4月13日(月)早朝、ロシアを含めた「OPECプラス」臨時会合で日量970万バレルの削減に最終合意したと、多くのメディアが報じました。難航も予想されていたためポジティブなニュースと言えますが、これで歴史的な低位にある原油価格は底を打ち、上昇に転じるのでしょうか。WTI原油(NY原油)の見通しを考えてみます。

週明けの東京株式市場は軟調なスタート

週明け4月13日(月)の東京株式市場では、日経平均株価は軟調なスタートとなっています。為替相場が円高に振れていることもあり、一時は19,200円割れ目前まで下落する場面もありました。

 

ただ、下げ一巡後は戻りもみせていて、後場に入ってからの日銀によるETF(上場投資信託)買いへの期待が背景にあるとみられます。先週も株価が下落すると、値ごろ感からの買いが入って底堅さをみせました。

 

新型コロナウイルスの問題は引き続き注視が必要であり、織り込み切れていない悪材料が出てくるリスクは要注意でしょう。ただ、だいぶ耐性が出てきたとみる市場関係者も多いようです。ひと頃の新型コロナのニュースに右往左往する状況から比べると、投資家の不安な心理状態は落ち着いてきた印象です。

 

4月10日~13日は「イースター」で休暇をとる海外勢が多い。
4月10日~13日は「イースター」で休暇をとる海外勢が多い。

 

前の週末は欧米市場が祝日で休場であり、本日も「イースターマンデー」で海外勢は休みをとるトレーダーが多く、積極的な売買は明日14日(火)以降になりそうです。商いは極めて低調です。中国の上海市場はオープンしていますが、香港市場は休場であり、まともに取引をしているのは東京市場ぐらいです。

 

とはいっても、材料がまったくないわけではありません。10日(金)に2月期企業の決算発表はピークとなりましたが、これに個々に反応していると言えます。通期は無理でも直近の3カ月に関する業績見通しを示してきた安川電機は、株価が上昇しています。一方で、決算延期が報じられている日立製作所などは売りが優勢です。

 

決算延期リスク、業績見通し非開示リスクは、引き続き注意が必要と言えます。

「OPECプラス」で日量970万バレルの削減に最終合意

海外勢がイースターの休暇をとっており、この週末は海外発の材料は特にありませんでした。一方、朝方に伝えられた報道では、OPEC(石油輸出国機構)がロシアなど非加盟国を交えたビデオ会議方式の臨時会合を開催し、5月と6月に世界全体で日量970万バレルの原油を協調減産することで最終合意したと伝えられています。

 

これは過去最大の削減幅であり、新型コロナウイルスの影響で需要が低迷していることが背景にあります。9日(木)の会合では1,000万バレルの減産で合意がなされており、そこからは少し後退していますが、減産に難色を示すメキシコに譲渡したようです。各国で不満はありながらも、互いに譲渡して合意に至ったという点では、安心感が広がりそうです。

 

世界最大の産油国の米国はこの枠組みに入っていませんが、需要減などですでに供給量が減っていると主張しています。トランプ大統領はOPECの減産合意に歓迎の意向を示したと伝えられており、休場明けの米国株式市場にとっては良い材料です。

 

WTI原油・日足チャート 【提供:楽天証券マーケットスピードⅡ】
WTI原油・日足チャート
【提供:楽天証券マーケットスピードⅡ】

 

世界的な航空便の運航休止などにより、原油需要はかなり減っています。数字でみれば、さらなる減産の必要がありますが、当面の原油に関する懸念点は払しょくされたと言えそうです。

 

それでも、原油価格が底を打って、上昇基調に転じるかとなれば、それは難しいかもしれません。今回の措置は「底割れリスクがなくなった(遠のいた)」に過ぎず、WTI原油(NY原油)は20ドル~30ドルの低位でのもみ合いが続きそうです。

 

WTI原油のチャートをみると、3月上旬に41ドル台から35ドル割れへとマドを空けて急落していることがみて取れます。テクニカル的には、この窓埋めがない限り「弱気(超弱気)相場」にピリオドは打たれません。

 

そのためにはどうすればよいのかと言えば、原油の需要が増えることが必須です。原油の供給量を減らすだけでは、原油価格の低下は止められても、上昇にはつなげられません。

 

すなわち、新型コロナウイルスの騒動が落ち着き、経済に持ち直しの兆しがみえて、原油の需要が増えてきてようやく、WTI原油は20ドル~30ドルのレンジからの上放れの可能性が出てきます。

 

※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、著者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

 

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