「僕にはムリです」ばかりの人間を、前のめりに変える方法は?

日本の若者は、世界と比較しても自己評価が低いといわれています。そのため仕事においても、なかなか「新しいこと」に挑戦できないことも多いようです。今回は、元インテル株式会社(日本法人)執行役員・板越正彦氏の書籍『部下が自分で考えて動き出す 上司のすごいひと言』(かんき出版)より一部を抜粋し、チャレンジをためらう部下への対処法について解説します。

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「苦手なんです」と、全力で逃げてばかりの部下

【本記事のモデルケース】上司が手を焼く部下:田中君

入社3年目、20代後半の営業マン(法人営業)。仕事をキッチリこなし、上司の指示もきちんと聞く、どこの職場にもいるマジメなタイプ。ただ、与えられた以上の仕事を、自分で考えて行動することはない。プライベートを重視するタイプで、社会貢献に熱心。

能力が高いため、上司はより一層の成長を期待しているが、上司や先輩がちょっと厳しくしかるだけで、「そういうのは僕、苦手なんです」と全力で逃げてしまう。

 

◆チャレンジしない部下のサポート

 

平成26年に内閣府が満13〜29歳の若者を対象に実施した意識調査によると、自分自身に満足していると答えた若者は、日本は7か国中最下位で46%。アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスは8割を超えているので、日本は約半分しかいないことになります。日本の若者は、きわめて自己肯定感が低いのです。

 

自己肯定感が低い部下に対して、「しっかりしろ」と背中を押したら、ますます追い詰めてしまいます。そんな若者に、どうやって新しいことにチャレンジしてもらえばいいのでしょうか。

悩んでいることがあったら、何でも相談してほしい

【シーン3】部下のチャレンジを後押しするためのひと言「悩んでいることが3秒以上あったら何でも相談してほしい」

 

上司「田中君、今度、A社で新サービスのプレゼンをすることになってるんだけど、田中君に担当してもらいたいんだ」

 

部下「えっ、僕がですか!? いや、それはちょっとムリです。僕、大勢の人の前で話すのに慣れていなくて」

 

上司「プレゼンが苦手なんだね。ただ、A社はベンチャー企業だから、社員も20代、30代の若手が多いんだ。田中君と同世代だから、僕がやるより、田中君がやるほうがより親近感を持ってもらえるんじゃないかと思ってる」

 

部下「はあ・・・」

 

上司プレゼンで一番不安に感じることは何だろう①

 

部下「やっぱり、話している最中に頭が真っ白になってしまったらどうすればいいんだろうってことです」

 

上司「確かに頭が真っ白になったら焦るよね。ところで、田中君は子どもたち対象のボランティアをしているんだよね。子どもたちの前で話すときは頭が真っ白になる?②

 

部下「いえ、緊張しませんから」

 

上司「それなら、大人たちの前で話すときは緊張するのはなぜなんだろう」

 

部下「うーん・・・敬語を使わなくちゃとか、間違ったことをいったら批判されるんじゃないかって思うからかもしれません」

 

上司「確かに、大人の前で話すときはそう思うよね。それなら、子どもの前で話すときと、大人の前で話すときで、何か共通点はないかな」

 

部下「共通点ですか・・・うーん、相手のために何かを教えてあげようという点は同じかもしれません。わからないことや困っていることを助けてあげるというか」

 

上司「それは素晴らしい共通点だね。どうだろう、困っている人の役に立てると考えたら、プレゼンのとらえ方が変わらないかな」

 

部下「確かに・・・そうかもしれません」

 

上司「僕も昔はプレゼンが苦手だったんだけれど、繰り返し練習したら、何とかできるようになったんだ。場数を若いうちに積むことは、後できっと役に立つよ。練習にはつきあうから、チャレンジしてもらえないかな③

 

部下「それじゃあ、あまり自信はないですけど、やってみます」

 

