2月から暴落が続いていた日経平均株価はいったん下げ止まり、リバウンドがみられています。このまま反発が続くならば、上値メドはどのあたりでしょうか。また、新型コロナウイルスの影響で不安定な相場が続きそうな状況ですが、どのような投資行動をとっていけばよいのでしょうか。

「自粛疲れ」や「巣ごもり疲れ」が出てくる頃合い

週明けの東京株式市場では、23日(月)、24日(火)と、日経平均株価が大きく上昇しています。為替市場で円安が進んでいるとか、16,000円~17,000円で底堅さを見せたことから下値不安が和らいだといったことが、株価上昇の理由としてメディアで挙げられています。

 

加えて、多くの市場関係者が気にしているのは、個人投資家、日本人のマインドの変化です。2月中旬~下旬あたりから政府・地方自治体による「(不要不急の)外出自粛のお願い」が出て、経済停滞、景気失速の懸念が広がりました。この頃から株価の下押し圧力も強まりました。

 

それから1カ月が経過し、そろそろ「自粛疲れ」や「巣ごもり疲れ」が出てくる頃合いです。そのような状況で、(1)20日(祝)~22日(日)と3連休があり、天気も良かった、(2)関東以西では桜が開花・満開となったことで、日本人のマインドがポジティブな方向に転換したとの指摘が聞かれます。実際、この3連休は観光地や繁華街に「自粛ムードにしては、比較的多くの人」が繰り出したと報じられています。

 

国内各地で、桜の満開や開花のニュースが相次いだ。
国内各地で、桜の開花や満開のニュースが相次いだ。

 

これらの要因は、その通りだと思います。また、3月期企業から配当や株主優待をもらうための権利付き最終売買日(3月27日)に向けて、株式市場に資金が入りやすいため、今週に限って言えば、株価は上昇しやすいという地合いでもあります。

 

ただ、日経平均株価という株価指数の「トリック」とでもいえばよいでしょうか。23日(月)、24日(日)と、指数への寄与度が大きいソフトバンクグループ株の急騰が大きく影響しており、23日の大幅高については、これで大方の説明がつきます。

 

同社は23日、最大4.5兆円の資産売却や資金化を行うと発表しました。調達資金で自社株買いを最大2兆円実施し、残額を負債の償還や社債の買い入れに充てるという内容です。自社株買いは先に発表した5,000億円と併せて、2.5兆円に拡大します。

 

これを受け、24日は証券各社がソフトバンクグループ株の目標株価を引き上げており、連日で株価が大きく上昇しています。

日経平均株価のリバウンドが続くとは見込み難い

しかし、日経平均株価が大きく上昇しているといっても、短期間に7,000円~8,000円も暴落しているのですから、下値不安解消から自律反発というのは、想定の範囲内です。

 

節目の20,000円を早期に回復できなければ、むしろ戻りが鈍い、上値が重いとのネガティブなムードが広がり、株価下落が再びみられるかもしれません。

 

日経平均株価・日足チャート 【提供:楽天証券マーケットスピードⅡ】
日経平均株価・日足チャート
【提供:楽天証券マーケットスピードⅡ】

 

日経平均株価を日足チャートで見ると、転換線というテクニカル的な指標(ライン)に戻りを阻まれている様子が見て取れます。転換線という名の通り、これをブレイクできれば弱気ムードからの転換が期待でき、節目の20,000円をトライするような展開が見込めそうなのですが、仮に抜けてもこの20,000円のすぐ上に基準線という指標(ライン)があるため、株価のリバウンドが続くとは見込み難いというのが正直なところです。

 

例年ならば、4月になって新年度に入ると、金融機関には新たな投資資金(「ニューマネー」と言われます)がついて、ゴールデン・ウィークあたりまでは強い基調となるのですが、今年は様子見ムードに徹してくるだろうと、今から容易に想像できます。

 

新型コロナウイルスの影響を、誰も読めません。4月下旬から5月中旬にかけて、3月期企業の本決算ならびに新年度計画の開示が行われますが、各社が業績にどう織り込んでくるのか、想定為替レートをどのあたりに設定してくるのか、これらを見極めるまでは動きづらいでしょう。

3月の国内IPO銘柄は公開価格割れが相次いでいる

年金や投資信託といった機関投資家、銀行、証券各社は当面動きづらいです。しかし、個人投資家レベルでは、中長期投資のスタンスであれば、割安であるとか、魅力的な技術や商品を有しているといった銘柄を粛々と買ってよいと思います。

 

注意しなければならないのは、高配当銘柄といわれるものは、配当利回りを額面通りにとらえてはならないということです。ここまでは高水準の配当を出していたものの、新型コロナウイルスで痛手を負い、ここからは配当を減額せざるを得ないというようなリスクがあるためです。

 

3月のIPO銘柄では、初値の公開価格割れが相次いだ(公開価格と初値の単位は「円」)。
3月のIPO銘柄では、初値の公開価格割れが相次いだ(公開価格と初値の単位は「円」)。

 

この点で注目したいのは、成長株と呼ばれるものです。その1つが、IPO(株式新規公開)銘柄でしょう。

 

本当は魅力的な技術や商品があったり、会社の成長戦略が良いにも関わらず、全体相場の地合い悪化につられて株価が低迷している銘柄に着目してみたいです。

 

3月1日から25日の間に上場した銘柄で、初値が公開価格を上回ったのは3銘柄のみでした。

 

例えば、女性向けフィットネス施設「カーブス」の運営を行う、カーブスホールディングスは、新型コロナウイルスの影響をまともに受けた企業の1つでしょう。知名度があり、かつ全国に店舗を拡大中で、新型コロナの騒動の前までは個人投資家好みの銘柄でした。

 

それが、他の企業のスポーツジム施設で新型コロナの感染者が複数出たことをきっかけに、スポーツジムやフィットネスは「敬遠される施設」の1つとなってしまいました。これが嫌気され、株価は下落でのスタートとなっています。

 

ただ、健康増進というのは日本人の大きなテーマの1つです。加えて、女性同士のコミュニティ形成の場としても同社の施設は機能しており、これは今でも変わりません。新型コロナの騒動が一段落するときに、選好されやすい銘柄と考えられるでしょう。



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