離婚した父が急死…実子も言葉を失った「あまりのゲスっぷり」

年間約130万人の方が亡くなり、このうち相続税の課税対象になるのは1/10といわれています。しかし課税対象であろうが、なかろうが、1年で130万通りの相続が発生し、多くのトラブルが生じています。当事者にならないためには、実際のトラブル事例から対策を学ぶことが肝心です。今回は、両親が離婚が原因で起きたトラブル事例を、円満相続税理士法人の橘慶太税理士に解説いただきました。

結婚式前に彼の浮気が発覚も、結婚に踏み切った!

「離婚原因!? よくある旦那の浮気ですよ」

 

A子さんが離婚をしたのは、10年ほど前の話……。

 

その前に、二人の出会いの話まで遡りましょうか。二人が出会ったのは友人がセッティングした飲み会、いわゆる合コンでした。お互いに飲み歩きが趣味ということで、すぐに意気投合、自然と交際へと発展します。そのまま交際は2年ほど続き、自然な流れで婚約に至りましたが、結婚式を2ヵ月後に控えたある日、婚約破棄の危機が訪れました。

 

「彼がお風呂に入っているときに、彼の携帯電話の着信音が鳴ったんです。メールみたいだったので、特に気にすることなくいたんですが、何度も何度も鳴るから、気になるじゃないですか。それでつい……」

 

彼の携帯電話を見ると、知らない女性から何通も何通もメールが来ていました。その内容は「この前は楽しかった」「今度はいつ会える?」など、明らかに彼とその女性はただならぬ関係であることがわかりました。怒り心頭のA子さん。風呂から上がってきた彼を問い詰めたところ、浮気が発覚。

 

「悔しいし、悲しいし……。いろいろな感情でいっぱいになって、土下座をする彼を前に泣き叫んだ記憶がありますね。ただ冷静になるにつれて、結婚式の招待状を送ってしまった後で引き返すことができない状況であることがわかってきたんです」

 

結局、「金輪際、浮気はしない」という彼を信じて、結婚に踏み切ったA子さん。結婚後しばらくは、夫は気持ちを切り替えたのか、家庭を大事にする、よき夫だったといいます。2年後には長男、その3年後には長女が誕生。幸せを絵に描いたような家族でした。しかし、その5年後、事件が起きます。

 

「わたしの親友から、旦那が不倫をしているんじゃないのか?という話があったんです。夫が女性と腕を組んで歩いていたって」

 

そこで発覚したのが、夫が不倫をしていたこと、さらにその相手は結婚前に発覚した浮気と同じ女性だったということ。

 

「つまり、10年以上も、同じ女性と続いていたということなんですよね。こんな裏切り、受け入れられるわけありませんよね」

 

旦那はずっと裏切り続けていた……
夫はずっと裏切り続けていた……

 

この時も夫は土下座を続けたといいますが、A子さんは、今度ばかりは絶対に許すことができませんでした。二人の子どもを連れて家を出て、そのまま離婚に至ったのです。

 

子煩悩だった夫ですが、A子さんは絶対に子どもに会うことを許しませんでした。

 

「慰謝料!? もちろん、ちゃんともらいましたよ。でも養育費は断りました。彼との縁をすべて切りたかったんです。かわいがってくれた義親には申し訳ない気持ちもありましたが、義親もどこか憎い、という気持ちでいっぱいになったんですよね」

 

離婚して10年。A子さんは元夫と一切会っていません。子どもたちも、元夫の裏切りを知っていて、会いたいともいいません。そしてA子さんには、新しく交際している彼がいるそうです。

 

「子どもたちも手がかからなくなって、もうそろそろ、自分のために時間を使ってもいいかなと思った頃に出会った方です。相手は結婚歴がなく、仕事ひと筋で生きてきたような人です。若い人のようにキャピキャピしたような交際ではなく、お互いの老後を見越したような、そんな交際ですよ」

 

そんなある日のこと。一本の連絡がありました。A子さんの元夫が亡くなったという連絡でした。

10年ぶりに再開した義母から相続の話が…

A子さんは、葬儀に行くかどうか悩みました。「子どもたちにとっては実父に変わりないので、自分たちだけで行きなさい、といったんですけど。自分たちも、お母さんが行かないなら、行かないというので、仕方なく……」とA子さん。仕方なく、葬儀に参列しました。

 

葬儀に参列したA子さんは、そこで、離婚してからの元夫の様子を知ることができました。A子さんとの離婚の原因になった女性とは一度は別れたが、再度結婚を前提に交際がスタートしたとか。しかし1年ほど前に別れたとか。亡くなった原因は突然死。元々血圧が高く持病も抱えていたから、どこか納得できる話でした。

 

葬儀が終わったら、すぐに帰ろうと思ったのですが、そこで元義母に声をかけられました。

 

元義母「今日は、ありがとう。10年ぶりかしら」

 

