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どこの職場にもいるマジメなタイプの部下、田中君
【本記事のモデルケース】上司が手を焼く部下:田中君
入社3年目、20代後半の営業マン(法人営業)。仕事をキッチリこなし、上司の指示もきちんと聞く、どこの職場にもいるマジメなタイプ。ただ、与えられた以上の仕事を、自分で考えて行動することはない。社会貢献に熱心で、人とのつながりを大切にしており、学生時代との友達ともSNSなどを通じて交流を続けている。
能力が高いため、上司はより一層の成長を期待しているが、上司や先輩がちょっと厳しくしかるだけで、「そういうのは僕、苦手なんです」と全力で逃げてしまう。
◆部下の「ワクワクポイント」を探る
本記事では、部下がワクワクする原動力となることを、部下の口から引き出してみましょう。本人自身が、何がワクワクポイントなのか、自覚していない場合もあります。今、仕事に対してやる気がなくても、自分の将来に不安を感じていても、ワクワクエンジンは誰の中にも眠っています。そのエンジンのスイッチを入れるのです。
【シーン】ワクワクポイントを深掘りするためのひと言「一番大事にしていることは何?」
上司「田中君が生きていく上で一番大事にしていることは何かな?①」
部下「友だちです」
上司「なぜ、友だちが一番大事なの?②」
部下「そうですね、困ったときに助けてもらってきたので」
上司「どのようなことで助けてもらったの?」
部下「就活でなかなか内定が決まらなくて焦っていたとき、一緒に自己PRを考えてくれたし、『お前を落とす会社のほうが見る目がないんだ』って励ましてくれたんです。それに、僕は人見知りするんですけど、その友だちに誘われて、学生時代に一緒にボランティア活動もしていたんです。それで世界も広がりました」
上司「そうなんだ、いい友だちだね③」
① 仕事以外で大事にしていることを聞く
このひと言は、部下のワクワクポイントを見つけるためのストレートな質問です。「仕事で一番大事にしていることは何ですか?」と聞いてしまうと、就活の面接のような感じになります。
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そのうえ、その答えを元に「丁寧に仕事をするのが大事なの? あ、書類もちゃんと作ろうよ」のように仕事絡みの話を展開していくのが見えているので、部下はワクワクしません。ですので、仕事以外の話にしたほうが、部下の素顔も出やすくなるのです。
② 相手の答えを因数分解する
部下からは「友だちです」「時間です」「お金です」のような答えが返ってくるかもしれません。これだけでもワクワクポイントを引き出せていますが、私はさらに掘り下げて「因数分解」していきます。「なぜ大事なの?」「そう思ったきっかけは何だろう?」のように問いかけると、部下の素顔が見えてきます。
③ 共感のリスニングをする
部下が大事にしているものをキーワードにしてリスニングをします。「いい友だちだね」「そういう友だちは大事にしないとね」のように「友だち」をキーワードとして使うと、部下の話を理解し、共感しているという気持ちが伝わります。
◆質問&リスニングの効果
これらのやりとりから、田中君のワクワクポイントは「信頼」「チームワーク」「貢献」だと推測できます。このワクワクポイントを把握しておけば、これから田中君に仕事を任せるときの判断材料にできます。単独で営業を任せるより、チーム営業の一員にしたほうがワクワクエンジンはかかりやすいかもしれません。
◆もし答えを引き出せなかったら
もし、「とくにありません」「思いつきません」といった答えが返ってきたとしても、話はそこで終わりだと諦めないでください。別の角度から質問を投げかけると、話を引き出しやすくなります。
質問例:「今までで一番嬉しかったことは何?」「一番悔しかったことは何?」「一番感動したことは何?」「一番つらかった(大変だった)ことは何?」
部下と「価値観の相違」があることを理解すべし
今は査定評価や目標設定の際に、部下と一対一の面談をするのは当たり前です。皆さんは、そのときにどんな話をしていますか。
「今期の営業目標は110%ぐらいにしておく?」「この項目は未達だから、今回の評価はCね」…このような会話を交わすだけでは、決して部下との距離感は縮まりませんし、部下のワクワクエンジンはかかりません。
ワクワクエンジンは、仕事に対してのワクワク感が原動力になります。そして、ワクワクエンジンをかけるには、それぞれの部下のワクワクポイントを知らなくてはならないのです。
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インテルでは30年以上前から、上司と部下が「1on1ミーティング」をするのが普通で、私も査定評価や目標設定などで一人ひとりと話し合いの時間を設けていました。
最初のころは、私も部下のワクワクエンジンをかけるどころか、モチベーションを落とすような話し合いしかできませんでした。当時の私は部門の目標数値や部下にやってもらいたい業務を告げて、「じゃあ任せたよ」とポンと丸投げしていました。私自身は自由にやらせてもらうほうがラクだったので、部下もそうだと思っていたのです。
部下からは「自分一人で全部やり切るのは厳しいです」のような不満の声も出ていましたが、「今の業務しかできなかったら、評価は上がらないよ?」と突き放しました。そう言われたら部下は何も言い返せません。そうやって丸投げして、部下が目標を達成できなかったら、「どうして達成できなかったの? 何が原因?」と問い詰めていました[図表1]。
コーチングの指導を受けた後、私はまず部下との関係を再構築するため、下地づくりから始めました。そこで心がけたのが、ワクワクポイントを知ることだったのです。
◆部下を理解している「つもり」をなくす
ワクワクポイントは、それぞれの部下の価値観により違います。何年も一緒に仕事をしてきた部下であっても、相手の価値観をわかっているつもりでも、実際はわかっていないものです。
私は昔ながらの「黙ってオレについてこい」というワンマンな上司のもとで働いても平気でしたし、その方法で成長してインテルではかなり出世もできました。しかし、すべての人がそのやり方を受け入れられるわけではありません。だから、私は部下の価値観、ワクワクポイントを知るところから始めたのです。
私なりに部下を理解しているつもりでしたが、ワクワクポイントを聞き出したとき、まったくわかっていなかったことを知りました。
自分と部下との価値観の違いを知るだけでも、大きく前進します。それまで、「その考え方はおかしいです」と反論していた部下の意見を聞いても、「なるほど。そういう考え方もあるんだ」と落ち着いて受け止められるようになりました。
そして、会社の目標とワクワクポイントが重なる「ワクワク共通項」を見つけることで、部下にワクワクエンジンをかけられるようになったのです[図表2]。
板越 正彦
株式会社1on1エンゲージメント研究所 代表取締役