「コロナ五輪延期」で崩れた安倍政権のシナリオ…解散の目途は

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東京オリンピック・パラリンピック直後の衆議院解散は、安倍晋三首相のメインシナリオだったと見られる。しかし、新型コロナウイルスにより五輪が「1年程度の延期」となるなか、次の総選挙のタイミングは今年12月、2021年5月、もしくは8月になるのではないか。安倍政権は、大型経済対策を実施することにより、総選挙を視野に入れて景気の浮揚を図るだろう。

崩れたオリジナルのシナリオ:総選挙は12月、来年5月、7月か!?

安倍政権は、東京オリンピック・パラリンピックが終わる今年9月に衆議院を解散、10月に総選挙を行うシナリオを考えていたと見られる。五輪による国内の一体感は政権与党にプラスに作用すると想定される一方、衆議院任期満了の2021年10月まで1年を切ると、与党に不利な状況でも総選挙を先送りすることができないからだ。

 

また、安倍首相の立場に立つと、自らが自民党を率いてもう1度総選挙を戦うか、五輪を花道に自民党総裁任期を1年残して退任、自ら指名した後継者が衆議院を解散するか、2つの選択肢があったのではないか。

 

しかしながら、新型コロナウイルス問題で東京オリンピック・パラリンピックは「1年程度の延期」が決まった。安倍首相は、2021年の五輪開催へ向けた環境整備に重い責任を負う上、国際的な危機の最中だけに、任期途中での退任の可能性は後退した。つまり、政界は別のシナリオへ移行するだろう。

 

解散の時期については、3つの可能性が想定される。第1のタイミングは、今年11月の解散、12月の総選挙だ。新型ウイルスの拡大を止め、大型経済対策を打った上で、秋の臨時国会において衆議院を解散するシナリオである。前提条件は、日米欧において、今夏に新型ウイルスの感染拡大が収束へ向かうことだろう。

 

第2のタイミングは、2021年4月解散、5月総選挙だ。来年1月に招集する通常国会で2021年度予算を成立させ、その直後に衆議院を解散するシナリオである。新型ウイルスの抑型ウイルスの抑止に2020年一杯を要する場合、現実味を帯びるのではないか。

 

第3のタイミングは、2021年7月解散・8月総選挙だ。東京五輪が5-6月に実施される場合、その直後に解散するスケジュールも当然検討されるだろう。ただし、新型ウイルスの収束時期が読めないことから、五輪はなるべく先にとの考えが優先されること、衆議院の任期満了に極めて近い時期での総選挙となることが課題と言える。

 

現段階では、第1のタイミングを軸に、第2、第3のタイミングがサブ・シナリオとして検討されるのではないか。

経済対策:総選挙を睨んで大型化へ

東京五輪が1年程度の延期になった最大の理由は、2年延期の場合、2021年2月の北京冬季五輪が先行することではないか。それは、米国など国際社会も容認されないだろう。

 

安倍首相にとり、新型ウイルス問題を収束させ、4回目の総選挙で勝利を期すと共に、仕切り直しのオリンピック・パラリンピックの成功を花道として、自民党総裁の任期満了となる2021年9月に退任…これが現時点での最善のシナリオと見られる。

 

つまり、現下における安倍政権の目標は、少なくとも日本国内で新型ウイルスを早期に収束させること、及び景気を立て直すこと…の2点だろう。従って、4月中に政府・与党がまとめる新たな経済対策は、かなり大型になる可能性が強まった。安倍首相にとり、自ら率いて4度目の総選挙を戦うためには、新型コロナウイルスを克服するだけでなく、経済に対する有権者の明るい見通しが重要だからである。

 

出所:各種報道などよりピクテ投信投資顧問が作成
[図表]長期政治日程 出所:各種報道などよりピクテ投信投資顧問が作成

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『安倍政権、大型経済対策実施で景気浮揚図るか…視野に総選挙』を参照)。

 

(2020年3月27日)

 

 

市川 眞一

ピクテ投信投資顧問株式会社

シニア・フェロー

 

ピクテ投信投資顧問株式会社 シニア・フェロー

日系証券の系列投信会社でファンドマネージャーなどを経て、1994年以降、フランス系、スイス系2つの証券にてストラテジスト。この間、内閣官房構造改革特区評価委員、規制・制度改革推進委員会委員、行政刷新会議事業仕分け評価者など公職を多数歴任。
著書に『政策論争のデタラメ』、『中国のジレンマ 日米のリスク』(いずれも新潮社)、『あなたはアベノミクスで幸せになれるか?』(日本経済新聞出版社)など。
2011年6月よりテレビ東京『ワールドビジネスサテライト(WBS)』レギュラー・コメンテーター。

著者紹介

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1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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