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3月9日をピークに「安全資産」であるはずの金が売られている。3月16日にはピークから10%近い下落となった。なぜ金は下落しているのか、そして、金はいつ反転するのか。リーマンショックの頃、今回と同様に、米国株式と金が共に大幅下落したケースを分析すると、金は株より先に動き出し、8割のケースで大幅同時安の13週目に、金はプラスのリターンに転じた。
なぜ金は下落したのか
3月9日をピークに「安全資産」であるはずの金も売られ、3月16日にはピークから10%近い下落となった。本来なら、金利低下や将来的なマネーの拡大への期待は金価格にはプラス要因のはず。
この下落の背景にあるのは、金の流動性の高さだ。株式などリスク資産の大幅な下落により、資金の手当が必要となり、特に年初来上昇してきた金は「換金売り」のターゲットにされやすかったと考えられる(図表1参照)。
同様の動きは、リーマンショック前後のときにも見られた(図表2参照)。景気後退局面に入る前に利下げが開始され、当初金は上昇するも(A)、米国株式が下落を続ける中で下落に転じた(B)。ただ、いち早く底をつけ、株よりも先に上昇に転じ、大きなリターンを提供した(C)。
リーマンショック時、金は先に底をつけた
リーマンショック時、金と米国株式が同時に大幅に下落したケースが5回あった。それぞれにつき、その13週後、26週後、そして52週後の金のリターンを検証してみた(図表3参照)。
①のケースでは、金と株が大幅下落した13週後に株はさらに下落、金のリターンは横ばいだったが26週後にプラスに転じた。それ以外の4つのケース(②~④)では、13週後に株はマイナスに留まる中、金はプラスのリターン(図の左上)となり、52週後は金・株式共にプラスとなった(図の右上)。
このように、あくまで今回同様VIX指数が高まったリーマンショック前後の分析ではあるが、金と株が共に大幅に下落したあと、13週間後に8割のケースで金のリターンはプラスに転じた事が確認できた。今回も換金売りが原因とするのであれば、「安全資産」としての魅力、金利低下や景気対策としてのマネー拡大期待に支えられ、今後は、金本来の動きに回帰する可能性は十分あるのではと考える。
当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『金が「換金売り」のターゲットに…いつ反転するのか?』を参照)。
(2020年3月18日)
塚本 卓治
ピクテ投信投資顧問株式会社
投資戦略部長
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