医学部受験。1浪は当たり前、4浪・5浪もめずらしくない、厳しい世界です。今年も多くの受験生が笑い、そして涙を流しました。成績がふるわず努力が報われなかった人は、この一年間、どうやって勉強すればよいのでしょうか? 本連載では、個別予備校・学び舎東京PLUSの書籍『受験のパーソナルトレーナーが教える 医学部受験攻略法』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、解説していきます。

「詰め込み勉強は得意なんだ」が大間違いなワケ

◆教科・単元の勉強時間を的確に配分する

 

大学受験では、さかのぼって課題を見つけたら、そこから勉強し直すことになりますが、このとき大事なのは、最初から詰め込み過ぎないことです。

 

受験勉強を一生懸命やってきた人なら、「詰め込み勉強は得意なんだ」と言うかもしれませんが、受験期間は短いようで長いのです。それに、時間や労力を割くべき教科・単元は一つだけとは限りません。受験科目すべての成績を向上させるためには、力の配分を考えなくてはならないのです。

 

まずは、一つひとつのハードルを低くして毎日コツコツ前進していく、というのが基本。「問題が解けない理由を考えない」という人は、「とにかく始める」「手当たり次第やる」というのが癖になっている可能性があるので気をつけましょう。気合いや根性に逃げる前に、成果を出すための取り組みを、合理的に真面目に考えるべきです。

 

◆「知識」と「技術」をバランスよく鍛える

 

「知識偏重の勉強法を続けていた」人は、「知識」と「技術」をバランスよく鍛えることを意識しましょう。

 

●「知識」のインプットには、Webサービスを利用すべし

 

かつては、受験に必要な知識を得る手段として、第一に有名予備校の授業が挙げられました。今でも、分かりやすい授業をしてくれる人気講師の講義は、何百人もの生徒で大講義室が満席になります。

 

しかし昨今では、Web学習サービスなどのオンライン配信やDVDなどが充実しています。市場が拡大したおかげで、非常に安価に利用ができ、誰でもどこでも学力を上げるための情報が手に入るようになったのです。近年のインターネット配信サービスの拡充を利用しない手はありません。

 

●「技術」の習得には、正しい方法で反復練習を

 

「知識」は単にインプットしただけでは使えません。縄跳びのやり方を動画で見て知っているからといって、実際に縄跳びができるとは限らないのと同じことです。公式をたくさん覚えても、適切な場面で使えないと意味がないのです。

 

技術を身につける方法は、「反復練習」に尽きます。技術は正しい方法で練習すれば、効率的にすばやく身につけられるものです。もちろん一夜にして楽に身につける方法はありませんが、正しい方法で練習をすれば誰でも上手になれます。逆に、同じ練習でも間違った方法で行えば、たとえ身につけることができたとしても、余計な時間がかかってしまうでしょう。

 

あなたが何かスポーツを始めようとするとき、まずはトレーナーやコーチに付いてもらって正しいやり方やフォームを教わるはずです。いきなり自己流で始めるのが非効率であることは誰でも知っています。専門的な知識と正しい技術を持っている人に教えてもらいながら進めたほうが、はるかに効果は高くなります。

 

勉強の技術についても、まったく同じことが言えます。計算力を上げたいなら、「毎日問解くぞ!」といったやみくもな根性論よりも、今のレベル、苦手な計算の種類、スピードに対して、どんな問題をどれくらい解くのか見極め、その結果どのくらい成長したのかを観測しつつ進めたほうがよいはずです。

 

英語の音読でも、レベルに応じた教材選定が重要です。正しい練習方法を学ぶことで、効率的に、確実に技術を磨くことができるようになるのです。

 

練習方法については、学校などの先生に聞いてもいいですし、書籍やインターネットで情報を集めてみるのもよいでしょう。合理的で正しい方法を見つけることができれば、効率はぐっと上がります。私たちが運営している「医学部・難関大予備校による勉強法メディアSTUDY HACKER for Students」も、練習方法について掲載していますので、参考にしてみてください。

難問ばかり手を出して基本的な技術が抜け落ちてない?

医学部を受けるような生徒の場合、計算がまったくできないという人は少なくて、時間をかければある程度正確に解けるという人がほとんどです。ですが、受験の本番ではゆっくり丁寧に計算をする、というわけにはいきません。

 

試験の時間は限られているのですから、「ゆっくり時間をかければできる」というのは、受験本番では「できない」というのとほとんど同じことです。これでは技術として役に立つものにはなりません。

 

計算の技術を日々のトレーニングで鍛えていくと、速さと正確さは着実に上がっていきます。日々の出来・不出来にはあまりこだわる必要はありません。正しい方法でトレーニングすれば、いずれ必ず成果は出てきます。

 

ある生徒は数学があまり得意ではありませんでした。けれど、春から夏までの3カ月間ほど毎日計算トレーニングを続けた結果、着実に計算の処理能力が上がり、一般的なレベルの問題については解答スピードが大幅に向上しました。その後も異常とも言えるような速さで数学の学習が進み、無事志望校に合格することができました。

 

日々の出来・不出来にこだわる必要はない
日々の出来・不出来にこだわる必要はない

 

計算力は1つの技術です。トレーニングを積めば、脳に大きな負荷をかけることなく、半ば自動的に計算を処理することができるようになってきます。数学の問題を解くとき、この力が大変な効果を生みます。

 

数学の問題には計算がつきものですが、計算にあまりに時間がかかると、途中で「あれ? なんでこの計算をしているんだっけ」と、論理的な思考が分断され、先に進めなくなってしまうことが起こり得ます。要するに、計算することに脳が集中してしまい、本来の目的を忘れてしまっているのです。

 

「難しい問題を攻略しなくちゃ」と難問にばかり手を出す人は多いと思いますが、まずは基礎の技術をおろそかにしないこと。そうすれば、難問も楽に解けるようになるのです。

 

 

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受験のパーソナルトレーナーが教える 医学部受験攻略法

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