両社は24日(金)の大引け後に、業績関連の発表を行いました。

 

実際のところは、商いは低調であり、東証1部の値上がり銘柄数をみると、指数が急騰しているわりには少ないです。何となくマーケットの地合いが良さそうというムードの中で、ポジションをショート(売り持ち)にしている投資家が買い戻しをしているというところでしょうか。

 

ゴールデン・ウィークの5連休を目前に控えているという「カレンダー的な要因」から、中長期投資家の本格的なマーケットの参加は見込めません。日経平均株価が節目の2万円をブレイクして上昇していくにはやはり力不足であり、上値では戻り売りの圧力は強いと考えられます。

日銀会合は事前報道のとおりでサプライズなし

4月第5週(4月27日~5月1日)の注目トピックであった、日銀金融政策決定会合をさっそく通過しました。27日(月)12時過ぎに結果が公表されています。もともと2日間の予定でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、1日だけに短縮されています。

 

日銀の声明は、おおむね以下の通りです。

 

・CP・社債などの追加買入枠を拡大し、合計約20兆円の残高を上限に買い入れる。
・21年度のコアCPI見通しは0.0~0.7%。
・21年度実質GDP見通しは2.8~3.9%。
・20年度のコアCPI見通しは-0.7~-0.3%。
・20年度実質GDP見通しは‐5.0~-3.0%。
・ETF、J-REITについて積極的な買い入れを行う。

 

肝となるのは、国債買い入れの上限撤廃、社債やコマーシャルペーパー(CP)の購入枠拡大です。金融市場に大量の資金を供給できる態勢を整えて急激な金利上昇を防ぎ、新型コロナウイルス感染拡大で打撃を受けた企業の資金繰りを支援します。

 

もともと、国債買い入れ額を年間「80兆円メド」としていましたが、これを撤廃して無制限に購入すると変更しました。これだけをみると、大きな決定です。

 

しかし、マーケットの反応は限定的です。株式市場も、為替市場も、日銀会合後の値動きに大きな変化はみられません。これは事前報道で、日銀が国債購入量を制限なく買えるよう議論すると伝えられていたためであり、織り込み済みです。むしろ、サプライズがなかったため、冷ややかな見方が多いかもしれません。

 

さらに言えば、「国民1人あたり一律で10万円を給付」の財源確保のため、新規で赤字国債が発行される見通しがあったため、日銀がこれを引き受けざるを得ないといった見方がありました。国債発行額が急に増えても、金融機関側では買い余力が潤沢にあるわけではなく、すべて消化しきれません。今回、日銀が買い入れ額を増やすとしても、国債発行枠の拡大に対応する側面が強いといった見方が事前にありました。

 

日銀の毎回の決定よりも、「日銀が実際、どの程度を買い入れているのか」を注視することが重要でしょう。日銀が保有する国債残高の増加ペースは、メドとされる金額を大幅に下回っています。枠を拡大しても、実際に買い入れなければ効果は限定的です。

 

※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、著者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

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