新興市場は東京市場全般に逆行して力強い値動き
4月20日(月)の東京株式市場では、日経平均株価は19,669.12円(前営業日比-228.14円)で取引を終えました。為替相場に動きはなく、決算発表は谷間で注目度の高いものは特になく、経済統計も特になしといった感じで手掛かり材料難であり、機関投資家は模様眺めのようです。
商いは薄く、主力株に関しては「投資家不在」といってもよいかもしれません。相場に厚みがないところを突いて、節目の2万円ブレイクを狙う投機筋もいなければ、逆に下方向へと仕掛けるような投資家もおらず、「開店休業」の状況です。
しかし、活況なマーケットもあります。それは日本の新興市場です。
東証マザーズ指数は6日続伸となっており、新興市場は東京市場全般に逆行して力強い値動きを続けています。20日(月)の東証マザーズ指数は前営業日比22.59ポイント高の761.50ポイントとなり、値上がり銘柄数は242、値下がり銘柄数は72で、上昇した銘柄の方が多くなりました。
一般的に、日本の新興市場は機関投資家の資金はあまり入っておらず、個人投資家の売買が多いと言われます。つまり、新興市場が盛り上がっているということは、個人投資家の買い意欲が強いということです。
GW明けまで、新興市場に個人の資金が向かいそう
新型コロナウイルスの感染拡大防止で在宅勤務の人が増え、時間に余裕ができたため、彼らが「コロナショック」で割安になった株式への投資を行っているという解説が、新聞報道などで見受けられます。
実際のところ、4月で新年度に入ったタイミングということもあり、株式投資を考えている個人は多いようです。証券会社の口座開設申し込みが増えているとされ、今までのように「とりあえず口座をつくる」ではなく、口座開設後に即売買という人が増えていると報じられています。
過去をみても、日本の個人投資家は株式市場の混乱後に、値ごろ感から割安と考える銘柄に資金を入れる傾向があります。よく言われる話ですが、上昇している銘柄に「買い」でついていく、いわゆる順張りではなく、日本人は株でもFX(外国為替証拠金取引)でも「下げたら買う」、あるいは「上げたら売る」という逆張りのスタンスをとりやすいです。
この点で、新興市場の銘柄は「コロナショック」で売りを浴びせられ、成長株といわれているものでも急落しました。また、新型コロナウイルス関連の銘柄で手がけやすいものがあったことも、資金が流入した背景にあるでしょう。出前館あたりは好例です。
もう1点挙げれば、新興市場には日本銀行によるETF(上場投資信託)買いという「ノイズ」が入りにくいこともあるかもしれません。
株は「安くなったら買いが入る」、「高くなったら売られる」ものですが、日経平均株価を構成するような主力株、大型株は、日本の個人投資家からすれば「安くない」ため、資金が入っていないとの指摘が聞かれます。日本銀行が金融緩和策の中でETF買いを進めており、これが日経平均株価の下支えとなって、主力株、大型株はなかなか下げません。メディアなどで「官製相場」と言われる理由です。
しかし、新興市場は「官製相場」とはなっておらず、市場の論理がそのまま反映されていると言えます。日本銀行の巨大な資金という「ノイズ」が入っていないと考えられ、市場で買いと売りをぶつけて戦っているのは個人投資家がほとんどあるため、安心して銘柄選びができます。
手がけにくい相場はもう少し続く見込みであり、ゴールデン・ウィーク明けあたりまでは、新興市場に個人投資家を中心とした資金が向かいそうです。
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