衣料品販売店(アパレル)各社が発表した、3月分の月次データがまとまりました。ふだんならば「ユニクロ」の月次データは月初の2~3営業日目に発表されますが、今回は決算発表と併せて4月9日(木)となりました。新型コロナウイルスの影響で、集計に時間を要したのかもしれません。
以下、各社ともに直近3カ月の前年同月比での増減を示しました。
ユニクロの3月既存店売上高は27.8%減
・3月:既存店売上高27.8%減、全店売上高28.1%減
・2月:既存店売上高0.8%増、全店売上高0.3%増
・1月:既存店売上高7.9%減、全店売上高8.1%減
まずは、ファーストリテイリングが発表した国内ユニクロ売上推移速報です。ご覧のように、3月はかなりひどい結果となりました。新型コロナウイルスの感染拡大で、政府や地方自治体から自粛要請が出たため、国内店舗は休業や営業時間の短縮を余儀なくされました。このデータにはありませんが、ユニクロは海外店舗も休業のところがほとんどです。
月次ではありませんが、マーケットで話題になっておりますので、ファーストリテイリングが今回発表した決算も少しみてみましょう。
2020年8月期上期(9月~2月)の連結業績は新型コロナの影響で減収減益となり、会社計画を大きく下回りました。売上収益は1兆2,085億円(前年同期比4.7%減)、営業利益は1,367億円(同20.9%減)となり、地域別では韓国、中国が大幅な減収減益でした。
しかし、市場関係者からは、決算に対して評価できるとの意見が多いようです。新型コロナの影響を合理的に見積もれず、確度の高い業績予想は困難としながらも、同社は3月の実績に加え、新型コロナの影響が下期後半に終息すると仮定して通期業績予想を「非開示」とせずに、新たな計画値を公表しました。これが好感されているのです。
売上収益は2兆0,900億円(前期比8.8%減)、営業利益は1,450億円(同43.7%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,000億円(同38.5%減)という数値を出してきました。直近予想から売上収益で 2,500億円、営業利益で1,000億円の減額です。併せて、1株当たり配当金予想は年間で500円から480円へと減額しました。前年と同額です。
下方修正や配当見通しの減額は確かにネガティブですが、市場では、この数値を「会社側の必達目標」とみています。どれだけ逆風が吹いても、この数値は確保するという姿勢が評価されているのです。決算を受けて、4月10日(金)の同社株は上昇しています。
ユナイテッドアローズなども3月は厳しい結果に
続いて、知名度が高く、マーケットでも注目されやすい各社の3月の状況をみてみましょう。
・3月:既存店売上高24.2%減、全店売上高25.3%減
・2月:既存店売上高1.8%増、全店売上高2.5%増
・1月:既存店売上高2.8%減、全店売上高0.2%減
・3月:既存店売上高22.1%減、全店売上高11.8%減
・2月:既存店売上高4.6%減、全店売上高4.0%減
・1月:既存店売上高9.9%減、全店売上高9.4%減
・3月:既存店売上高39.1%減、全店売上高40.1%減
・2月:既存店売上高10.0%減、全店売上高10.9%減
・1月:既存店売上高11.9%減、全店売上高16.2%減
・3月:既存店売上高36.6%減、全店売上高33.3%減
・2月:既存店売上高6.0%増、全店売上高1.9%増
・1月:既存店売上高8.5%減、全店売上高4.4%減
先にご紹介したユニクロと同様に、2ケタの減少となっています。やはり、臨時休業や営業時間の短縮の影響を受けています。悪いことはすでに織り込み済みであり、株価への影響は限定的となるのかもしれませんが、当然ながら良い印象はありません。
このあたりの会社でも苦戦しているのですから、商店街にある個人経営の衣料品店あたりは、死活問題になっていると推測されます。
ワークマンは3月も2ケタ増 「中旬以降は回復基調」
最後に、新業態「WORKMAN Plus+(ワークマンプラス)」が絶好調で、好業績が続いているワークマンをみてみます。
・3月:既存店売上高17.7%増、全店売上高23.4%増
・2月:既存店売上高27.3%増、全店売上高32.9%増
・1月:既存店売上高21.1%増、全店売上高27.5%増
このように、3月も2ケタ増を達成しています。3月月次のニュースリリースに書かれている会社側からのコメントは以下の通りです。
「新型コロナウイルス感染拡大により、上旬は外出を控える傾向が強まり販売への影響が出ておりましたが、中旬以降は回復基調となりました。販売では平年より気温が高く、ショートソックスや長袖Tシャツ、サマーカーゴパンツの販売が伸びたほか、アウトドア・スポーツ向けのクライミングパンツやシェルジャケット、アスレシューズが好調に推移しました。」
この厳しい状況でも好調をキープし続けられるというのは、本当にすごいことです。外食チェーンの方では、日本マクドナルドホールディングスの既存店売上高が3月に、52カ月ぶりにマイナスに転じてしまいましたが、新型コロナにも負けないワークマンの好調がいつまで続くか、期待したいところです。
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