豪ドル円のリバウンドは一巡か…「二番底」を探ってくる可能性

為替市場で豪ドル円は下落トレンドをたどっていましたが、新型コロナウイルスのショックにより、一時は60円ちょうど付近まで急落しました。その後は値を戻していますが、反発は続くのでしょうか。それとも、再び下落して安値を更新していくのでしょうか。

豪ドル円は日本のFXトレーダーに人気の通貨ペア

為替市場では米ドル円の動向に目が行きがちですが、今回は豪ドル円に着目してみたいと思います。

 

オーストラリアの通貨と日本の通貨とのペアです。金融ビッグバンによって、日本国内の個人投資家がFX(外国為替証拠金取引)取引をできるようになってから、人気の通貨ペアの1つです。

 

テレビの経済情報で米ドル円の値動きを解説するニュースがほとんどであるため、大半の個人トレーダーは米ドル円を買ったり、売ったりするところから始めます。そのうちに、他の通貨ペアも手がけてみたいと考え始めて、ユーロ円、豪ドル円あたりに関心が移ります。FXビギナーの多くの方が、このように好みの取引通貨ペアを変えていくようです。

 

オーストラリアの豪ドルはFXトレーダーの間で、高金利通貨や資源国通貨として知られる。
オーストラリアの豪ドルはFXトレーダーの間で、高金利通貨や資源国通貨として知られる。

 

豪ドルが好まれるのは理由があります。それは他の国(地域)に比べると、金利が高いためです。

 

FXをやられている方にはおなじみでしょうが、為替の取引で利益を得る方法は、買ったり、売ったりを繰り返すだけではありません。金利の低い通貨と高い通貨のペアを取引し、高い通貨ペアの方をロング(買い持ち)にすれば利益が得られます。

 

これを「スワップポイント」を言います。日本語にすれば「金利差調整分」となり、2国間の金利差から得られる利益のことです。つまり、日本のような低金利通貨を売って、豪ドルのような高金利通貨を買うと、その金利の差額を毎日受け取ることができます。

60円ちょうどレベルでいったん反発も戻りは鈍い

豪ドルは金融マーケットの世界では、資源国通貨とよく言われます。石炭や鉄鉱石などコモディティ(商品)の生産が盛んであり、これらの価格の変動によって豪ドルも連動して動きがちです。カナダの加ドル、南アフリカのランドあたりも、資源国通貨の代表格です。

 

そうはいっても、その時々のマーケットの状況にもよりますが、石炭や鉄鉱石の価格に連動するとも言い切れません。資源の代表格は原油であり、原油価格、それもニューヨークで取引されているWTI原油(NY原油)によって上下に振れるケースが多いです。

 

WTI原油・日足チャート 【提供:楽天証券マーケットスピードⅡ】
WTI原油・日足チャート
【提供:楽天証券マーケットスピードⅡ】

 

足もとでは、原油価格は中長期スパンで見て低位に位置しています。新型コロナウイルスの影響で世界的に経済活動が滞り、原油の消費が鈍るとみられます。そうであれば、産油国が供給を減らせばある程度の価格を維持できるのですが、ロシアや中東の産油国の話し合いがこじれており、WTI原油は一時1バレル20ドルを下回りました。

 

このような背景もあって、豪ドルも対円で売られています。豪ドル円はもともと下落トレンドでしたが、60円ちょうど付近まで急落する場面もありました。

 

豪ドル円・日足チャート 【提供:楽天証券マーケットスピードⅡ】
豪ドル円・日足チャート
【提供:楽天証券マーケットスピードⅡ】

 

豪ドル円は安値から持ち直していますが、上値が重いのも確かです。

 

それは、オーストラリアの経済の特徴というのもあると思われます。カナダや南米、アフリカの国々と比べて、石炭や鉄鉱石の大消費地である中国に地理的に近いため、それらの輸出の多くが中国向けであり、すなわち、中国経済の動向に左右されやすいということです。

 

一部の報道などで言われているように、昨年のオーストラリア全土における森林火災の影響で国内経済が滞っているためという、同国の独自の要因も確かにあると思います。しかし、中国要因の方が、やはり大きいと考えるべきでしょう。

 

豪ドル円・月足チャート 【提供:楽天証券マーケットスピードⅡ】
豪ドル円・月足チャート
【提供:楽天証券マーケットスピードⅡ】

 

豪ドル円は60円レベルでいったん底堅さを見せましたが、ここが今回の下落トレンドのボトム(底)になるかと言えば、そうは言い切れないと思います。月足チャートで直近10年ぐらいを振り返ると、55円あたりまで下げてくる局面もあります。

 

何よりも、金利が高めであることが魅力であるのに、今後、利下げの公算も大きくなっています。

 

世界経済、とりわけ中国経済の状況を考えると、60円という「一番底」を下抜けて、50円台半ば~後半あたりで「二番底」を探ってくるような下落があるかもしれないと、備えておくべきでしょう。

 

 

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