勇気を出して「中学の勉強」まで遡ってみる
「自分で自分の間違いを認めることができる」というのは、受験勉強では最も大切な才能の一つです。反省あればこそ、「今度は間違わないようにしよう」「自分はこういうクセがあるから気を付けよう」と思えるのです。そして、その気づきを活かして改善につなげたときこそ入試での得点力も向上します。
では、「自分の間違いに気づいて反省する」という最初のミッションをクリアしたあなたに、次のミッションに進めためのヒントを。本記事では、それぞれの失敗パターンに合わせた克服法を紹介します。
◆何が分からなかったのか具体的に洗い出す
できない理由を置き去りにしてきた人は、今、学習していることが自分の学力と比べて難しすぎる可能性があります。ですから、自分の今の学力状況や課題を検討する時間を取ってみてください。
苦手な科目、さらにそのなかで点を取れていない具体的な単元を見つけ出すのです。模試などの結果をいくつか確認すれば、今の自分に足りないものが客観的に見えてくるかもしれません。
教科として、特に注意を払うべきは英語と数学です。理科や社会は、高校の学習内容だけで完結している部分が多いのですが、英語や数学の場合は、高校での学習内容が中学校の発展編という位置づけになっています。
中学校で学ぶ範囲の修得があいまいだと、基礎力不足で伸び悩んでしまうということがよく起こります。英語と数学は「基礎が身についていなければ次に進めない」と考えてください。
英語に課題があると感じるなら、いつから「英語が苦手だ」と感じたのか、思い出してみましょう。高校生になってからですか? それとも中学校で学習するような内容もおぼつかないのでしょうか。
場合によっては、今やっているよりももっと前の範囲からやり直すべきだと判断するかもしれません。足りないものが分かれば、そこが克服すべきポイントです。そこで点を取れるようになれば、合格に近づくことができるはずです。
課題を洗い出すときには、あくまで客観的に。たくさんの課題が見つかることで不安になるかもしれませんが、この作業を経ずにただやみくもに取り組む時間の大きさを考えれば、これはとても大切なことです。
自分で課題を見つけられたら、どう取り組むべきか考えてみてください。中学校1年生の内容に穴があるのなら、当然そこに取り組むことから考えるべきです。
「そんなことをやっていたら間に合わない」と不安に感じるかもしれません。焦る気持ちはよく分かります。他のライバルたちが先に進んでいるのに、自分だけ後戻りするのは勇気がいることです。でも、急がば回れという諺があります。実際に取り組んでみれば存外にすいすいと進んでいくことが分かるはずです。
「中学校の内容に不安があったから集中的に取り組んでみたら、3週間で終わったし、そのあと、高校の内容もスムーズに理解できるようになりました」といった話はよく聞くものです。あなたを勇気づけるエピソードを1つ紹介しておきます。
ところが、入塾後に基礎からやり直した結果、5月の模試では早くも偏差値は63まで急上昇。模試は年間をとおしてだんだん難しくなるので、5月の段階での模試は比較的簡単なものなのですが、それでも60台まで伸ばせたことが本人はとてもうれしかったようで、その後も順調に学習を続けることができました。
1カ月の間に取り組んだのは、5月の模試で出題される範囲に限定し、基礎的な概念を徹底的に頭に入れていくことでした。範囲から外れる部分は、もちろん分からないままです。けれど、最初の模試で成果を出したことは、本人にとってとても大きな自信につながる出来事でした。
大学受験でも試験範囲は決まっているわけですから、範囲を少しずつ広げて、できない部分をできるようにしていけば、得点を伸ばすことは可能です。結果的に、現役時に0点を取ったまさにその大学の数学でなんと満点を獲得。見事合格を果たしました。
受験は「できないことができるようになる」状態になれば、パスできます。
先生や講師へ、「本当に質問すべきこと」
話を「課題探し」に戻します。これまで予備校頼りのがむしゃらな勉強法でひた走ってきた人にとって、立ち止まって自分の課題を見つけるという行為は、あまり経験のないことのはずです。
ある科目が苦手だというとき、その理由は、どこかにつまずいているポイントがあるということです。つまずいているから問題を見ても解けない、あるいは時間が足りなくなる。だから、苦手だと感じるし、結果も出せない。
苦手をクリアするために大切なのは、このつまずいているポイントをできるだけ具体的に把握することなのですが、いざ自分でポイントを見つけようとすると意外に難しいことが分かるはずです。
「そもそもつまずく場所が分かっていれば、つまずかないよ!」という受験生たちの声が聞こえてきそうです。確かにそのとおりです。自分で課題が見つけられないという人は、学校の先生や塾・予備校の講師などに手伝ってもらいましょう。
仮にあなたが数学のある問題を間違ったとして、どこを間違ったかは解答を確認すれば自分で理解できるとします。次にまったく同じ問題が出たなら、そのときは解けるかもしれません。しかし、似ているけれど少し違う問題が出題されると、なぜか解けないということがあります。
こういう場合は、たいてい根本の理解が足りていないことが理由です。数学の先生のところに行って、あなたが問題を解く様子や答案をチェックしてもらえば、先生ならすぐに「基本のこの部分が理解できていないからつまずいている」と分かります。
しかしながら、周りの専門家を上手に頼ることができる人は、そんなに多くありません。時々、問題単位で質問をして、個別の知識を得ているという人はいても、きちんとお願いして「勉強の方法」を聞いてみたことがある人は、ほとんどいないのではないでしょうか。
極論すれば、知識は本を読めば手に入れられるものです。質問すべきは「どう学べばいいのか」ということです。これに根気よく答えてくれる先生がいたら、あなたはとても幸運です。大いに相談して「課題の見つけ方」を学んでください。
学び舎東京PLUS