ライバル「柏」に負け続ける「松戸」にあえて住む価値とは?

どこの街に住むかの選択は、仕事やプライベートに大きな影響を与える。さらに家賃が家計支出の大きなウェイトを占めることを考えると、居住地は資産形成までも左右するといえる。総合的に考えて住みやすい街はどこなのだろうか? 20代後半から30代前半の単身の会社員の住み心地を考えていこう。今回取り上げるのは、常磐線「松戸」駅。

どこにでもある街「松戸」…近年は地位低下が問題に

「松戸」駅は千葉県松戸市にある、JR常磐線(各停、快速)と新京成電鉄の接続駅です。JR駅の乗車人数は1日10万人弱、新京成電鉄の乗降者数は10万人強で、近年はほぼ横ばい。人口50万人を抱える松戸市の中心駅ですが、かなり東京よりに位置し、3km先の江戸川を渡れば、そこは葛飾区です。

 

松戸は、江戸時代には水戸街道の宿場町として栄えたこともあり、江戸幕府や水戸徳川家との関わりが深い土地です。松戸神社は水戸黄門としても知られている徳川光圀と縁があり、旧徳川家住宅松戸戸定邸は元水戸藩主の徳川昭武が明治時代に暮らしていた邸宅です。この松戸という地名の由来は諸説ありますが、特に有力なのが、この地域が太日河(ふとひがわ、現在の江戸川)の津(渡し場)であったことから、馬津(うまつ)、馬津郷(うまつさと)と呼ばれ、それが「まつさと」、さらに「まつど」と変化したというものです。

 

近年の松戸は、東京に隣接するという立地から、ベッドタウンとして発達してきました。また街の中心地らしく、駅には「アトレ松戸」、西口には「ダイエー松戸西口店」「キテミテマツド」、東口には「イトーヨーカドー松戸店」と、大型商業施設が集積しています。駅周辺は少々ごちゃごちゃした雰囲気。店の看板もどこにでもよくあるチェーン店がほとんどで、このような街の風景から「松戸には個性がない」とよく揶揄されることがあります。

 

また昨今、よくいわれるのが松戸の地位低下です。よく隣の柏市と並び称されることが多い松戸市ですが、柏市はTXの開業で「住みたい街ランキング」でも人気上昇なのに対して、松戸はランク外。さらに2018年に44年の歴史に幕を閉じた「伊勢丹」の撤退が決定的に。そのあとに開業した「キテミテマツド」は、その名前も物議を呼んでいます。

 

存在感が薄くなってきている松戸ですが、近年、古民家などを利用したショップやアトリエなどが次々とオープンし、若いクリエイターが集う街として注目が高まっています。今後、どのような変化が生まれるのか、期待されています。

 

伊勢丹撤退で松戸の地位低下が決定的に
伊勢丹撤退で松戸の地位低下が決定的に

東京にこだわりがないなら、江戸川を渡るのが正解!?

そんな「松戸」駅周辺の家賃水準をみていきましょう。まずは駅周辺の家賃相場です。駅から徒歩10分圏内の1Kの平均家賃は4.61万円、11分を超えると、4.93万円となります(図表1)。駅から離れたほうが専有面積の広い物件が多くなり、家賃水準を引き上げています。

 

出所:公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合 会調べ(4月24日時点) ※単位は万円
[図表1]「松戸」駅周辺の平均家賃 出所:公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合
会調べ(4月24日時点)
※単位は万円

 

厚生労働省が発表している「賃金構造基本統計調査」によると、都内勤務の男性会社員の平均月給は、25~29歳で27.5万円、30~34歳で34.1万円、千葉県勤務で25~29歳で24.9万円、30~34歳で29.0万円となっています(図表2)。企業規模によって平均給与は異なりますが、そこから住民税や所得税などを差し引いた手取り額の1/3以内を適正家賃と考えると、都内勤務20代後半は6.9万円、千葉県勤務は6.2万円、都内勤務30代前半は8.5万円、千葉県勤務は7.4万円となります。

 

出所:厚生労働省「賃金構造基本統計調査 」 ※10名以上の企業対象 ※数値は所定内給与額 ※単位は万円
[図表2]20代後半、30代前半の平均月給 出所:厚生労働省「賃金構造基本統計調査 」
※10名以上の企業対象
※数値は所定内給与額
※単位は万円

 

会社員の適正家賃から見てみると、「松戸」周辺は、若手会社員でも十分に居住を検討できる有力エリアです。常磐線快速で隣駅になるのは、東京都足立区にある「北千住」。同条件の家賃は10分圏内で5.87万円、11分超のエリアで6.22万円と、所要時間10分で家賃は1万円以上も高くなります。また常磐線各駅停車の隣駅である「金町」では、同条件10分圏内で5.30万円、11分超のエリアで4.73万円と5,000円ほどの違いが。江戸川を渡り東京というブランドを得るだけでこの家賃差なのであれば、江戸川を渡らないほうがお得かもしれません。

 

次に交通の利便性をみてみましょう。「松戸」駅から「上野」駅へは、常磐線快速で22分。上野東京ラインの開通により「東京」28分、「品川」37分と、ダイレクトにアクセスでき、利便性が格段に向上しています。また常磐線は東京メトロ千代田線と相互直通運転をしており、「大手町」32分、「国会議事堂前」40分、「表参道」47分と、山手線内に乗り換えなしにアクセスできるのも魅力です。

 

生活の利便性をみてみましょう。「松戸」駅の西口には「ダイエー」東口には「イトーヨーカドー」と大型のスーパーマーケットがあり、また駅周辺は商業集積地でさまざまな業種の店があるので、生活必需品の購入で困ることはありません。また飲食店もファーストフード、居酒屋、ファミリーレストランなど、多彩に揃っているので、外食派でも満足できるでしょう。また松戸といえば、ラーメン激戦区として有名で、人気店は常に長蛇の列ができています。ラーメン通であれば、たまらない街でしょう。

 

気になるのが、駅周辺の治安です。「松戸」駅では西口を中心に歓楽街があり、治安を不安視する声が聞かれます。確かに、飲食店や風俗店の多いエリアでは、夜の女性の一人歩きは避けたい雰囲気ですが、統計上は心配されるほどの犯罪率ではありません。一部の地域をさければ、駅チカの利便性を存分に享受できることでしょう。

 

松戸は隣町の柏と比較されることが多いことから、昨今、地位低下が懸念とされ、魅力がないと思われがちな街です。確かに、東京のベッドタウンとして発展してきた歴史から、“どこにでもある街”という雰囲気はあるでしょう。しかし住むことを考えれば、家賃、交通、生活、それぞれの水準は高いものがあります。街の個性にこだわりがないのであれば、単身会社員にはとても住みやすい街だといえるでしょう。

 

 

GGOとは、GENTOSHA GOLD ONLINE(幻冬舎ゴールドオンライン)の略称。『あなたの財産を「守る」「増やす」「残す」ための総合情報サイト』を掲げ、企業オーナー・富裕層を主要読者ターゲットとして運営している(写真は編集長の立本正樹)。

著者紹介

連載データから紐解く「住みやすい街」

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