上司「ありがとう。悩んでいることが3秒以上あったら何でも相談してほしい④

 

① 不安に感じていることを聞く

 

チャレンジをためらうのは、不安や恐れなどの気持ちがあるから。部下の心に壁をつくっている原因を探るために、まずは何が不安要因なのか、具体的に聞き出します。何を心配しているのかがわかれば、それについての具体的な解決策もわかるので、不安を解消できます。それもワクワクに気持ちを向かせるためのポイントです。

 

② ワクワクポイントに結びつける

 

自信のない部下に自信を持たせる材料にできるのが、ワクワクポイントです。田中君はボランティアをしているので、人の役に立つという共通項を見つけて、プレゼンも同じだとイメージしてもらいます。

 

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もし部下が慎重なタイプで、普段からデータや数字などを重視しているなら、「データをたくさん盛り込んでプレゼンすれば、わかりやすくなるよ」とワクワクポイントに結びつけると、チャレンジしてみる気になるかもしれません。

 

③ 頼むときは疑問形で

 

部下にお願いするとき、「してほしい」と命じるより、「してもらえないかな」と疑問形にすると、やわらかい印象になります。部下も押し付けられたという感じを受けません。

 

④ 励ましのリスニングで締める

 

最後に「悩んでいることが3秒以上あったら何でも相談してほしい。それが私(上司)の仕事だから」と励ましのリスニングで締めると、部下は安心して行動に移せます。加えて、「いつでも声をかけて」「私にできることがあったらいってほしい」のようにサポートする気持ちを伝えておくと、部下も一人で悶々と悩んだりしないでしょう。

 

ここで気をつけたいのは、「いい答えを期待しているよ」という言葉を投げかけないこと。これは暗に「やってほしい」といっているようなものなので、部下を追い詰めてしまいます。

 

 質問&リスニングの効果

 

新しいことにチャレンジするのをためらうときは、ワクワクポイントを使うとその壁を乗り越えられます。「自分にはムリ」「できない」と思っていることでも、ワクワクできる要素があるのだとわかれば、「やってみようかな」と心が動きはじめます。

 

ワクワクポイントと結びつけることで、部下のやる気を引き出す
ワクワクポイントと結びつけることで、部下のやる気を引き出す

 

「やらせてください!」と前のめりにならないにしても、少しでもやる気が起きるだけで、大きな一歩です。そこから先は、そのやる気が消えないように、サポートしてあげてください。

成長を実感したときは、どんな気持ちになる?

【シーン4】現状に安住させず、もう一歩先を目指してもらうためのひと言「君にとっての成長って何だろう?」

 

上司「田中君、最近はかなり頑張っているね。取引先のC社からも、熱心にサポートしてもらえて助かっているって聞いたよ」

 

部下「ありがとうございます」

 

上司「そろそろ、別の商品を担当してもらいたいと思っているんだけど、どうかな」

 

部下「別の商品ですか? せっかく今の商品の営業に慣れてきたところなので、もう少し先にしてもらえませんか」

 

上司「慣れた仕事を続けたい気持ちはわかるよ。ところで、田中君にとっての成長って何だろう?①

 

部下「えっ、成長ですか。うーん、できなかった仕事ができるようになること、ですかね」

 

上司「仕事を身につけられたら成長を実感するんだね。最近は、どんな場面で成長を実感できた?②

 

部下「やっぱり、契約が決まるようになってからですね」

 

上司「それは素晴らしいね。成長を実感するときはどんな気持ちになる?②

 

部下「やったー、よくやったって自分を褒めてあげたい気持ちというか」

 

上司「いいね。これからも自分を褒めてあげるためには、何をすればいいと思う?」

 

部下「そうですね、今までやったことのない仕事に思い切ってチャレンジするとか」

 

上司「素晴らしいね。僕としても、ぜひ田中君にはそうであってほしいと思う。そのためにも、別の商品を担当する気になったらいつでもいってほしい③

 

部下「わかりました」

 