A子さん「あっ……この度は、ご愁傷様です」

 

元義母「随分と、あの子たち、大きくなったのね」

 

A子さん「もう10年ですから。上の子はもう20歳を超えました」

 

元義母「そうね、10年も経つんだものね。そう、こんなところで話すことではないけど、あの子(A子さんの元夫)の相続のことでね。あなたは別れているから関係ない話かもしれないけど、あの子たち(A子さんの子どもたち)は実子だから、相続の話をきちんとしなきゃいけないかなと思っているの」

 

A子さん「相続……そうですね。落ち着いたら、お願いします」

 

そうか、わたしにはもう関係ないと思ったけど、あの子たちにとっては父親だもんね……。葬儀から帰ったあと、子どもたちに相続の話をしたA子さん。子どもたちは「ふーん」と興味をなさそうな素振りをみせていましたが、長女はポツリといいました。

 

「きちんと、もらえるものはもらうつもりよ。いままで父親らしいこと、された覚え、なないんだから」

 

長女の言葉を聞いて、少し、申し訳ない気持ちになったとA子さん。

 

「養育費を貰わなかったのは、わたしの意地でしかなくて。あの人(=元夫)からは、養育費を払うと、何度か話があったんです。子どものたちのことはどこかで考えてくれていたのに……」

 

そんな申し訳なく思う気持ちを抱いたことが、まったく無駄だったことが、あとでわかります。元義母から、相続のことで連絡をもらったことがきっかけでした。

 

「実は、あの子、大きな借金をしていたらしく……遺産らしい遺産は、ないの」

 

「えっ?」

 

話を聞いていくと、実は別れた彼女とは別に入れ込んでいた若い女性がいて、気を惹くために色々とプレゼントを貢いでいたらしいことが発覚。それが原因で、結婚を前提で付き合っていた(=A子さんとの離婚の原因になった彼女)彼女とも破談になったのだとか。複数の会社から借金をしていて、それらを合わせると、500万円にもなるというのです。

 

「少しでも申し訳ないと思った自分が情けないです。でも、ありのまま、子どもたちに伝えていいのか悩みます。これ以上、父親がゲスだと思わせるのも……」

 

どれほどかわからないけど、遺産が相続されると思っていたら、まさか借金だった……。最期まで情けない父親のことを、どのように伝えるか、A子さんは悩みました。しかし黙っておくのも難しいため、正直に話すと、長男も長女もため息をつくだけで、何もいうことはなかったといいます。

被相続人に借金が発覚!でも心配する必要はなし

亡くなった人に借金があった場合、法定相続人は、その借金も相続しなければいけないのでしょうか? 「それは困る!」と思う人がほとんどでしょう。ある日突然多額の借金を背負わされたら大変です。

 

そういった事態にならないようにするために、法定相続人は、相続があったことを知った日から3ヵ月以内に家庭裁判所に申請をした場合には、相続を放棄することができます。

 

相続放棄があった場合には、法定相続人の立場は、次の順位の法定相続人に引き継がれます。あとえば、第1順位の相続人である子どもが相続放棄をした場合には、法定相続人の立場は第2順位相続人である父と母に引き継がれます。さらに第2順位である父母が相続放棄をした場合には、第3順位である兄弟姉妹に法定相続人の立場が引き継がれることになります。第3順位である兄弟姉妹が相続放棄をした場合には、相続人がいなくなるので、財産と債務は国に帰属することになります。

 

借金を多く残して亡くなった人の家族が相続放棄をすることが多いので、まるで爆弾ゲームような現象が起きるわけです。 相続放棄は、自分が相続人であることを知った日から3ヵ月以内に申請すればOKなので、他の相続人が相続放棄をして自分が法定相続人になったとしても、適切な手続きをすれば、何も心配することはありません。

 

 

【動画/筆者が「遺言書の基本」について分かりやすく解説】

 

橘慶太
円満相続税理士法人

 

円満相続税理士法人 代表 税理士

中学・高校とバンド活動に明け暮れる。大学受験の失敗から一念発起し税理士を志す。大学在学中に税理士試験に4科目合格(法人税法の公開模試では全国1位)し、大学卒業前から国内最大手の税理士法人山田&パートナーズに正社員として入社する。

税理士法人山田&パートナーズでは相続専門の部署で6年間、相続税に専念。これまで手掛けた相続税申告は、上場企業の創業家や芸能人を含め、通算300件以上。また、三井住友銀行・静岡銀行・ゆうちょ銀行を中心に、全国の銀行で年間130回以上の相続税セミナーの講師を務め、27歳という若さで管理職に抜擢される。

税理士の使命は、難解な法律や税金をできる限りわかりやすく伝えることだと考えている。平成29年1月に表参道相続専門税理士事務所を設立し、平成30年より法人化に伴い、円満相続税理士法人に商号を変更した。

著者紹介

連載円満相続税理士が楽しく解説!「相続の基礎知識」

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