① 部下の視野を広げる

 

部下が一通り仕事を覚えてできるようになったなら、上司としては次のステップに移ってもらいたいと考えます。ところが、部下はせっかく仕事を覚えたのだから、しばらくこの仕事をそのまま続けたい、つまり現状維持を望むというのはよくある話です。

 

しかし、現状維持だとワクワク感はいずれ薄れます。私なら、もう一段階成長してもらうように導いて、ワクワク感が持続するようにします。

 

こういう場面で「あなたにとっての成長とは?」という本質的な質問をすると、相手の視野を大きく広げる効果があります。

 

とくに、なかなか行動に移さないタイプに本質的な質問を投げかけると、行動を促進させることができます。部下が「自分にとっての成長って何だろう」と自問自答するうちに、目の前の出来事にとらわれていた意識が変化していくのです。

 

「君ならもっとできるはずだ」と説得しても心は動くかもしれませんが、やらされ感も生まれます。やはり自発的に「やりたい」と思うように導いていくのがベストです。「あなたにとっての成果とは何ですか?」「あなたのミッションは何ですか?」「あなたはベストを尽くしていますか?」といった問いも、本質的な質問になります。

 

② 成長した自分をイメージしてもらう

 

「成長はどんな場面で実感する?」「そのときはどんな気持ち?」と具体的に聞くことで、自分が成長したらどうなるのかをイメージしてもらいます。そうすれば、「成長したら、いいことが起きる」とワクワクエンジンがかかります。

 

③ 答えは強制しない

 

こういった大きな質問は簡単には答えられず、その場では答えが出ないこともあるかもしれません。それでも強制せずに、「答えを考えておいて」と投げかけるだけでも十分です。いずれ部下の中に答えが生まれます。

 

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◆ 質問&リスニングの効果

 

ワクワクする気持ちを部下自身が再現できれば、ムリに仕事を与えなくても新しい仕事に取り組んでみようという気になるでしょう。説得しなくても、部下の心を動かせるのです。

 

本質的な問いを重ねると、部下のなかに自分軸がしっかりと固まっていくのを実感するはずです。そうすれば、部下は上司が手をかけなくても、自分の力でグングン伸びていきます。

 

 

板越 正彦

株式会社1on1エンゲージメント研究所 代表取締役

株式会社1on1エンゲージメント研究所 代表取締役


1960年生まれ。東京大学文学部心理学科卒業後、石油化学メーカーJSR、サンダーバード大学院MBA、国連UNESCO勤務を経て、94年よりインテルに21年間勤務。シリコンバレーでの勤務を含めて15以上の事業部を経験。インテル退職後、4年間で約6千人を対象にワークショップやマネジメントコーチングで成果を上げ、2019年に株式会社1o1エンゲージメント研究所を設立。現在は跡見学園女子大学・大学院、筑波大学大学院、東京医科歯科大学大学院などやベンチャー、企業、公共事業体向けに、自ら課題を発見し行動し続ける「自立型人材」の育成のための、研修やサービス(コミュニケーション・1on1・イノベーション・コーチングなど)を提供している。

著書に『上司のすごいひと言』(かんき出版)、『仕事が変わる「アゲる」質問』(きずな出版)、『相手との距離を縮めて、人を動かす「本音を引き出す聴き方・話し方』(KDP)、『ポータブル1on1ガイドブック』(KDP)がある。

著者紹介

連載元インテル執行役員が教える!部下が自分で考えて動き出す、「上司のすごいひと言」

部下が自分で考えて動き出す 上司のすごいひと言

部下が自分で考えて動き出す 上司のすごいひと言

板越 正彦

かんき出版

世界企業「インテル」で、クビ寸前から世界トップ0.5%に選抜された著者が、大逆転の原動力となった、部下を動かす『すごいひと言(キラーフレーズ)』を初公開!本書は『すごいひと言』を入り口に、上司が部下との「質問&ヒア…

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